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20.リタ神聖国のギルド
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移動は、スムーズに出来てリタ神聖国へ入った。聖遺物のある可能性の場所は、神殿の地下。
神殿の地下と言っても、地下に位置する遺跡のような場所を示してある。入口はダンジョンの階層と繋がっているようで、冒険者ギルドに向かっている。
四頭の馬が用意されていた。二人乗りが二組で、キース様が一人で乗るなら一頭余ってしまう。テイマーの事は、カイル様以外に伏せている状況だ。でも、ここでティムすれば楽に一人で騎乗出来る。実は、下手なりに乗れるのだ。
「僕は、一人で」
カイル様が、耳打ちしてくる。
「マリアと相乗りしたくないんだ。分かるな?」
王女様達に求婚されているのだから、それもそうか。
「でも、何かあった時のために馬をティムして並走させてくれ。皆には良く訓練されている馬と言う事にしておく」
「はい」
カイル様が、マリア様達に今後の話をしている間に栗毛の子の所へ移動する。じっと見ていると自然に頭を寄せてくれた。
「──いい子」
もう一度目を合わせる。皆に背を向けた状態だから、僕の瞳の色が変わっても気が付かない。
『魅了、我が支配下に入れ』
「皆についてきて」
一度目を瞑る、そしてまた色を変えた。
馬を用意してくれてた転移門の警護の方々に挨拶をして、ギルドを経由してダンジョンへ向かう。こちらのギルドは大きいらしい。宿泊用に四部屋確保してもらっていて一泊して、明日からがダンジョンに入る。
予定通り、僕はカイル様と騎乗している。栗毛の子は、ちゃんと並走してきた。可愛い。これなら、馬に乗れると思う。それをもう一度伝えようとした。
「カイル様。二人乗りはもう……」
「シェリルはこのままだ。それと今日は、同じ部屋だ」
「いえ僕は、野宿でも馬小屋でも大丈夫です」
勇者一行は、四人と広まっている為に僕は頭数に入っていなかったのだ。
「疲れがとれないだろ? それに虫除けになる」
(女性冒険者避け……か)
ギルドにつけば、勇者一行は歓迎されてギルドの中へ入っていった。僕は馬の世話をするついでに、現地の冒険者に魔物の情報を共有する事にした。事前の情報収集はとても大事だ。アルト様からの教えは、本当に役に立つ。
「シェリル。失敗したとか、イレギュラーが起きた、そう言う話を上手く聞きだして。今後の対策を練りやすくなる。それが困った時に役立つよ。分かるか?」
初めて会った時は、あんなに威嚇してきたのに。
「魔物をティムしてでも、生きろ」
アルト様、教え通り頑張るので無駄死にはしませんから。
ようやく落ち着いたのか、カイル様が店内から出て迎えに来た。
「悪い。遅くなった。部屋に行く」
二人で部屋に行こうとした時に、キース様に呼び止められた。
「雑用済んだなら、すぐ戻ってこい。カイルの手を煩わすな。本当に気が利かないな。他に優秀な魔法師を入れた方が良くないか? それに勇者のベッドを取るなよ」
「はい」
「この子、必要なんですか? 気が利かない見たい。カイルに迷惑かけないでよね」
「気をつけます」
「俺が呼びに行っただけだ。いくぞ」
「はい」
「もう、カイルったらそんな子、ほっとけばいいのに……」
頭を一度下げて、部屋へとついていく。ドアを閉めて中を確認すると、割と良い部屋に見えた。
少し大きめのベッドがある寝室。サイドテーブルには、食事が置いてある。ソファもあった。
隣りの小さめの部屋には、クローゼットや他に机や椅子まである綺麗な部屋だ。
それから、ソファの所にブランケットが多めに置いてあった。
「何も食事してないだろ? 少しでもいいから口にした方がいい。それから、俺はソファで寝るから……」
「いいえ。ベッドでゆっくり休んで下さい。僕は床で寝ます。食事もさっき外で食べたので大丈夫です。ブランケットを一枚だけお借りしますね。では隣の部屋を借りますね」
