【本編完結】 美形魔王の弱点は、僕。

Shizukuru

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28.約束

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 聖女の髪飾りバレッタは、輝く事はなかった。試しに、テオ様とキース様も触れたが反応がない。

「まだ、未熟と言う事かもしれない」
 そうカイル様が言うとマリア様が、抱きついた。

「カイル~。ありがとう。この旅で絶対成長するわ。だから……お願い、私持っててもいい?」
 カイル様は、マリア様を押し返しながら黙っている。

「カイル、念の為にシェリルにつけてみるか?」

 キース様の一言で、全員がこちらをみる。
「やめてください。きっと、マリア様の物です」

 背中のクロは相変わらず項辺りに、擦り寄って来る。

「あら、珍しくいい事言うじゃない。ね、あの子もって言ってるから……お願い」

 ようやく、離れたマリア様にカイル様は、分かったとだけ言った。

 セーフティポイントまで戻り、一人用の天幕などそれぞれが用意している。マリア様のは、僕が手伝った。念の為に、マリア様が結界を張っている。

 食事も済み、みな自由な時間を過ごす事になった。

「シェリル……飯、美味かったよ」
 そう言ったのは、キース様だ。
「ありがとうございます」

「その幻影兎ラビィアは、とりあえず、お前が管理をきちんとすれば……文句は言わない。でもいざという時は、魔物じゃなくて仲間を優先しろ」

「はい」
 そう言って天幕の中へ行ってしまった。
 キース様が……ちょっとだけ認めてくれた気がした。

 僕も、自分の天幕へと戻る。
 カイル様から、簡易的な寝具になるマットを頂いた。余分に持ってきてたって、本当に準備万端だ。 気が利かない……って言われてもしかたないな。

「この前、床で寝たから……気にしてくれたのかな?」
     昔の優しいカイル様を思い出す。
 少し嬉しくなって、ゴロンと転がった。

「なんか……疲れた」
 目を瞑って、柔らかな枕にスリスリとしていると髪の毛をクシャリとされる。

 黒兎の手じゃない……
 そっと目を開ける。

「これで仲良くなれたか?」
「クロ……?」

 黒いローブ姿だ。人型になってる。でも、大きさが……さっきのマリア様よりも大きい。初めてキスされた時くらいだ。

 あ、初めてのキス……
    思わず赤面する。

「顔が赤い……どうした?」
 更に顔が近くに来て、益々どうしていいのか分からない。

「か、体のサイズとか……変えられるの? その姿が本当なの?」

「ほぼそうだ。彼奴らも、俺が兎かあの女くらい小さければ、警戒しないだろう」

 だから、マリア様位のサイズで現れたんだ。顔も隠してた。紅い瞳じゃ……魔族に間違われるから。角とかも無いし魔族ではないみたい……もしかして幻影兎ラビィアの世界の偉い人なのかな? 

 クロの毛並み好きだったんだけど……黒髪もきれい。
「クロって、髪の毛サラサラだね」
 艶やかな髪の毛に思わず触れた。耳にはピアスがいっぱいついている。本当に綺麗で格好いい。 

 でも、勇者の従者が……魔物と付き合うのって不味いかも。 そもそも、誰とも恋愛した事もないし、一人で生きていくつもりだったから、恋人ってどうしたらいいのか全く分からない。

の約束守ったから、次はシェリルも約束を守って」

「約束?」

「ご褒美を──もらう」

 そう言って、また深く口付けられた。











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