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39隠れていないメイシア②
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レライエに、息が出来なくなりそうなくらいに抱きしめられている。
「レ……イ?」
よく見れば、ディードもセバスもドア口まで来ている。セバスと目が合うと優しい笑顔が見えた。皆に認識してもらってる?でも、第一王子殿下に掴まれたせいか、魔力の流れがおかしい。メイシアが、セラフィーレを認識して護ろうとしてくれたのだって、理由が分からない。今日きちんと紹介される予定だった。
レライエと色々あって、神子が突然来て……覗いてたのが第一王子とか、男装のメイシアに抱きかかえてもらったり……これは、ゲームと全然違うと思う。そんなに目立つことは、していないはずなのに。セラフィーレの存在がストーリーをめちゃくちゃ変えてるとしたら、どうしたら良いのだろう?
レライエを巻き込まずに、神子たちと距離を置く方法を探さないといけない。
「なぜ、大人しく出来ないんですか?」
「──レイが連れてってくれないから」
「相手は、神子なんですよ?」
「だから!神子にレイが何かされたら嫌だから」
「俺よりも、自分の心配をして下さい」
「どうして……自分の心配をする必要が?だから王妃派とかに、レイが何かされたら嫌なんだ!!」
レライエが、固まって困った顔をしている。その意味が分からない。
ディードとセバスに、メイシアまで近くに来た。
「全く……似た者同士ですね」
「殿下が、セーレ様を守りたくて仕方がないのでしょうねぇ」
「それを言うなら、セーレ様も大概ですわ」
「メグ……その格好と口調が合ってない。セバスとメグには、また改めてセーレ様を紹介する。ディードも皆も、今日は疲れただろうから、休んで欲しい」
メグことメイシアが、レライエに抱きしめられたままのセラフィーレの傍に来て膝を突き、パチンと指を鳴らすと、青い薔薇が一本現れた。
「メイシア……?」
「セーレ様。初めまして。でも、メグの時は何度かお見かけしていました」
この世界に来て四年が過ぎているので、何かがいると思われていてもおかしくはない。それに、指輪を手に入れてくれたのはメグだ。
「メイシアは、僕の姿が見えていた?」
「殿下の魔力が安定すると、時々美しい精霊を見かけていました。銀糸の髪に、紫色の瞳がとてもお綺麗で、最近は青い色に染まってその姿も神秘的過ぎますね」
「あ、指輪ありがとう。お陰で結界の維持が楽になったんだよ」
指輪を見せると、レライエの方を見て口角が上がる。
「見事な青いダイヤですね。ようやく、許可が出たのですから。この青い薔薇を受け取って下さい」
「青い薔薇って、綺麗だね。ありがとう」
「枯れないように、魔法をかけておきましょう。次は、紫の薔薇を三本ほどプレゼントさせて下さいね」
そう言って何か呟くと、薔薇が少し光を帯びて収まっていく。
「成長を止めた?」
「そうですよ。ずっと持っていて欲しいので」
「ありがとう。メイシア」
「メイシア。帰れ」
「酷いですわ。私がいないと別邸の雑務が回りませんわよ」
「待って、メイシア。薔薇って、本数に何か意味があるとか?」
「ありますよ。一本だと、一目惚れです」
「え!」
驚いて、声をあげたのはディードだった。
「ディード?一体どうしたの?これマジックで、薔薇を一本出してくれただけだから。きっとメイシアのジョークで挨拶だよ」
その言葉に、レライエは吹き出した後に笑い出し、メイシアも残念そうにしている。セバスは、なぜか楽しそうだ。
「いえ。セーレ様が好意の対象になるのは分かりますが……神子が、レライエ様に薔薇を一本渡していたので。そんな意味が込められていたのでしょうか?そもそも、一目惚れ?」
「意味は知らなかったのでしょう。もうそろそろ、セーレ様を休ませましょうか?あの二人の対応も明日以降で考えましょうね」
「頼む。セーレ様を休ませたい。セーレ様、何を神子と話したか明日詳しいことは話すから」
「では……セーレ様、ゆっくり休んで下さいね」
すっと、メイシアが立ち上がる。そして三人揃ってこの部屋から退出していった。
「レ……イ?」
よく見れば、ディードもセバスもドア口まで来ている。セバスと目が合うと優しい笑顔が見えた。皆に認識してもらってる?でも、第一王子殿下に掴まれたせいか、魔力の流れがおかしい。メイシアが、セラフィーレを認識して護ろうとしてくれたのだって、理由が分からない。今日きちんと紹介される予定だった。
レライエと色々あって、神子が突然来て……覗いてたのが第一王子とか、男装のメイシアに抱きかかえてもらったり……これは、ゲームと全然違うと思う。そんなに目立つことは、していないはずなのに。セラフィーレの存在がストーリーをめちゃくちゃ変えてるとしたら、どうしたら良いのだろう?
