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62.聖騎士の耳飾り①
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「シェリル……なんだそれは」
こんな格好をしてるせいで、カイル様が呆れてしまったみたいだ。
背中にクロが張り付いている。これはいつも通り。魔法か何かを使ってくれてるので、重みも感じない。だから邪魔にもならない。
いつもと違うのは、首から下げた三角帯の中で白兎が眠っているせいだ。
野営の片付けも終わり、人の居た匂いをマリア様が細長杖を使って消して行く。テオ様は、結界を消しても安全かどうか探っているみたいだ。
「マリア様に回復をかけてもらったのですが、魔力がかなり枯渇してたみたいで……クロみたいに自力で張り付く事が無理みたいなんです」
「だからと言って、シェリルが二匹の世話をしなくても」
「そ、そうよ。私がレノアたんを抱っこするわ」
眠っていたレノアが、ブルッと震えた。覗き込むと、瞳が潤んでいて……
『シェリル様……離れたくないです』
「くッ」
「どうしたシェリル? どこか痛むのか?」
か、可愛い……白色ってなんて可愛いんだろう。クロは美形だったけど、レノアは人型になったら美人?なのかな。布越しに撫でると、安心したかのようにウトウトし始めた。
「い、いいえ。レノアがウトウトしてるので……このまま眠らせたいので。マリア様、あの」
「マリア、諦めろ。二匹ともシェリルのだ。シェリル、白兎は弱ってるみたいだから、黒兎に聖遺物の場所が分かるか聞いてみてくれ」
「お、起きたら……何時でも抱っこするわよ。黒兎ちゃんは……駄目よね? ひっ」
「え? クロ?」
「ごめんなさい。黒兎はそのままで」
何だろう? マリア様が距離をとった。
『シェリル……レノアは、勇者の所にでも預けろ』
『でも、レノアは弱ってるから、勇者の聖遺物を持ってるカイル様に抱っこされるのは……可哀想だよ?』
『甘すぎる……勇者も妙に近いし。ちゃんと何があったか話してもらうからな』
『うん時間のある時に話すね。クロは、聖騎士の耳飾りの場所分かる? なんか、ダンジョン内が変なんだよ』
『──そうか。何か異変が始まってる訳か』
『まだ、そんなに強い魔獣は出てきてないけど。数が今までよりかなり多いみたい。キース様が言ってた』
『──で聖騎士の耳飾りを早く見つけたい訳か……』
『キース様が、選ばれたらいいんだけど』
『そんなの、分かるわけがない。ただ、場所なら分かる』
『本当に?』
『だが、アイツが……手放すとも思えないが』
「それってどう言う意味?」
思わず声に出てしまった。
皆が、僕を見ている。
こんな格好をしてるせいで、カイル様が呆れてしまったみたいだ。
背中にクロが張り付いている。これはいつも通り。魔法か何かを使ってくれてるので、重みも感じない。だから邪魔にもならない。
いつもと違うのは、首から下げた三角帯の中で白兎が眠っているせいだ。
野営の片付けも終わり、人の居た匂いをマリア様が細長杖を使って消して行く。テオ様は、結界を消しても安全かどうか探っているみたいだ。
「マリア様に回復をかけてもらったのですが、魔力がかなり枯渇してたみたいで……クロみたいに自力で張り付く事が無理みたいなんです」
「だからと言って、シェリルが二匹の世話をしなくても」
「そ、そうよ。私がレノアたんを抱っこするわ」
眠っていたレノアが、ブルッと震えた。覗き込むと、瞳が潤んでいて……
『シェリル様……離れたくないです』
「くッ」
「どうしたシェリル? どこか痛むのか?」
か、可愛い……白色ってなんて可愛いんだろう。クロは美形だったけど、レノアは人型になったら美人?なのかな。布越しに撫でると、安心したかのようにウトウトし始めた。
「い、いいえ。レノアがウトウトしてるので……このまま眠らせたいので。マリア様、あの」
「マリア、諦めろ。二匹ともシェリルのだ。シェリル、白兎は弱ってるみたいだから、黒兎に聖遺物の場所が分かるか聞いてみてくれ」
「お、起きたら……何時でも抱っこするわよ。黒兎ちゃんは……駄目よね? ひっ」
「え? クロ?」
「ごめんなさい。黒兎はそのままで」
何だろう? マリア様が距離をとった。
『シェリル……レノアは、勇者の所にでも預けろ』
『でも、レノアは弱ってるから、勇者の聖遺物を持ってるカイル様に抱っこされるのは……可哀想だよ?』
『甘すぎる……勇者も妙に近いし。ちゃんと何があったか話してもらうからな』
『うん時間のある時に話すね。クロは、聖騎士の耳飾りの場所分かる? なんか、ダンジョン内が変なんだよ』
『──そうか。何か異変が始まってる訳か』
『まだ、そんなに強い魔獣は出てきてないけど。数が今までよりかなり多いみたい。キース様が言ってた』
『──で聖騎士の耳飾りを早く見つけたい訳か……』
『キース様が、選ばれたらいいんだけど』
『そんなの、分かるわけがない。ただ、場所なら分かる』
『本当に?』
『だが、アイツが……手放すとも思えないが』
「それってどう言う意味?」
思わず声に出てしまった。
皆が、僕を見ている。
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