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43セーレの願いと不安。
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第一王子殿下に触れられたせいなのか、それとも接触して来た神子の脳力に影響されたのか、セラフィーレの体調が急激に悪くなってしまった。乱れた魔力でふらついた時に、隠しキャラが、自分から他の攻略対象者の前に颯爽と現れて助けると言う、最高にときめくシュチュエーションが起きる。
──何故か、セラフィーレに。
「メイシアは、メグだから、こっちの味方なのはわかるんだけど。なんで、第一王子殿下が僕を気にするんだろう?魔導書の守護者とは、バレてはないみたいだけど気を付けよう」
とりあえず、一晩中レライエの魔力に包まれたおかげで、整えられたみたいで朝からめちゃくちゃ調子が良い。
「セーレ様」
名を呼ばれたので、ひょっこり顔を出して見ると、男らしく節が目立つ様になった長い指が脇に差し込まれる。本から引っ張り出されて安定のいつもの場所に乗せられる。
何か眩しい物でもあるのか、目を少し細め後、破顔してグッと引き寄せられた。
(──尊い)
「はあ。セーレ様の願いを叶えるためとはいえ……紹介したくない」
「でも、皆、僕のこと知っているよね?」
「──紹介したら、話しかけて来ます。近くにも寄って来ます」
「え、話たら駄目なの?」
「セーレ様は、俺のです」
「まあ、そうだよね。レイとしか契約していないから。でも、ダンスをメグに教わりたいし、皆で湖のそばに遊びにも行きたかったんだけど……駄目?」
なぜか、鼻を抑えている。どうしたのか聞こうとする前に、何かぶつぶつ呟いて落ち着いたみたいだ。
そこからは準備が早くて、一気に着替え、レライエが食事をとる。もちろん、定位置にスプーンが来るので、パクッと口にする。
ちょっとずつ、毒見を繰り返す。
「問題ないよ」
それを聞いたレライエが、スプーンをとトレーに置くと、セラフィーレの頬を撫でてくる。優しく触れられるので、最近のスキンシップに戸惑ってしまう。視線がまっすぐで、怖いくらいで、思わず名を呼んだ。
「レイ?──んっ」
唇を甘噛みするような、絶妙に甘いキスが、レライエの魔力が帯びていて、その甘い魔力に逆に力が抜けそうになっていく。
押し返して、なるべく怒った顔を作る。
「レイ……魔力を合わせるのは手でお願いします」
神子とか第一王子殿下が来たせいで、不安になっているのかも知れなくて。あまり強く拒めない。レライエが不安定だと、悪役になってしまいそうで、怖いのだ。
神子や強制力に飲み込まれませんように。せっかくここまで来たのだから、楽しい経験は、きっとレライエにもいい影響があるはずだ。
それに皆と話たいし外にも行きたい。
「はぁ。次は実体化の安定の為に魔力を合わせましょう」
「今日は絶対、外に行こうね」
ようやく、叶うかも知れないと思うと、自然に笑顔になってしまう。
「魔導書は俺が身に付けます。それに、絶対離れないでください。また、神子や第一王子殿下が見てる可能性があります。透ける様なことがあれば、不味いのでメグにも護衛をしてもらいますから」
人に見えるように、しておかなければならない。今後レライエが攻略されたり、第一王子殿下が介入してこないように、仲の良さをアピールする方がいいのかも知れない。
「仲の良さをアピールしたら、第一王子殿下も、もう僕が酷いことされてないってわかるんじゃないかな?」
「──いいですね。セーレ様は、ディードの遠縁で、隣国の貴族の身分を作っています」
「身分?」
「ええ。身分証が必要になるはずなので」
「いつの間に……すごいね」
「これで、隣国にも自由に行けますよ」
「自由……本当?」
思わずレライエに抱きつきそうになる。適度な距離も必要だと、一旦止まったのに、近付くのをやめたのをすぐ気がついたのか、腕の中に閉じ込められてギュッとしてくる。
