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8.ダンジョン攻略
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誘蝶は、真っ黒の羽に紅いライン入った蝶の名前だ。大きさは大人の掌サイズ。岩肌の隙間や天井に張り付いているので比較的見つけやすい。ただ、鱗粉に幻覚作用がある。
これをばら撒かれると厄介なのだ。人により効きやすい体質の者がいるらしい。仲間が魔物に見えてしまい、途端にバトルが始まって負傷者が出た事があるらしい。
つまり酔ったようになってしまうのだ。恐怖に怯えて戦闘不能になる場合もあるから、先ずは鱗粉を浴びないのが一番良い。
先頭のマーティス様、少し後ろを僕とギルマスのアルト様が並んでついて行く。その後ろ辺りに侍女のリリー様とエルフのテオ様だ。
ダンジョンの地下一階は、単なる洞窟レベルなので獣が多い。
獣をマーティス様が蹴散らしていく。僕は隙間を確認しつつ次の階の探索を巡らせていた。
どうやら三階層にも隠れていないみたいだ。
「シェリルって、眼がいいよね?」
アルト様の質問の意味を考えてみる。ニヤニヤしている理由はなんだろう?
「どこに誘蝶はいそう?」
探索をしている事もバレているみたいだ。
「地下四階の、岩壁の割れ目に特に多くいそうです」
マーティス様も笑ってこちらを見た。手は止まらずに獣を倒している。多分殺してはいない。気を失わせてる感じだ。
「なら、一気に四階に行こうか。さっさと済ませたいしね。他に厄介そうなのはいる?」
二階までは、獣くらいで魔獣ではない。先の事を考えると植物系の物は、クエストじゃないからスルーした方がいいと思う。
こちらにちょっかいをかけて来るものもあまりいない。
三階になれば吸血コウモリは出てきそうだけど、わざわざつつく必要はない。スライムもこの階層ならまだ小さくて弱い物だけだ。
植物で移動する厄介なやつは、さらに下の階層に生息してるはず。
「三階層以下に出る可能性があるのは、三頭魔犬と双頭黒犬、それから幻影兎です」
「誘蝶の鱗粉はもちろん、シェリルに採取してもらうけど、対魔獣もみたいな。皆、三頭魔犬と双頭黒犬は最低一匹ずつは、シェリルに残して。幻影兎は、臆病だから出てこないだろうね。残りの犬は殲滅していいから」
そして、一気に四階まで駆け降りて行く。大人について行く為に、ブーツに魔法をかけてある。
実は回復ポーションも持ってきている。師匠の本にあったレシピを見て作って見ただけで、効果は分からない。
(大丈夫。置いてかれたりしない)
時々、指揮棒でいなしながら、周りの戦い方を目に焼きつける。今は連携出来なくても、いつか役に立つはずだ。
エルフのテオ様は、無駄が無い。弓の援護ってめちゃくちゃ頼りになる。リリー様は、暗器を投げているみたいだけど手さばきが速くて、その動きを追い切れない。
「シェリルの補助魔法、中々だね」
アルト様は紅蓮の剣を使うこと無く、タガーナイフより長目の剣で軽やかに対応している。やっぱり複数の武器を持ってるんだ。僕もタガーナイフみたいなの欲しいな。
四階に降りて来て、思う。雰囲気が変わった。さっきまでは、冒険者じゃ無くても狩りをする人は対応出来るはず。三階から少しづつ変化して来た。ここからは、冒険者じゃないと厳しいのだと理解してしまう。
──きっと、魔獣が出る。
「シェリルは、本当にいい眼をしてる。焦げ茶に見せてるなんて……勿体ないね」
伯爵家の従者のマーティス様やリリー様は、僕の瞳の色の事を知ってる。でもS級のギルマスには、言わなくてもバレてしまうのだと分かった。
「目立ちたくないので」
「そうだね。今は隠して置くといい。必要な時に使えばいいさ」
(必要な時に使うってどう言う意味なんだろう?)
