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49諦めない為に
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意味深な言葉と共に第一王子と神子がこの場を後にした。
翌日メグが、彼らが馬車で王都へ戻ったとレライエに報告してくれたので、張り詰めていた気持ちがようやく緩んだ。
隠れるように魔導書の中に引きこもっていたが、ずっと本ごと抱きしめてくれていたレライエから名を呼ばれて、のそのそと顔を出すと即座に引き上げられる。眉が下がり心配そうな顔に「大丈夫だよ」と言えば、抱きしめられて自然とキスを受け入れてしまう。唇が離れると首元から背の方に手を回し抱きついて、レライエの存在をセラフィーレの方が確かめたかった。
「レイ……きっと、神子にばれたと思う」
「まだ、魔導書とばれた訳ではありません」
「でも!人とは思っていないよ。あの時の……」
「だとしても、契約者は俺なんです。セーレを奪われたりしない」
「そうだといいな」
ズキッと胸に痛みが走る。主人公の神子が扱う魔導書は、本来なら守護者付きなのだ。
──神子と契約することになれば消滅する未来しか見えない。
「レイ……あの召喚の時、真っ黒に蝕まれてた理由が分からなくて。神子の魔力のせいじゃないかってずっと思っていたんだ」
「神子はあの時のセーレが、魔導書の守護者と知らなかったんですよね?」
「知らないと思う。だいたいゴミ扱いだったし、要らないってはっきりと言われたから」
このゲームの世界に定期的に起きる【女神ヴィオラの厄災】により、異世界召喚される神子の存在。
星七は誰かに巻き込まれて命を落としたが、自身で望んでこの世界に来た。大好きな推しを護る為に。
神子がゲームの世界と分かっているとしても、ナキア様が星七の願いを叶えてくれたのだから、セラフィーレと神子はペアになるはずがないと思いたかった。
もしかしたら神子とペアになり、レライエの悪役回避のために役立つ魔導書になるはずだったかも知れない。
二人を見守り助ける為のサポート役だった?
──嫌だ。違うそんなはずない。推しの傍いる存在にしてもらったのだから、このポジションを誰にも取られないように最善を尽くすべきだ。
レライエの傍にいることを諦めたくない。
セラフィーレは、星七がしていたゲームアプリ内で守護者と呼ばれる名前さえないキャラだ。公式のキャラ紹介にもないキャラでチートアイテムだ。守護者付き魔導書としては三冊ある中の一冊である。でもこの世界に生きている以上、今のセラフィーレのように別の守護者にも名前があってもおかしくない。
それなら、残り二冊もこの世界に絶対存在しているはずだ。その内の一冊を神子が手に出来たらいいのにと、その考えがとても名案な気がして来た。
「セーレ?」
「レイは、この世界に守護者付きの魔導書がどれだけ存在するか聞いたことがある?」
「いいえ。ディードは知っているかも知れません。魔法師のメグも、もしかしたら知っている可能性はありますね。それが何か神子と関係するのですか?」
「神子は、この世界に召喚されたのは、浄化をするためで……僕は、その補佐的に存在すものだったかも知れない。でも、レイとは違って魔力の相性が合わなかったんじゃないかな? 第一、禍々しいものとして処分されかけたのだから、今更神子と契約できないと思う」
「セーレの契約者は、この先も俺だけです」
「だけど、他の守護者付きの魔導書が見つからなかったら……向こうは、相性関係なしに僕を欲しがるはずだから、他の魔導書の存在を調べてみる」
「そうですね。俺もセーレを失わないように、探します」
大丈夫。神子との契約なんて成立なんかしない。そう言い聞かせた。
翌日メグが、彼らが馬車で王都へ戻ったとレライエに報告してくれたので、張り詰めていた気持ちがようやく緩んだ。
隠れるように魔導書の中に引きこもっていたが、ずっと本ごと抱きしめてくれていたレライエから名を呼ばれて、のそのそと顔を出すと即座に引き上げられる。眉が下がり心配そうな顔に「大丈夫だよ」と言えば、抱きしめられて自然とキスを受け入れてしまう。唇が離れると首元から背の方に手を回し抱きついて、レライエの存在をセラフィーレの方が確かめたかった。
「レイ……きっと、神子にばれたと思う」
「まだ、魔導書とばれた訳ではありません」
「でも!人とは思っていないよ。あの時の……」
「だとしても、契約者は俺なんです。セーレを奪われたりしない」
「そうだといいな」
ズキッと胸に痛みが走る。主人公の神子が扱う魔導書は、本来なら守護者付きなのだ。
──神子と契約することになれば消滅する未来しか見えない。
「レイ……あの召喚の時、真っ黒に蝕まれてた理由が分からなくて。神子の魔力のせいじゃないかってずっと思っていたんだ」
「神子はあの時のセーレが、魔導書の守護者と知らなかったんですよね?」
「知らないと思う。だいたいゴミ扱いだったし、要らないってはっきりと言われたから」
このゲームの世界に定期的に起きる【女神ヴィオラの厄災】により、異世界召喚される神子の存在。
星七は誰かに巻き込まれて命を落としたが、自身で望んでこの世界に来た。大好きな推しを護る為に。
神子がゲームの世界と分かっているとしても、ナキア様が星七の願いを叶えてくれたのだから、セラフィーレと神子はペアになるはずがないと思いたかった。
もしかしたら神子とペアになり、レライエの悪役回避のために役立つ魔導書になるはずだったかも知れない。
二人を見守り助ける為のサポート役だった?
──嫌だ。違うそんなはずない。推しの傍いる存在にしてもらったのだから、このポジションを誰にも取られないように最善を尽くすべきだ。
レライエの傍にいることを諦めたくない。
セラフィーレは、星七がしていたゲームアプリ内で守護者と呼ばれる名前さえないキャラだ。公式のキャラ紹介にもないキャラでチートアイテムだ。守護者付き魔導書としては三冊ある中の一冊である。でもこの世界に生きている以上、今のセラフィーレのように別の守護者にも名前があってもおかしくない。
それなら、残り二冊もこの世界に絶対存在しているはずだ。その内の一冊を神子が手に出来たらいいのにと、その考えがとても名案な気がして来た。
「セーレ?」
「レイは、この世界に守護者付きの魔導書がどれだけ存在するか聞いたことがある?」
「いいえ。ディードは知っているかも知れません。魔法師のメグも、もしかしたら知っている可能性はありますね。それが何か神子と関係するのですか?」
「神子は、この世界に召喚されたのは、浄化をするためで……僕は、その補佐的に存在すものだったかも知れない。でも、レイとは違って魔力の相性が合わなかったんじゃないかな? 第一、禍々しいものとして処分されかけたのだから、今更神子と契約できないと思う」
「セーレの契約者は、この先も俺だけです」
「だけど、他の守護者付きの魔導書が見つからなかったら……向こうは、相性関係なしに僕を欲しがるはずだから、他の魔導書の存在を調べてみる」
「そうですね。俺もセーレを失わないように、探します」
大丈夫。神子との契約なんて成立なんかしない。そう言い聞かせた。
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