レライエを巻き込まずに、神子たちと距離を置く方法を探さないといけない。
「なぜ、大人しく出来ないんですか?」
「──レイが連れてってくれないから」
「相手は、神子なんですよ?」
「だから!神子にレイが何かされたら嫌だから」
「俺よりも、自分の心配をして下さい」
「どうして……自分の心配をする必要が?だから王妃派とかに、レイが何かされたら嫌なんだ!!」
レライエが、固まって困った顔をしている。その意味が分からない。
ディードとセバスに、メイシアまで近くに来た。
「全く……似た者同士ですね」
「殿下が、セーレ様を守りたくて仕方がないのでしょうねぇ」
「それを言うなら、セーレ様も大概ですわ」
「メグ……その格好と口調が合ってない。セバスとメグには、また改めてセーレ様を紹介する。ディードも皆も、今日は疲れただろうから、休んで欲しい」
メグことメイシアが、レライエに抱きしめられたままのセラフィーレの傍に来て膝を突き、パチンと指を鳴らすと、青い薔薇が一本現れた。
「メイシア……?」
「セーレ様。初めまして。でも、メグの時は何度かお見かけしていました」
この世界に来て四年が過ぎているので、何かがいると思われていてもおかしくはない。それに、指輪を手に入れてくれたのはメグだ。
「メイシアは、僕の姿が見えていた?」
「殿下の魔力が安定すると、時々美しい精霊を見かけていました。銀糸の髪に、紫色の瞳がとてもお綺麗で、最近は青い色に染まってその姿も神秘的過ぎますね」
「あ、指輪ありがとう。お陰で結界の維持が楽になったんだよ」
指輪を見せると、レライエの方を見て口角が上がる。
「見事な青いダイヤですね。ようやく、許可が出たのですから。この青い薔薇を受け取って下さい」
「青い薔薇って、綺麗だね。ありがとう」
「枯れないように、魔法をかけておきましょう。次は、紫の薔薇を三本ほどプレゼントさせて下さいね」
そう言って何か呟くと、薔薇が少し光を帯びて収まっていく。
「成長を止めた?」
「そうですよ。ずっと持っていて欲しいので」
「ありがとう。メイシア」
「メイシア。帰れ」
「酷いですわ。私がいないと別邸の雑務が回りませんわよ」
「待って、メイシア。薔薇って、本数に何か意味があるとか?」
「ありますよ。一本だと、一目惚れです」
「え!」
驚いて、声をあげたのはディードだった。
「ディード?一体どうしたの?これマジックで、薔薇を一本出してくれただけだから。きっとメイシアのジョークで挨拶だよ」
その言葉に、レライエは吹き出した後に笑い出し、メイシアも残念そうにしている。セバスは、なぜか楽しそうだ。
「いえ。セーレ様が好意の対象になるのは分かりますが……神子が、レライエ様に薔薇を一本渡していたので。そんな意味が込められていたのでしょうか?そもそも、一目惚れ?」
「意味は知らなかったのでしょう。もうそろそろ、セーレ様を休ませましょうか?あの二人の対応も明日以降で考えましょうね」
「頼む。セーレ様を休ませたい。セーレ様、何を神子と話したか明日詳しいことは話すから」
「では……セーレ様、ゆっくり休んで下さいね」
すっと、メイシアが立ち上がる。そして三人揃ってこの部屋から退出していった。
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