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14.叶夢の中の人
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空間が歪み、叶夢が姿を見せる。
「「叶夢!!」」
ノアとディランが側に駆け寄る。
「少し、遅くなったね。ちょっと休ませ…て?」
「お前!一体誰だよ!!
空間移動なんて、まさか、王国に戻ったのか!!!」
ワインレッドの瞳のままの叶夢が笑う。
「悪い。魔力切れ、だ。寝かせてくれるか?
少し、魔力を分けてくれると助かるけど。
後は、エミリー?の薬に頼ろうかな?」
話をするのもキツそうな叶夢をノアが支える。
「ディラン、ノア。叶夢の19歳の誕生日がすぐなんだ。
祝ってやってくれる?
7月7日だから。
じゃ、頼んだ。」
そのまま目を閉じて、足の力が抜けたのか、ガクンと崩れ落ちる。
「おい!こらっ。ちょっと待って。おいっ…寝るなっ。おいっ。」
ノアの腕の中で叶夢が、意識を失う。
「寝た、のか?」
ディランが心配そうに叶夢を見つめる。
「あーもう。くそ。」
ノアが横抱きに叶夢を抱え上げた。
「軽いな。」歩きながら、叶夢を見つめる。
とりあえず、リビングに置いてあるベッドに寝かせる。
「まだ、まともに食べれてないよね?
隠してたみたいだから、見て見ぬふりしてたけど。
たまに、トイレで吐いたりしてるし。」
はぁ。ノアが溜息を落とした。
「それにしても、一体何が起きているんだ?
アシェル様の瞳の弊害か?
それとも、契約したガルシアの指輪の影響か?」
ディランも困惑している。
また空間が歪み、エミリーが現れた。
「お前っ。何処に行ってたんだ!俺達は、逃げて隠れているんだよ!
勝手に行動するの止めてくれない?
叶夢も突然消えるし。
魔力だってまだ馴染んでないんだよ。
魔術もちゃんと、使い熟せて無いはずなのに…。
何が起こっているか分からな過ぎ!
あーもう。心臓に悪すぎる!」
ノアが、ブチ切れている。
「落ち着け、ノア。
エミリーは、何をしてたんだ?」
「叶夢を見てたよ?
王国まで、行って戻って来た。
色々、ヤバそうなんだよね。」
「「王国までついて行った!?」」
「あー、煩い。
私は、魔女だよ?変身魔法も得意なんだってば。
小さな虫になって、くっついて行ったの。
デラクール王国が、きな臭い。
クロスウェル帝国も動き出した。
先に戻って、情報をしっかり集めておきたい。
叶夢には、薬の材料を取りにダンジョンに向かったって言っててよ。
連絡は、必ず入れる。分かった?」
「それは、助かるが…空間魔術をエミリーは、使えたのか?」
「ふふ。空間魔術は無理。
でも、私は、魔女なんだよ。今回は透過の魔法陣を使う。何度も使えないけどね。
それに、ダンジョンに隠れるのが、1番良いと思う。
これからの事を考えて、隠れ家も作って置くよ。
追手が増える前に行く。」
そう言ってエミリーが、一瞬姿を消した。
行ったのか?と思ったその時、空間から手だけ出てきた。
不気味な赤黒い液体入りの小瓶を持っている。
ディランが、受け取ると、その手を振りながら消えて行った。
取り残された形の2人が、脱力して顔を見合わせる。
ディランは、リビングの壁に寄りかかりノアと叶夢を見ている。
ノアは、叶夢の寝ているベッドの隣に椅子を置き腰掛けた。
「なんかもう。よく分かんない。とりあえず、叶夢の誕生日を祝ってやれって言ってたよね?
て、事はさ。
叶夢じゃない人物に頼まれたって事だよね?」
叶夢の手を握って魔力をゆっくりと送りながら、ノアがディランに問いかける。
「そうだな。」
彼の手を大切そうに、握っているノアは、
「魔力、枯渇しかけるなんて一体何してきたんだよ。あんまり、心配させるな、バカ叶夢。」
小さな声で何やらぶつぶつと叶夢に向かって話しかけているようだ。
「ノア、魔力譲渡は大丈夫か?
キツくなったら何時でも変わるぞ?
それにしても叶夢の中に、俺達が知らない誰かの意思が働いているのは、間違いないだろう。
それが、アシェル様なのか?
別の誰かか?
複数なのかも分からない。
指輪は王家に伝わる遺物だ。
賢王アークライドの遺志があるのかも知れない。
それを考えるには、情報が無さすぎるな。
エミリーの情報収集を待つしか無さそうだ。
今の俺達に出来る事は、アシェル様の願い通り叶夢を護る事と…
それと、叶夢に頼まれた誕生祝いか?」
「ん。そうだね。
それと叶夢が起きたら、王国で何があったか覚えてないか聞いてみるよ。」
こちらの世界の暦をみる。
「7月7日って、明日?」
「そうだな。
祝うって、料理がまともに出来るのは、叶夢くらいだぞ?」
2人で、さらに深く溜め息をついた。
「「叶夢!!」」
ノアとディランが側に駆け寄る。
「少し、遅くなったね。ちょっと休ませ…て?」
「お前!一体誰だよ!!
