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59.シェリル
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何度か分けて口に流し込まれた。
キース様が、何故か口笛を吹いたが、マリア様の細長杖でゴンと音がする位小突かれている。
ようやく、魔力が回復してくる。白兎もマリア様に回復をかけてもらったようで、呼吸が安定してきた。今は眠っているようだ。クロも僕の胸の所にしがみついたまま眠ってるみたいだ。
その僕は、カイル様の腕の中にいた。
「あの、もう大丈夫です」
「シェリル……むりを」
「あんた、バカなの!」
マリア様が、カイル様の声を遮った。
「本当に……もう。ティムした魔獣をそんなに必死に守らなくてもいいでしょう? そう言うところが、聖遺物に気に入られる所かも知れないけど。自己犠牲が過ぎるわよ。ちょっとは、自分の体を大切にしなさいよ!」
ポンポンとキース様が、マリア様の肩を叩き何か言っている。
「マリア様……ごめんなさい」
「ああ、もう。謝って欲しいんじゃなくて。ちょっと、ポーション頂戴」
そう言って、カイル様から受け取ると一気飲んでしまった。
「ここの結界強くするわ。シェリルの回復を優先しないと、先に行けないから。それに、白兎も休ませたい……可愛いすぎるわ」
「え、あの白兎も、魔獣ですよ?」
「黒兎の大切な子なんでしょ? ほら」
マリア様から受け取って二匹を抱きかかえる。
なんとなく、クロが不機嫌みたいだけど。白兎は、ピッタリと張り付いた。
同じく、カイル様も機嫌が悪くなる。
「あ、重いですよね?何処か岩壁を背にするので」
「このままでいい。キース、この先にセーフティポイントが無かったか? どうせなら、そこまで移動して結界を張り野営をしよう。シェリルに弱った魔獣に……このままじゃ厄介だ。休息をしっかり取れば、こいつらが聖遺物を見つけるのを手助けしてくれるはず」
キース様の指示に従い、移動を始める。キース様とテオ様についていく。白兎はマリア様が抱え、クロを抱いた僕をカイル様が縦抱きにして運ぶ。
こうなったら、聞いてくれないので。バランスを取りやすくするのに首の所に抱きついた。
マリア様の結界が二重がけされた。仮眠が出来るようにそれぞれに天幕が用意された。テオ様とキース様、カイル様が交代で見張りをするようだ。
僕はクロと横になる。白兎は、マリア様が一晩様子を見るからと連れて行ってしまった。
『白兎も、魔物?』
『──そうだな』
『マリア様に、酷いことしないよね?』
『手を出すなと、釘は刺しておいた』
ついクロを抱きしめた。
『シェリル。遅くなった……だが勇者がやたら、近くないか?』
魔力が急激に取られた身だ。
疲れていて、うつらうつらとしてしまう。
『そう、かな?』
『ポーションだって、あんな飲ませ方』
『しー。ごめん。今日……もう、ねむいから……ごめんね。明日はなす、ね』
『悪かった。だが人型に少しだけ戻る。許せ』
『?』
久しぶりの、美形の顔が近付いて来た。思わず目をつぶる。優しく触れた唇が、あっという間に深く口付けられていく。優しく甘く……安堵の中、意識が落ちていった。
キース様が、何故か口笛を吹いたが、マリア様の細長杖でゴンと音がする位小突かれている。
ようやく、魔力が回復してくる。白兎もマリア様に回復をかけてもらったようで、呼吸が安定してきた。今は眠っているようだ。クロも僕の胸の所にしがみついたまま眠ってるみたいだ。
その僕は、カイル様の腕の中にいた。
「あの、もう大丈夫です」
「シェリル……むりを」
「あんた、バカなの!」
マリア様が、カイル様の声を遮った。
「本当に……もう。ティムした魔獣をそんなに必死に守らなくてもいいでしょう? そう言うところが、聖遺物に気に入られる所かも知れないけど。自己犠牲が過ぎるわよ。ちょっとは、自分の体を大切にしなさいよ!」
ポンポンとキース様が、マリア様の肩を叩き何か言っている。
「マリア様……ごめんなさい」
「ああ、もう。謝って欲しいんじゃなくて。ちょっと、ポーション頂戴」
そう言って、カイル様から受け取ると一気飲んでしまった。
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「え、あの白兎も、魔獣ですよ?」
「黒兎の大切な子なんでしょ? ほら」
マリア様から受け取って二匹を抱きかかえる。
なんとなく、クロが不機嫌みたいだけど。白兎は、ピッタリと張り付いた。
同じく、カイル様も機嫌が悪くなる。
「あ、重いですよね?何処か岩壁を背にするので」
「このままでいい。キース、この先にセーフティポイントが無かったか? どうせなら、そこまで移動して結界を張り野営をしよう。シェリルに弱った魔獣に……このままじゃ厄介だ。休息をしっかり取れば、こいつらが聖遺物を見つけるのを手助けしてくれるはず」
キース様の指示に従い、移動を始める。キース様とテオ様についていく。白兎はマリア様が抱え、クロを抱いた僕をカイル様が縦抱きにして運ぶ。
こうなったら、聞いてくれないので。バランスを取りやすくするのに首の所に抱きついた。
マリア様の結界が二重がけされた。仮眠が出来るようにそれぞれに天幕が用意された。テオ様とキース様、カイル様が交代で見張りをするようだ。
僕はクロと横になる。白兎は、マリア様が一晩様子を見るからと連れて行ってしまった。
『白兎も、魔物?』
『──そうだな』
『マリア様に、酷いことしないよね?』
『手を出すなと、釘は刺しておいた』
ついクロを抱きしめた。
『シェリル。遅くなった……だが勇者がやたら、近くないか?』
魔力が急激に取られた身だ。
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『そう、かな?』
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『しー。ごめん。今日……もう、ねむいから……ごめんね。明日はなす、ね』
『悪かった。だが人型に少しだけ戻る。許せ』
『?』
久しぶりの、美形の顔が近付いて来た。思わず目をつぶる。優しく触れた唇が、あっという間に深く口付けられていく。優しく甘く……安堵の中、意識が落ちていった。
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