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43.雑用係②
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「あ、ありがとうございます。体がとても楽になりました」
「そう。良かったわね。これで借りは無しよ」
マリア様が、満足気にしている。
「じゃあ、行こう」
カイル様の一言で、皆出口に向かって歩き始めた。
降ろして貰えそうにない。一度こうするって決めたら、曲げない人だった。遺跡を出るまでは大人しくしよう。
心配してくれてたのだ。
その気持ちは嬉しい。ずっと渡せなかったユニコーンの護身用のナイフを持ったままだ。
毒性のある物を無効化するユニコーンの角。真っ白のナイフ受け取ってもらえるかな?
「カイル様。あの」
「遺跡を出るまでは、このままだ」
「そうではなくて。カイル様に渡したいものがあるのですが……後で受け取ってもらえますか?」
「シェリルから?」
「あの。護身用と言うか。お守り代わりになったらいいなと思って用意したのです。でも僕の貯めていたお金では、大した加工とか装飾とか出来なくて。材質だけはいいと思うから。万が一の時用として受け取ってもらえたら。あ、いえ。要らなかったら捨てても、だいじょ……ぶです」
カイル様は、勇者で伯爵家の人だ。僕の出来る精一杯では、貧相かも知れない。
調子に乗ってしまった。また、やってしまった。皆の前で、断り憎い事を言ってしまった。
後悔で、下を向く。
突然抱き寄せられるように、少しカイル様の手に力が入った。
クロが潰れそう。
慌てて、カイル様を見ると……笑顔だった。
何時ぶりだろう? 不安で仕方無かった幼い日。
身分が違うのに、優しくされたのだ。
壊したのは、自分なのに。あの時のキラキラした笑顔が目の前にあった。
「──シェリル」
「す、す、捨てても大丈夫です!」
「一生大事にする」
一生?そんな大したものではない。
「あの、そんな」
「シェリルが、俺のために素材を取ってきたのか?」
「はい。ユニコーンの角を」
ユニコーンは、テリトリー争いを度々起こす。そして二頭の目撃情報を得て探しに行ったんだ。ユニコーン同士は、どちらかの角を折るまで争うのだ。
「毒消しか。すごいな。今すぐ見たいが、帰ってからだな。ありがとうシェリル。一生大切にする」
まだ、見せてないのに。大丈夫か不安になって行く。
「本当に無理しなくても大丈夫です。使う時がない方がいいと思います。大切にするのではなく、その時が来たら覚えてて使って貰えたらぐらいなので」
「カイル、いちゃいちゃしすぎだ」
キース様のあきれ声が聞こえた。
いちゃいちゃなんて、してないのに。
「シェリルは、小さい頃からカイルのそばにいたみたいだから。弟みたいに可愛いんじゃないの?」
マリア様の一言を聞いて、カイル様が足を止めた。
「──俺が、シェリルの才能に嫉妬して、酷い事をして傷つけたんだ。今ままで雑用扱いにした事も後悔している。王族や他の貴族に目をつけられたくなかった。俺のわがままなんだ。シェリルは、魔法師として魔王討伐の正式なメンバーだ」
そう、僕を皆に紹介したのだ。
「そう。良かったわね。これで借りは無しよ」
マリア様が、満足気にしている。
「じゃあ、行こう」
カイル様の一言で、皆出口に向かって歩き始めた。
降ろして貰えそうにない。一度こうするって決めたら、曲げない人だった。遺跡を出るまでは大人しくしよう。
心配してくれてたのだ。
その気持ちは嬉しい。ずっと渡せなかったユニコーンの護身用のナイフを持ったままだ。
毒性のある物を無効化するユニコーンの角。真っ白のナイフ受け取ってもらえるかな?
「カイル様。あの」
「遺跡を出るまでは、このままだ」
「そうではなくて。カイル様に渡したいものがあるのですが……後で受け取ってもらえますか?」
「シェリルから?」
「あの。護身用と言うか。お守り代わりになったらいいなと思って用意したのです。でも僕の貯めていたお金では、大した加工とか装飾とか出来なくて。材質だけはいいと思うから。万が一の時用として受け取ってもらえたら。あ、いえ。要らなかったら捨てても、だいじょ……ぶです」
カイル様は、勇者で伯爵家の人だ。僕の出来る精一杯では、貧相かも知れない。
調子に乗ってしまった。また、やってしまった。皆の前で、断り憎い事を言ってしまった。
後悔で、下を向く。
突然抱き寄せられるように、少しカイル様の手に力が入った。
クロが潰れそう。
慌てて、カイル様を見ると……笑顔だった。
何時ぶりだろう? 不安で仕方無かった幼い日。
身分が違うのに、優しくされたのだ。
壊したのは、自分なのに。あの時のキラキラした笑顔が目の前にあった。
「──シェリル」
「す、す、捨てても大丈夫です!」
「一生大事にする」
一生?そんな大したものではない。
「あの、そんな」
「シェリルが、俺のために素材を取ってきたのか?」
「はい。ユニコーンの角を」
ユニコーンは、テリトリー争いを度々起こす。そして二頭の目撃情報を得て探しに行ったんだ。ユニコーン同士は、どちらかの角を折るまで争うのだ。
「毒消しか。すごいな。今すぐ見たいが、帰ってからだな。ありがとうシェリル。一生大切にする」
まだ、見せてないのに。大丈夫か不安になって行く。
「本当に無理しなくても大丈夫です。使う時がない方がいいと思います。大切にするのではなく、その時が来たら覚えてて使って貰えたらぐらいなので」
「カイル、いちゃいちゃしすぎだ」
キース様のあきれ声が聞こえた。
いちゃいちゃなんて、してないのに。
「シェリルは、小さい頃からカイルのそばにいたみたいだから。弟みたいに可愛いんじゃないの?」
マリア様の一言を聞いて、カイル様が足を止めた。
「──俺が、シェリルの才能に嫉妬して、酷い事をして傷つけたんだ。今ままで雑用扱いにした事も後悔している。王族や他の貴族に目をつけられたくなかった。俺のわがままなんだ。シェリルは、魔法師として魔王討伐の正式なメンバーだ」
そう、僕を皆に紹介したのだ。
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