目的の誘蝶から鱗粉を採取して瓶に蓋をした。
そして視界に入ってきたのは、双頭黒犬に追い詰められている黒兎の姿だった。
これをばら撒かれると厄介なのだ。人により効きやすい体質の者がいるらしい。仲間が魔物に見えてしまい、途端にバトルが始まって負傷者が出た事があるらしい。
つまり酔ったようになってしまうのだ。恐怖に怯えて戦闘不能になる場合もあるから、先ずは鱗粉を浴びないのが一番良い。
先頭のマーティス様、少し後ろを僕とギルマスのアルト様が並んでついて行く。その後ろ辺りに侍女のリリー様とエルフのテオ様だ。
ダンジョンの地下一階は、単なる洞窟レベルなので獣が多い。
獣をマーティス様が蹴散らしていく。僕は隙間を確認しつつ次の階の探索を巡らせていた。
どうやら三階層にも隠れていないみたいだ。
「シェリルって、眼がいいよね?」
アルト様の質問の意味を考えてみる。ニヤニヤしている理由はなんだろう?
「どこに誘蝶はいそう?」
探索をしている事もバレているみたいだ。
「地下四階の、岩壁の割れ目に特に多くいそうです」
マーティス様も笑ってこちらを見た。手は止まらずに獣を倒している。多分殺してはいない。気を失わせてる感じだ。
「なら、一気に四階に行こうか。さっさと済ませたいしね。他に厄介そうなのはいる?」
二階までは、獣くらいで魔獣ではない。先の事を考えると植物系の物は、クエストじゃないからスルーした方がいいと思う。
こちらにちょっかいをかけて来るものもあまりいない。
三階になれば吸血コウモリは出てきそうだけど、わざわざつつく必要はない。スライムもこの階層ならまだ小さくて弱い物だけだ。
植物で移動する厄介なやつは、さらに下の階層に生息してるはず。
「三階層以下に出る可能性があるのは、三頭魔犬と双頭黒犬、それから幻影兎です」
「誘蝶の鱗粉はもちろん、シェリルに採取してもらうけど、対魔獣もみたいな。皆、三頭魔犬と双頭黒犬は最低一匹ずつは、シェリルに残して。幻影兎は、臆病だから出てこないだろうね。残りの犬は殲滅していいから」
そして、一気に四階まで駆け降りて行く。大人について行く為に、ブーツに魔法をかけてある。
実は回復ポーションも持ってきている。師匠の本にあったレシピを見て作って見ただけで、効果は分からない。
(大丈夫。置いてかれたりしない)
時々、指揮棒でいなしながら、周りの戦い方を目に焼きつける。今は連携出来なくても、いつか役に立つはずだ。
エルフのテオ様は、無駄が無い。弓の援護ってめちゃくちゃ頼りになる。リリー様は、暗器を投げているみたいだけど手さばきが速くて、その動きを追い切れない。
「シェリルの補助魔法、中々だね」
アルト様は紅蓮の剣を使うこと無く、タガーナイフより長目の剣で軽やかに対応している。やっぱり複数の武器を持ってるんだ。僕もタガーナイフみたいなの欲しいな。
四階に降りて来て、思う。雰囲気が変わった。さっきまでは、冒険者じゃ無くても狩りをする人は対応出来るはず。三階から少しづつ変化して来た。ここからは、冒険者じゃないと厳しいのだと理解してしまう。
──きっと、魔獣が出る。
「シェリルは、本当にいい眼をしてる。焦げ茶に見せてるなんて……勿体ないね」
伯爵家の従者のマーティス様やリリー様は、僕の瞳の色の事を知ってる。でもS級のギルマスには、言わなくてもバレてしまうのだと分かった。
「目立ちたくないので」
「そうだね。今は隠して置くといい。必要な時に使えばいいさ」
(必要な時に使うってどう言う意味なんだろう?)
目的の誘蝶から鱗粉を採取して瓶に蓋をした。
そして視界に入ってきたのは、双頭黒犬に追い詰められている黒兎の姿だった。
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