空間移動なんて、まさか、王国に戻ったのか!!!」
ワインレッドの瞳のままの叶夢が笑う。
「悪い。魔力切れ、だ。寝かせてくれるか?
少し、魔力を分けてくれると助かるけど。
後は、エミリー?の薬に頼ろうかな?」
話をするのもキツそうな叶夢をノアが支える。
「ディラン、ノア。叶夢の19歳の誕生日がすぐなんだ。
祝ってやってくれる?
7月7日だから。
じゃ、頼んだ。」
そのまま目を閉じて、足の力が抜けたのか、ガクンと崩れ落ちる。
「おい!こらっ。ちょっと待って。おいっ…寝るなっ。おいっ。」
ノアの腕の中で叶夢が、意識を失う。
「寝た、のか?」
ディランが心配そうに叶夢を見つめる。
「あーもう。くそ。」
ノアが横抱きに叶夢を抱え上げた。
「軽いな。」歩きながら、叶夢を見つめる。
とりあえず、リビングに置いてあるベッドに寝かせる。
「まだ、まともに食べれてないよね?
隠してたみたいだから、見て見ぬふりしてたけど。
たまに、トイレで吐いたりしてるし。」
はぁ。ノアが溜息を落とした。
「それにしても、一体何が起きているんだ?
アシェル様の瞳の弊害か?
それとも、契約したガルシアの指輪の影響か?」
ディランも困惑している。
また空間が歪み、エミリーが現れた。
「お前っ。何処に行ってたんだ!俺達は、逃げて隠れているんだよ!
勝手に行動するの止めてくれない?
叶夢も突然消えるし。
魔力だってまだ馴染んでないんだよ。
魔術もちゃんと、使い熟せて無いはずなのに…。
何が起こっているか分からな過ぎ!
あーもう。心臓に悪すぎる!」
ノアが、ブチ切れている。
「落ち着け、ノア。
エミリーは、何をしてたんだ?」
「叶夢を見てたよ?
王国まで、行って戻って来た。
色々、ヤバそうなんだよね。」
「「王国までついて行った!?」」
「あー、煩い。
私は、魔女だよ?変身魔法も得意なんだってば。
小さな虫になって、くっついて行ったの。
デラクール王国が、きな臭い。
クロスウェル帝国も動き出した。
先に戻って、情報をしっかり集めておきたい。
叶夢には、薬の材料を取りにダンジョンに向かったって言っててよ。
連絡は、必ず入れる。分かった?」
「それは、助かるが…空間魔術をエミリーは、使えたのか?」
「ふふ。空間魔術は無理。
でも、私は、魔女なんだよ。今回は透過の魔法陣を使う。何度も使えないけどね。
それに、ダンジョンに隠れるのが、1番良いと思う。
これからの事を考えて、隠れ家も作って置くよ。
追手が増える前に行く。」
そう言ってエミリーが、一瞬姿を消した。
行ったのか?と思ったその時、空間から手だけ出てきた。
不気味な赤黒い液体入りの小瓶を持っている。
ディランが、受け取ると、その手を振りながら消えて行った。
取り残された形の2人が、脱力して顔を見合わせる。
ディランは、リビングの壁に寄りかかりノアと叶夢を見ている。
ノアは、叶夢の寝ているベッドの隣に椅子を置き腰掛けた。
「なんかもう。よく分かんない。とりあえず、叶夢の誕生日を祝ってやれって言ってたよね?
て、事はさ。
叶夢じゃない人物に頼まれたって事だよね?」
叶夢の手を握って魔力をゆっくりと送りながら、ノアがディランに問いかける。
「そうだな。」
彼の手を大切そうに、握っているノアは、
「魔力、枯渇しかけるなんて一体何してきたんだよ。あんまり、心配させるな、バカ叶夢。」
小さな声で何やらぶつぶつと叶夢に向かって話しかけているようだ。
「ノア、魔力譲渡は大丈夫か?
キツくなったら何時でも変わるぞ?
それにしても叶夢の中に、俺達が知らない誰かの意思が働いているのは、間違いないだろう。
それが、アシェル様なのか?
別の誰かか?
複数なのかも分からない。
指輪は王家に伝わる遺物だ。
賢王アークライドの遺志があるのかも知れない。
それを考えるには、情報が無さすぎるな。
エミリーの情報収集を待つしか無さそうだ。
今の俺達に出来る事は、アシェル様の願い通り叶夢を護る事と…
それと、叶夢に頼まれた誕生祝いか?」
「ん。そうだね。
それと叶夢が起きたら、王国で何があったか覚えてないか聞いてみるよ。」
こちらの世界の暦をみる。
「7月7日って、明日?」
「そうだな。
祝うって、料理がまともに出来るのは、叶夢くらいだぞ?」
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