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22.魔力譲渡

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目が覚めると、ノアとディランと川の字で寝ていた。

2人ともタイプは違うけど、格好良くてモテそう。

ノア曰く、アシェル様は綺麗な方だったよと言う。

図書館で遭遇した金髪男も、モデルみたいだったし。

異世界人って美形だらけなのかな。
綺麗な紫色だった。

変態に触られたのは、ただ怖くて
気持ち悪かったのに。

男の人だったのに。キスされてしまった。ファーストキスが男ってどうなの?

ノーカン?男の人とのキスって
ノーカンでいいよね?事故みたいなもんだよね。

でも、嫌じゃなかった?
な、やだ。何考えて…。

気の迷いだ。うん。変態のせいだ。
そうとしか、思えない。

忘れろ。全部忘れるんだ──!


リビングに移動して、ソファに座り、頭を抱えて考えてしまう。
はぁ。もう、考えない考えない!

そうだ!電動ベッドをどうにかしてもらおう。いつまでもリビングにあるの変だよね。
これって、病院の?
ディランに聞いたらいいのかな。

魔術で、パッて片付けてくれる気がする。

つい昨日は、客間で一緒に寝たけど、今日からは、やっぱり自分の部屋に戻るべきだよね?

どうしようかな?
そう思ってたら、ノアに声をかけられた。



「叶夢。これ飲んで。」
あの恐ろしく不味そうな飲み物を持って側に寄って来た。

思わず、顔をしかめる。
「飲まなきゃ駄目?」

「何度も倒れたろ?身体が楽になるからね。ほら、良薬なんたらとか言ってたじゃん、病院でもさ。」

良薬口に苦し──

いや、苦いなら良いけど。
臭いが…。

「ふーん。じゃあさ。俺が魔力譲渡しようか?
キスか、性行為だけど。」

「は?キス?
せいこうい…?性行為?
せっ、く、すって事?」

その言葉の意味を理解する。
顔中に熱が集まる。

「あん?もしかして抱くのも、抱かれるのも経験無しとか~?
へぇ。19になっても、綺麗なまんまかぁ。
俺とじゃ、体格差あるしねぇ。
叶夢は抱かれる方になるね。

粘膜接触が回復が早いし、キスより繋がったら早いよ?
薬と俺に抱かれるのとどっちが良いか選んでよ。」

ニコニコしながらノアが僕を見る。

「く、薬。」
ノアの手からコップを奪い、一気飲みした。
ノアは、気持ち悪くないから触られても平気そうだけど、そういうのは違う気がする。


ぐぁっ、まずっ。うぇ…。吐きそう。

しばらく口を押さえて、身体を丸めて縮こまっていた。

ノアが、少し笑い声をあげた。

不味かった。だけど、ポカポカし始めた。


「どう?不味いけど、かなり効くよ。
叶夢は、俺に抱かれるの嫌なら、ディランにお願いしたら?ふふ。」

本当に優しく笑う。でも、からかい過ぎだよ。
「どっちも、やだ。
男同士なんて、無理。」

「本当に?」

何か、顔が近い。

「ふーん?もしかして、キスもした事ないのかなぁ?」

「──あるよ。」
不本意だったけど。あいつに…。


「え~。本当に?いつ?」

「いつでも、いいでしょう?」
真っ赤になってしまう。

「最近?」

「な、ちが、う。」

「あたり?え~意外にディランだったりする?」

「なわけないでしょう!
なんで、相手が男の人ばっかり言うんだよ!」

「そうだねぇ。叶夢は、自覚した方が良いよ?そう言う目で見られやすい。男に執着されやすい──顔、声、身体。」

「何言ってるの?」
そんな、わけない。

「きっと覚えがあるはずだよ?
今まで、付き纏われたりとか、ね。」

今まで──
やたら、触ってくる友達。
いつの間にか紛失している持ち物。
待ち伏せとか、何度かあったっけ。

告白されたり、冗談って流してきたけど…本気だった?

まじまじと、ノアの顔を見る。

「ノアって、男の人が好きなの?あの、こっちの世界は恋愛対象は異性の方が多いんだ。ノアのいた所は、違うの?」

「ん? 好きなら性別関係ないよ?キスしたい。触れたいって思った相手と繋がるのが普通。
まあ、貴族とかは家の為に結婚する事が多いかな。でも相手は、男でも女でも問題ない。」

「そうなんだ。」

「何?好きな男でもいる?」

「だから、どうして相手を男にするんだよ!そんなんじゃないから。」 

「あのさ。手首のところなんだけど。ついてるんだよね。これ、叶夢を獲物扱いにしてる痕なんだ。
消したいんだけどね。エミリーぐらいしか消せないと思う。とりあえず応急処置で目眩しをかけるよ。いい?」

「王国の追手って事?
なら、早くして。ディランやノアにも危険が及ぶなら、すぐしていいよ!」

また、優しく笑う。
「分かった。大人しくしててね。」

そう言って、ノアが手首の傷痕場所をカプッと咥えた───


 


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