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32.禁忌

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空間が歪み、隠れ家に移動をする。

「あらら、眠ってる?」
「ああ。」

「意識を奪い、身体を借りるなんてね簡単じゃないのに。の意識なんだろうね?」

「助けたい奴がいるそうだ。」

「叶夢じゃなくて?」

「ああ。叶夢をベッドに運んでくる。エミリーが持っている情報も知りたい。」

「いーよー。ディランがダンジョンで身体鍛え直して来るって言って出てるんだよね。魔石も取ってきてもらう予定。ディランには、私の知ってることは話したよ。」

「分かった。部屋に寝かせて来るからちょっと待って。」

「んー。その部屋に行って話そうか?叶夢を見張っとかないと消えそうで不安なんだよね。叶夢にも外野にも漏らさないように防音は、張るよ。」
3人で、俺達の部屋へ移動し、叶夢をベッドに寝かせ、椅子に座った。

「ノアは、叶夢の親の事気づいた?」

隠す必要もない。
頷く。

「そ。じゃあ、ガルシア王家の能力が1に受け継がれる事は知ってた?」

思わず、叶夢の方を見てしまった。

「アイツが言ってた。アシェル様が不適合者って、そう言う意味なのか。」

「ふ~ん。叶夢の意識の中いる奴は、少なくともその辺の事情は分かっているんだね。」

「叶夢の母親は…」

「うん。マリア・グラシアスだね。当時神殿にいた巫女。金色の瞳を持つ、治癒師。
恋仲だったのか、無理矢理だったのかは、わかんないけど…陛下の子供を身籠ってしまったんだろうね。
神殿の巫女がね。
処分も出来ず、陛下…当時の王子だけど、王子から逃げたって事だよね。
逃げた先で、叶夢の育ての父と家族になったんじゃないかな?」

「そうだな。父親とも妹とも似てなかった。アシェル様の方に似ているな。いや、陛下に似ているのか。」

「叶夢に意識を奪う奴ってさ。
アシェル様じゃないんだよね?」

「ああ。違うな。
叶夢の事も大事だが、さらに助けたい奴の為に叶夢を利用するしかない、そんな言い方だった。
世界が壊れるような、そんな話もしてたんだ。
その辺りは、全く意味が分からない。」


「そっか。じゃあさ、ノアは、ダンジョンに封印されている者の噂を知っている?
アークライド王が賢王って言われてた頃の事だけど。」

「アークライド王の側近だか、従者だかが、禁忌を犯して封印された話なら聞いた事はある。」

じっと、エミリーが俺を見ている。

「何?」

「禁忌を犯したのは、王だよ。
殺された、従者を錬成した。」

人を錬成してはいけない、それは悪魔を生み出すからだ。
そうか、失敗したからこその言葉と言うことか──










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