美形魔王の弱点は、僕。

Shizukuru

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60.白兎sideレノア

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 なんだ、何が起きているんだ?
 ずっと居なくなっていた魔王様が、突然現れたかと思ったら……勇者一行と一緒にいる。
 何故だ?一体これはどう言う状況だ。

「きゃーー。可愛い。白兎って可愛い」
 抱き締められて頬をスリスリとされてしまう。
 人間の女だ。
 スーハースーハーと顔を押し付けられて、何かしている。
「はぁぁぁぁ。いい匂い」

 匂い? 
 変態か? この女は変態なのか?
幻影兎ラビィア欲しかったのよね~。黒兎は、もう私を見る目が怖かったもんね。シェリルだけだ!って感じで。ち~っとも、撫でさせてくれない」

 魔王様の恋人は、さっきの奴か。確かに抱きついた時……気持ちが良かった。もっと擦り寄っていたかったんだ。でも魔王様の冷たい視線に少しビビったのも確かだ。

「この子、黒兎の恋人かしら?」
 なんて事を、私が選ばれる訳がないではないか!
 急にベッドの上に置かれる。助かったと思ったが何故か両足を広げられた。手が股の所を何やら────
(あ、ちょっと、アッ)

「あ、男の子だ!あの黒兎も男の子らしいから、番にはならないよね?なら、お友達かな? 私が飼ってもいいよね~」

 たまを触られた……いや、兎姿なら問題ないはずだ。 お、女のくせに……そんな所を触るな!ブルブルと威嚇をしてみる。
「丸まってちっちゃい~震えてて可愛い~」
 ちっちゃい? は?可愛い……どこがだ!
 駄目だ、魔王様に回復するまで勇者一行の前で人型になるなって約束したんだ。また、あそこに戻されたら……生きてはいけない。今度こそ死ぬ。折角魔王様の元に戻れたのに。

 こんな小娘に見られて、触られるなんて……それこそ生き恥か?私は一体どうしたら……?

「白兎ちゃんの、名前あるのかな?名付けてもいいかなぁ。白銀の毛並み……魔獣……スノーローズサンダープリンスとか? 幻影兎ラビィアだから……ホワイトラビィリンとか?」

 待て、なんだその名前は。私にはちゃんとした名前があるのに!嫌だと首を振る。
「ええ~、ダメなの? 明日までに考えとくね」
 ゲシゲシと、キックして抵抗してみた。
「やだぁ、もう可愛~」
 チュッと唇が触れてきた。

 (な、なんてことを!)
 猛烈に暴れてみるが、こいつ力が強い。何者なんだ。
 はーなーせー

「ん?何かな? 黒兎の所に行きたいの?」
 はいっ!行きたい。行きたいです。魔王様の所に行きたいです!ぴょんぴょんと跳ねて反応してみる。

「でも……邪魔になるだけだよ?シェリルは、ずっと黒兎に会いたかったんだから。今日は抱き締め合ってるんじゃないかな?」

 抱き締め合ってる?
 魔王様は人間たちにも、認められている関係なのか? いや、魔族とバレないようにと言われたのだ。角は見せていないはず。

 魔王様の恋人が人間なんて……だが、あの人間は何か違う雰囲気が心地いいのだ。
     魔王様が惹かれる理由が知りたい。そんな事を考えてたら……首が締まった。
「ぐぇ」
「あ、ごめんごめん。ギュッし過ぎたかな?」

 こいつといる方が殺されそうだ。明日、魔王様の恋人……シェリル様? と呼ぶべきか? シェリル様の傍に居させてもらおう。

 変な名前も付けられたくない。シェリル様助けて下さい。

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