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41攻略対象②
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テオドールに、少しづつ何が起きているのかを聞くことにした。最初は渋っていたものの、第二王子殿下の離宮で見た人が、どうにも忘れられないらしい。
「この国の貴族の子息は、把握をしているが該当しない。だが雰囲気的にも平民ではない。隣国の出身か、訳ありの子息の可能性があるんだ。あまり体が強そうには見えなかったから、まさかと思うが無理矢理連れて来たのではないかと……いや、そんな訳はないな」
「そんなことが……離宮を訪ねて見たらどうなのですか?」
「今までよりも強固な結界がかかっている。元々、離宮を訪ねる事も、俺は本来禁止されている」
「なら、噂があるのですが……側妃様の別邸を修繕したそうですよ。それに離宮に引きこもっているレライエ殿下が、休暇を申請されているとか。もしかしたら、その方をお連れするのではありませんか?」
「別邸……?」
「そこなら、王妃様に禁止されてませんよね?そこまで遠出して、閉じ込めたりしないでしょう?ほら、もしかしたら、療養が必要で空気の綺麗な場所に連れ行きたいとか、あるあるでは?」
テオドールが黙ったまま何か考えている。もうひと押しで頷きそうだ。
「一緒に確認に行きませんか?保護が必要な方なら、神殿に事情を話します。殿下が言うと王妃様が出て来てしまうかも知れません。神子の私なら上手くいきます」
その子も気になるが、か弱そうで攻略対象とは思えない。それよりもディードとレライエに近づくチャンスだ。隠されているのなら、他にも誰かいるかも知れない。ようやくゲームっぽい展開がきた。この際、テオドールにも貸しを作っておくのも良い。
「それとも、レライエ殿下を信じて、やめておきましょうか?」
「いや……本人の意思を確認したい。神殿で保護する必要がある時は、支えてやって欲しい」
別邸から、馬車が出発する。
ディードが格好良くて、護衛騎士として欲しくてたまらない。その横にいる綺麗な護衛にも目が行く。美形過ぎるので、隠しキャラの可能性がある。浮かれそうになる気持ちを抑えて冷静な振りをして殿下の傍で控える。行き先は分かっているので時間をずらして追いかけて行く。思っていたより時間がかかり、ようやくレライエの別邸についた。別行動で、俺の方は堂々と訪問をする。シナリオとしては、浄化に来た帰りに、体調を崩した神官を休ませて欲しいというものだ。テオドールは隙を見て隠れて探すみたいだ。合流場所も決めて、訪問をすると、老齢の執事のような紳士が現れた。
やんわりと断りを入れられたが、こちらはこの王国を助けに来た神子だ。レライエに確認するようで、ディードが代わりにここに残っている。
「あの……私は」
「私も、神子様に関わることを禁止されていますので、お待ち下さい」
「それは、昔のことです」
「王族の命令です」
「な……私が許しをもらいます」
「王妃様は、許したりしません。それが間違っていたなど、認める方ではありません」
階段から、老紳士とレライエが降りて来た。
「レライエ……」
「体調が悪い者の治療は、神子には出来ないのですか?」
「治癒の魔法は高度なので」
「もう少し先に、魔法医の屋敷があります。そちらに行ってください」
「そんな、ここで休ませて下さい」
「その方の体調が悪化したら、我々が責任を問われます。魔法医の所へ……何なら強制転移させましょうか?」
「な、なら、聞いてもいいですか?ディード様以外に騎士はいないのですか?」
「騎士?王家から、交代で派遣される事がありますが、今回は特に希望はしていません」
「誰か、他にいないのですか?」
突然レライエの雰囲気が変わった。
「そう言うことか。第一王子殿下に頼まれたのか?」
「え?」
「セバス見送りを頼む」
「ちょっと、待って」
レライエは向きをかえて、急ぎここから出て行ってしまう。老紳士に促され、魔法医への紹介状を持たされた。
