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48違和感 side神子
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この世界で高度な浄化が出来るのは、異世界から召喚された存在だけのはずだ。なのに、レライエ殿下の傍にいるこの子の存在は、どのルートにもなかった。
秘密のルートがあるとしても、神子に関係ない所で起きるなんておかしい話だ。
綺麗な深い青い髪……まるで、殿下の色をまとっているみたいだった。
黒く禍々しい鱗がびっしりと生えている蛇のような化け物に立ち向かう姿は、美しい精霊のようで護衛達も見惚れていた。
レライエの傍にいたこの子が、かざした指先から美しい光状のものが包み込んだ後、禍々しい姿は美しい竜に戻っていく。
浄化したのか、なんの魔法をつかったのか……神子なのに分からない。
ただ化け物の姿から変化したので、最後に浄化に関わったように見せかけようしたのに、何もかもが失敗に終わる。ここにいる誰もが、この子に惹き寄せられていくようだ。
──何より、テオドールの態度があからさまだった。
俺との婚約が嫌みたいだ。王太子としての立場を確約する為にも、異世界の神子と婚約をしたらどうかと神官長が提案していた。召喚された時は嬉しそうにしていたのに、今のテオドールは即答を避け、浄化の実績がないうちは婚約する気は無いといい、王妃もテオドールの意見に同意だと連絡まで届く。
ずっと隠れて離宮を確認に行っていた理由は、多分一目惚れしたセーレに会いたかったのだろう。レライエ殿下が恋人だと言っても認めたくない理由が、バカバカしいほど分かりやす過ぎる。
悪役王子の設定が微かに残っているからなのか? レライエが何か酷いことをしているのではと疑いをかけている。そんな、微妙な世界。
魔力過多のレライエに出来たセーレという魔力欠乏症の恋人。ディードもメイドもセーレを護っている。
遠目に見えたメイドは魔法師の様で、女性にしては背の高い中性的な容姿が決定的だった。隠れキャラまでがここにいる。
(攻略対象がなんで揃いも揃って、悪役王子の恋人の傍にいるんだよ)
大切に抱きかかえられたセーレが、テオドールの言葉を否定するためにレライエにキスをした。それを嬉しそうに受け入れ、人目もはばからず深くキスを返えす。
演技とは思えない甘く溶けた表情をみせた悪役の雰囲気が、神子が思い描いた世界じゃないことを確信させる。
俺が愛される世界を壊していくイレギュラーの存在。
レライエが大切そうにセーレを抱え直している。寄りかかるセーレの服を、メグが整えていく。魔力欠乏症なら、あの浄化はきつかったはずで歩けないのも頷ける。
だがそもそも魔力が欠乏してしまう状態の恋人に、無理をさせるのは腑に落ちない。何か見落としている気がする。攻略対象に大切にされる存在の意味。
「──そうか、全部お前のせいか?」
「神子様?」
「いえ。何でもありません。テオ様。私の力が上手く使えない理由が分かった気がします。神殿に戻りましょう。神官長とも話がしたいです。あの時の召喚の儀式のこと詳しく検証しないと」
そう言うとテオドールがハッとした顔になる。
「そう……か。気になることがあるな」
テオドールは、レライエの方を見てから隠すように抱かれているセーレに視線を送った。
「レライエ。休暇が済んだら王宮で会おう。セーレ無理をさせてすまない。だが、聞きたいことがある。いずれ、呼び出すことになる」
そう言って、向きを変え護衛と共にテオドールがこの場から離れていく。
「レライエ殿下。セーレ様。王都に戻ったらゆっくり話しましょうね」
ここは俺のための世界だから。イレギュラーを早く、排除し修正していかなければならない。
秘密のルートがあるとしても、神子に関係ない所で起きるなんておかしい話だ。
綺麗な深い青い髪……まるで、殿下の色をまとっているみたいだった。
黒く禍々しい鱗がびっしりと生えている蛇のような化け物に立ち向かう姿は、美しい精霊のようで護衛達も見惚れていた。
レライエの傍にいたこの子が、かざした指先から美しい光状のものが包み込んだ後、禍々しい姿は美しい竜に戻っていく。
浄化したのか、なんの魔法をつかったのか……神子なのに分からない。
ただ化け物の姿から変化したので、最後に浄化に関わったように見せかけようしたのに、何もかもが失敗に終わる。ここにいる誰もが、この子に惹き寄せられていくようだ。
──何より、テオドールの態度があからさまだった。
俺との婚約が嫌みたいだ。王太子としての立場を確約する為にも、異世界の神子と婚約をしたらどうかと神官長が提案していた。召喚された時は嬉しそうにしていたのに、今のテオドールは即答を避け、浄化の実績がないうちは婚約する気は無いといい、王妃もテオドールの意見に同意だと連絡まで届く。
ずっと隠れて離宮を確認に行っていた理由は、多分一目惚れしたセーレに会いたかったのだろう。レライエ殿下が恋人だと言っても認めたくない理由が、バカバカしいほど分かりやす過ぎる。
悪役王子の設定が微かに残っているからなのか? レライエが何か酷いことをしているのではと疑いをかけている。そんな、微妙な世界。
魔力過多のレライエに出来たセーレという魔力欠乏症の恋人。ディードもメイドもセーレを護っている。
遠目に見えたメイドは魔法師の様で、女性にしては背の高い中性的な容姿が決定的だった。隠れキャラまでがここにいる。
(攻略対象がなんで揃いも揃って、悪役王子の恋人の傍にいるんだよ)
大切に抱きかかえられたセーレが、テオドールの言葉を否定するためにレライエにキスをした。それを嬉しそうに受け入れ、人目もはばからず深くキスを返えす。
演技とは思えない甘く溶けた表情をみせた悪役の雰囲気が、神子が思い描いた世界じゃないことを確信させる。
俺が愛される世界を壊していくイレギュラーの存在。
レライエが大切そうにセーレを抱え直している。寄りかかるセーレの服を、メグが整えていく。魔力欠乏症なら、あの浄化はきつかったはずで歩けないのも頷ける。
だがそもそも魔力が欠乏してしまう状態の恋人に、無理をさせるのは腑に落ちない。何か見落としている気がする。攻略対象に大切にされる存在の意味。
「──そうか、全部お前のせいか?」
「神子様?」
「いえ。何でもありません。テオ様。私の力が上手く使えない理由が分かった気がします。神殿に戻りましょう。神官長とも話がしたいです。あの時の召喚の儀式のこと詳しく検証しないと」
そう言うとテオドールがハッとした顔になる。
「そう……か。気になることがあるな」
テオドールは、レライエの方を見てから隠すように抱かれているセーレに視線を送った。
「レライエ。休暇が済んだら王宮で会おう。セーレ無理をさせてすまない。だが、聞きたいことがある。いずれ、呼び出すことになる」
そう言って、向きを変え護衛と共にテオドールがこの場から離れていく。
「レライエ殿下。セーレ様。王都に戻ったらゆっくり話しましょうね」
ここは俺のための世界だから。イレギュラーを早く、排除し修正していかなければならない。
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