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40.だから、僕じゃない
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18階層からは、セオドアにルカニア、その従者エイダンとヒューゴの2人も加わり攻略が早く進む。
流石に疲れが出始める。
エミリーの魔力回復薬を勧めるが、頑なに拒まれる。
色も、匂いも、味も、最悪だからなぁ。
でも効果は抜群なんだよなぁ。
毒味を兼ねて僕とディランとノアが飲んだのを見ると、恐る恐る、飲み干していた。
直後は、やはり毒か!?と悶えていたが…魔力の回復の速さに嬉々として驚いていた。
念のため、もう1瓶づつを携帯させて、先へと進む。
一区切りつけ、交代で仮眠を取ったりしながら、階層主を倒して、回復薬を飲んだ。
3日は、経っただろうか…抜け道も使いショートカットしながら進んできた。
30階を超え、32階の安息ポイントまで、誰も欠ける事なくやってきた。また少し仮眠をとる事になった時──
ルカニアが声をかけて来た。
「何の為に、こんなに魔石が必要なんだ?」
「──知ってどうするの?」
ディランとヒューゴが入り口付近を見張っていて、セオドアとエイダンが眠っている。
ノアも僕の隣りで、目を閉じている。微かに寝息が聞こえている。ずっと、守ってくれている。
もたれているとその体温を感じて、うとうとしそうになっていた。
「知りたい──じゃ駄目なのか?
魔石が大量にいるのは、儀式か何かをするんだろう?危険性はどうなんだ?
自身を犠牲にしようとしてないのか、気になるからだ。
最初は、二重人格に翻弄された。だが、叶夢の側は居心地が良くて、忘れられないんだ。
叶夢がこの先、どうするのか気になって仕方がない。
俺との魔力譲渡の相性も良かっただろう?
忘れたなら、試さないか?」
ジリジリと寄ってくるけど…。
「勘違いだよ。
覚えてないし。魔力譲渡は、ノアだけだよ。
それ以外にあったとしても、
僕の記憶はあやふやだし。
だから、どんなに期待されても、僕じゃない。」
言い切る。
本当に、覚えているのは所々なんだ。朦朧としてた時の事は、ノーカンでいい。
それに何度も助けてくれる腕と温もりは1人だけなんだ。
ギュッと後ろから手が回って来て抱き寄せられた。
狸寝入りだった?
「こんなとこで、まだ口説くのか?変態王子。もうそろそろ引き返したら?地上で必要なのはお前のような、立派な王子様じゃない?帝国の王子が地下に留まってないで、さっさと引き上げなよ。」
なんだかんだで、ノアはルカニア王子を認めているんだよね。
混乱期には、カリスマ性のある人物が国をまとめる方が上手くいく。
こんな、地下で失ってはいけない。
光に、希望になる王子をここから、返したいのは多分本人以外満場一致なのに。
困った人だな。
王子が気になっているのは、アークとかアシェルの意識だよ。
だから、それは僕じゃない。
流石に疲れが出始める。
エミリーの魔力回復薬を勧めるが、頑なに拒まれる。
色も、匂いも、味も、最悪だからなぁ。
でも効果は抜群なんだよなぁ。
毒味を兼ねて僕とディランとノアが飲んだのを見ると、恐る恐る、飲み干していた。
直後は、やはり毒か!?と悶えていたが…魔力の回復の速さに嬉々として驚いていた。
念のため、もう1瓶づつを携帯させて、先へと進む。
一区切りつけ、交代で仮眠を取ったりしながら、階層主を倒して、回復薬を飲んだ。
3日は、経っただろうか…抜け道も使いショートカットしながら進んできた。
30階を超え、32階の安息ポイントまで、誰も欠ける事なくやってきた。また少し仮眠をとる事になった時──
ルカニアが声をかけて来た。
「何の為に、こんなに魔石が必要なんだ?」
「──知ってどうするの?」
ディランとヒューゴが入り口付近を見張っていて、セオドアとエイダンが眠っている。
ノアも僕の隣りで、目を閉じている。微かに寝息が聞こえている。ずっと、守ってくれている。
もたれているとその体温を感じて、うとうとしそうになっていた。
「知りたい──じゃ駄目なのか?
魔石が大量にいるのは、儀式か何かをするんだろう?危険性はどうなんだ?
自身を犠牲にしようとしてないのか、気になるからだ。
最初は、二重人格に翻弄された。だが、叶夢の側は居心地が良くて、忘れられないんだ。
叶夢がこの先、どうするのか気になって仕方がない。
俺との魔力譲渡の相性も良かっただろう?
忘れたなら、試さないか?」
ジリジリと寄ってくるけど…。
「勘違いだよ。
覚えてないし。魔力譲渡は、ノアだけだよ。
それ以外にあったとしても、
僕の記憶はあやふやだし。
だから、どんなに期待されても、僕じゃない。」
言い切る。
本当に、覚えているのは所々なんだ。朦朧としてた時の事は、ノーカンでいい。
それに何度も助けてくれる腕と温もりは1人だけなんだ。
ギュッと後ろから手が回って来て抱き寄せられた。
狸寝入りだった?
「こんなとこで、まだ口説くのか?変態王子。もうそろそろ引き返したら?地上で必要なのはお前のような、立派な王子様じゃない?帝国の王子が地下に留まってないで、さっさと引き上げなよ。」
なんだかんだで、ノアはルカニア王子を認めているんだよね。
混乱期には、カリスマ性のある人物が国をまとめる方が上手くいく。
こんな、地下で失ってはいけない。
光に、希望になる王子をここから、返したいのは多分本人以外満場一致なのに。
困った人だな。
王子が気になっているのは、アークとかアシェルの意識だよ。
だから、それは僕じゃない。
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