テオドール殿下のことがバレたみたいだ。大した引き止めも出来ず、隠しキャラも分からないまま、追い出されてしまった。
「この国の貴族の子息は、把握をしているが該当しない。だが雰囲気的にも平民ではない。隣国の出身か、訳ありの子息の可能性があるんだ。あまり体が強そうには見えなかったから、まさかと思うが無理矢理連れて来たのではないかと……いや、そんな訳はないな」
「そんなことが……離宮を訪ねて見たらどうなのですか?」
「今までよりも強固な結界がかかっている。元々、離宮を訪ねる事も、俺は本来禁止されている」
「なら、噂があるのですが……側妃様の別邸を修繕したそうですよ。それに離宮に引きこもっているレライエ殿下が、休暇を申請されているとか。もしかしたら、その方をお連れするのではありませんか?」
「別邸……?」
「そこなら、王妃様に禁止されてませんよね?そこまで遠出して、閉じ込めたりしないでしょう?ほら、もしかしたら、療養が必要で空気の綺麗な場所に連れ行きたいとか、あるあるでは?」
テオドールが黙ったまま何か考えている。もうひと押しで頷きそうだ。
「一緒に確認に行きませんか?保護が必要な方なら、神殿に事情を話します。殿下が言うと王妃様が出て来てしまうかも知れません。神子の私なら上手くいきます」
その子も気になるが、か弱そうで攻略対象とは思えない。それよりもディードとレライエに近づくチャンスだ。隠されているのなら、他にも誰かいるかも知れない。ようやくゲームっぽい展開がきた。この際、テオドールにも貸しを作っておくのも良い。
「それとも、レライエ殿下を信じて、やめておきましょうか?」
「いや……本人の意思を確認したい。神殿で保護する必要がある時は、支えてやって欲しい」
別邸から、馬車が出発する。
ディードが格好良くて、護衛騎士として欲しくてたまらない。その横にいる綺麗な護衛にも目が行く。美形過ぎるので、隠しキャラの可能性がある。浮かれそうになる気持ちを抑えて冷静な振りをして殿下の傍で控える。行き先は分かっているので時間をずらして追いかけて行く。思っていたより時間がかかり、ようやくレライエの別邸についた。別行動で、俺の方は堂々と訪問をする。シナリオとしては、浄化に来た帰りに、体調を崩した神官を休ませて欲しいというものだ。テオドールは隙を見て隠れて探すみたいだ。合流場所も決めて、訪問をすると、老齢の執事のような紳士が現れた。
やんわりと断りを入れられたが、こちらはこの王国を助けに来た神子だ。レライエに確認するようで、ディードが代わりにここに残っている。
「あの……私は」
「私も、神子様に関わることを禁止されていますので、お待ち下さい」
「それは、昔のことです」
「王族の命令です」
「な……私が許しをもらいます」
「王妃様は、許したりしません。それが間違っていたなど、認める方ではありません」
階段から、老紳士とレライエが降りて来た。
「レライエ……」
「体調が悪い者の治療は、神子には出来ないのですか?」
「治癒の魔法は高度なので」
「もう少し先に、魔法医の屋敷があります。そちらに行ってください」
「そんな、ここで休ませて下さい」
「その方の体調が悪化したら、我々が責任を問われます。魔法医の所へ……何なら強制転移させましょうか?」
「な、なら、聞いてもいいですか?ディード様以外に騎士はいないのですか?」
「騎士?王家から、交代で派遣される事がありますが、今回は特に希望はしていません」
「誰か、他にいないのですか?」
突然レライエの雰囲気が変わった。
「そう言うことか。第一王子殿下に頼まれたのか?」
「え?」
「セバス見送りを頼む」
「ちょっと、待って」
レライエは向きをかえて、急ぎここから出て行ってしまう。老紳士に促され、魔法医への紹介状を持たされた。
テオドール殿下のことがバレたみたいだ。大した引き止めも出来ず、隠しキャラも分からないまま、追い出されてしまった。
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