「──シェリル!」
「お休みなさい」
そう言って、寝室を後にした。
神殿の地下と言っても、地下に位置する遺跡のような場所を示してある。入口はダンジョンの階層と繋がっているようで、冒険者ギルドに向かっている。
四頭の馬が用意されていた。二人乗りが二組で、キース様が一人で乗るなら一頭余ってしまう。テイマーの事は、カイル様以外に伏せている状況だ。でも、ここでティムすれば楽に一人で騎乗出来る。実は、下手なりに乗れるのだ。
「僕は、一人で」
カイル様が、耳打ちしてくる。
「マリアと相乗りしたくないんだ。分かるな?」
王女様達に求婚されているのだから、それもそうか。
「でも、何かあった時のために馬をティムして並走させてくれ。皆には良く訓練されている馬と言う事にしておく」
「はい」
カイル様が、マリア様達に今後の話をしている間に栗毛の子の所へ移動する。じっと見ていると自然に頭を寄せてくれた。
「──いい子」
もう一度目を合わせる。皆に背を向けた状態だから、僕の瞳の色が変わっても気が付かない。
『魅了、我が支配下に入れ』
「皆についてきて」
一度目を瞑る、そしてまた色を変えた。
馬を用意してくれてた転移門の警護の方々に挨拶をして、ギルドを経由してダンジョンへ向かう。こちらのギルドは大きいらしい。宿泊用に四部屋確保してもらっていて一泊して、明日からがダンジョンに入る。
予定通り、僕はカイル様と騎乗している。栗毛の子は、ちゃんと並走してきた。可愛い。これなら、馬に乗れると思う。それをもう一度伝えようとした。
「カイル様。二人乗りはもう……」
「シェリルはこのままだ。それと今日は、同じ部屋だ」
「いえ僕は、野宿でも馬小屋でも大丈夫です」
勇者一行は、四人と広まっている為に僕は頭数に入っていなかったのだ。
「疲れがとれないだろ? それに虫除けになる」
(女性冒険者避け……か)
ギルドにつけば、勇者一行は歓迎されてギルドの中へ入っていった。僕は馬の世話をするついでに、現地の冒険者に魔物の情報を共有する事にした。事前の情報収集はとても大事だ。アルト様からの教えは、本当に役に立つ。
「シェリル。失敗したとか、イレギュラーが起きた、そう言う話を上手く聞きだして。今後の対策を練りやすくなる。それが困った時に役立つよ。分かるか?」
初めて会った時は、あんなに威嚇してきたのに。
「魔物をティムしてでも、生きろ」
アルト様、教え通り頑張るので無駄死にはしませんから。
ようやく落ち着いたのか、カイル様が店内から出て迎えに来た。
「悪い。遅くなった。部屋に行く」
二人で部屋に行こうとした時に、キース様に呼び止められた。
「雑用済んだなら、すぐ戻ってこい。カイルの手を煩わすな。本当に気が利かないな。他に優秀な魔法師を入れた方が良くないか? それに勇者のベッドを取るなよ」
「はい」
「この子、必要なんですか? 気が利かない見たい。カイルに迷惑かけないでよね」
「気をつけます」
「俺が呼びに行っただけだ。いくぞ」
「はい」
「もう、カイルったらそんな子、ほっとけばいいのに……」
頭を一度下げて、部屋へとついていく。ドアを閉めて中を確認すると、割と良い部屋に見えた。
少し大きめのベッドがある寝室。サイドテーブルには、食事が置いてある。ソファもあった。
隣りの小さめの部屋には、クローゼットや他に机や椅子まである綺麗な部屋だ。
それから、ソファの所にブランケットが多めに置いてあった。
「何も食事してないだろ? 少しでもいいから口にした方がいい。それから、俺はソファで寝るから……」
「いいえ。ベッドでゆっくり休んで下さい。僕は床で寝ます。食事もさっき外で食べたので大丈夫です。ブランケットを一枚だけお借りしますね。では隣の部屋を借りますね」
「──シェリル!」
「お休みなさい」
そう言って、寝室を後にした。
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