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38.目覚め
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その姿は、美麗な青年。
水晶に閉じ込められ、植物の蔦が絡みついている。
地下なのに、淡く光が差し込んで神秘的な妖精の森のようだ。
魔力による人工的な光なのだろう。
夜になっても、明るさは変わらない。
僅かにヒビが入る。
無音の世界に、ピシリと。
ピシ、ピシと、ヒビの入る音が響いていく。
まだ、砕けないか?
アークライド…
早くお前に逢いたいよ。
ずっと、そばにいてくれるんだろう?
1人で、こんな所に縛り付けるなんて──
逢いたい。
触れたい。
アークだけが欲しい。
ここは寒くて、寂しい。
抱きしめて、その体温を熱を分けてくれないか?
なぜ、目の前から消えた?
恨んでいるのか?
あの日──
アークが連れ去られ、追いかけた。
それが、罠とも知らずに。
なんの抵抗も出来ないまま切り刻まれて、もう一度触れたい、逢いたいと願ってしまったんだ。
もう、後数分で心臓が止まるはずだった。
だが、泣き叫ぶアークの声が聞こえたよ。
騙された俺のために、魔力を放出し続けて──
駄目だ。それ以上は、アークが死んでしまう。
俺が死ななければいいのか?
そう思ってしまった。
なんとしても、アークの元へ戻りたい。
悪魔の囁きにしがみついてしまったんだ。
アークをこんなに苦しめた錬金術師が孤児や貧しい者を嬉々として実験していた事も知っている。
何度取り締まっても裏で実験が繰り返されていた。
そして俺達を引き裂いた。
ならば──
アーク以外は、全滅してやる。
力が足りない。
そうだ。
力を手に入れて、
この世界を壊せばいいのだ。
一度は失敗したが、こざかしい錬金術師と魔術師をもう一度消してやる。
力を得る為にお前の魔力以外の物を受け入れたんだ。
全部、アークライド。
君の為なんだ。
拒まないでくれ。
この世界は、2人だけでいいんだ。
お前だけが欲しい。
迎えに行くよ。
水晶に閉じ込められ、植物の蔦が絡みついている。
地下なのに、淡く光が差し込んで神秘的な妖精の森のようだ。
魔力による人工的な光なのだろう。
夜になっても、明るさは変わらない。
僅かにヒビが入る。
無音の世界に、ピシリと。
ピシ、ピシと、ヒビの入る音が響いていく。
まだ、砕けないか?
アークライド…
早くお前に逢いたいよ。
ずっと、そばにいてくれるんだろう?
1人で、こんな所に縛り付けるなんて──
逢いたい。
触れたい。
アークだけが欲しい。
ここは寒くて、寂しい。
抱きしめて、その体温を熱を分けてくれないか?
なぜ、目の前から消えた?
恨んでいるのか?
あの日──
アークが連れ去られ、追いかけた。
それが、罠とも知らずに。
なんの抵抗も出来ないまま切り刻まれて、もう一度触れたい、逢いたいと願ってしまったんだ。
もう、後数分で心臓が止まるはずだった。
だが、泣き叫ぶアークの声が聞こえたよ。
騙された俺のために、魔力を放出し続けて──
駄目だ。それ以上は、アークが死んでしまう。
俺が死ななければいいのか?
そう思ってしまった。
なんとしても、アークの元へ戻りたい。
悪魔の囁きにしがみついてしまったんだ。
アークをこんなに苦しめた錬金術師が孤児や貧しい者を嬉々として実験していた事も知っている。
何度取り締まっても裏で実験が繰り返されていた。
そして俺達を引き裂いた。
ならば──
アーク以外は、全滅してやる。
力が足りない。
そうだ。
力を手に入れて、
この世界を壊せばいいのだ。
一度は失敗したが、こざかしい錬金術師と魔術師をもう一度消してやる。
力を得る為にお前の魔力以外の物を受け入れたんだ。
全部、アークライド。
君の為なんだ。
拒まないでくれ。
この世界は、2人だけでいいんだ。
お前だけが欲しい。
迎えに行くよ。
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