「絶対にあいつらから護りますから」
そうだね。たとえ連れて行かれても、絶対戻るから。
そんな気持ちでいっぱいになっていく。
──何故か、セラフィーレに。
「メイシアは、メグだから、こっちの味方なのはわかるんだけど。なんで、第一王子殿下が僕を気にするんだろう?魔導書の守護者とは、バレてはないみたいだけど気を付けよう」
とりあえず、一晩中レライエの魔力に包まれたおかげで、整えられたみたいで朝からめちゃくちゃ調子が良い。
「セーレ様」
名を呼ばれたので、ひょっこり顔を出して見ると、男らしく節が目立つ様になった長い指が脇に差し込まれる。本から引っ張り出されて安定のいつもの場所に乗せられる。
何か眩しい物でもあるのか、目を少し細め後、破顔してグッと引き寄せられた。
(──尊い)
「はあ。セーレ様の願いを叶えるためとはいえ……紹介したくない」
「でも、皆、僕のこと知っているよね?」
「──紹介したら、話しかけて来ます。近くにも寄って来ます」
「え、話たら駄目なの?」
「セーレ様は、俺のです」
「まあ、そうだよね。レイとしか契約していないから。でも、ダンスをメグに教わりたいし、皆で湖のそばに遊びにも行きたかったんだけど……駄目?」
なぜか、鼻を抑えている。どうしたのか聞こうとする前に、何かぶつぶつ呟いて落ち着いたみたいだ。
そこからは準備が早くて、一気に着替え、レライエが食事をとる。もちろん、定位置にスプーンが来るので、パクッと口にする。
ちょっとずつ、毒見を繰り返す。
「問題ないよ」
それを聞いたレライエが、スプーンをとトレーに置くと、セラフィーレの頬を撫でてくる。優しく触れられるので、最近のスキンシップに戸惑ってしまう。視線がまっすぐで、怖いくらいで、思わず名を呼んだ。
「レイ?──んっ」
唇を甘噛みするような、絶妙に甘いキスが、レライエの魔力が帯びていて、その甘い魔力に逆に力が抜けそうになっていく。
押し返して、なるべく怒った顔を作る。
「レイ……魔力を合わせるのは手でお願いします」
神子とか第一王子殿下が来たせいで、不安になっているのかも知れなくて。あまり強く拒めない。レライエが不安定だと、悪役になってしまいそうで、怖いのだ。
神子や強制力に飲み込まれませんように。せっかくここまで来たのだから、楽しい経験は、きっとレライエにもいい影響があるはずだ。
それに皆と話たいし外にも行きたい。
「はぁ。次は実体化の安定の為に魔力を合わせましょう」
「今日は絶対、外に行こうね」
ようやく、叶うかも知れないと思うと、自然に笑顔になってしまう。
「魔導書は俺が身に付けます。それに、絶対離れないでください。また、神子や第一王子殿下が見てる可能性があります。透ける様なことがあれば、不味いのでメグにも護衛をしてもらいますから」
人に見えるように、しておかなければならない。今後レライエが攻略されたり、第一王子殿下が介入してこないように、仲の良さをアピールする方がいいのかも知れない。
「仲の良さをアピールしたら、第一王子殿下も、もう僕が酷いことされてないってわかるんじゃないかな?」
「──いいですね。セーレ様は、ディードの遠縁で、隣国の貴族の身分を作っています」
「身分?」
「ええ。身分証が必要になるはずなので」
「いつの間に……すごいね」
「これで、隣国にも自由に行けますよ」
「自由……本当?」
思わずレライエに抱きつきそうになる。適度な距離も必要だと、一旦止まったのに、近付くのをやめたのをすぐ気がついたのか、腕の中に閉じ込められてギュッとしてくる。
「絶対にあいつらから護りますから」
そうだね。たとえ連れて行かれても、絶対戻るから。
そんな気持ちでいっぱいになっていく。
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