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37覗き魔の正体
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どうしてここに来たんだろう? 神子が浄化に向かった話は聞いてない。一部の神官達が、辺境の地やゲームの中でも浄化を行った場所に、時々派遣されているくらいだ。テオドール殿下との婚約話も聞かないので、神子が誰を攻略したいのかが分からない。神官長との噂もないし、騎士枠のディードも、レライエ達と鍛える方が楽しいように見える。実際、第一王子殿下の近衛騎士から外れた為に、神子と顔合わせる様なタイミングがディードにはないのだから。そう思うとますます、神子がここに来た理由が分からず怖い。
(もしかして、神子が覗き魔だった?何か魔法を使ってた?)
このゲームは攻略対象との恋愛が大切になる。隠しキャラのメイシアを見つけたとは思えない。
(やっぱり……レイを攻略する気?それとも、悪役になっていないのを疑問に持ち始めた?)
ここで待っていても大丈夫なのか不安でたまらない。セラフィーレの姿は、神子に認識出来るとは思わない。レライエと契約しているのだから簡単に解除だって出来ないはずだ。
それでも、ここに隠れる様に置いて行かれたことが辛くて、レライエを護る為に存在しているはずなのに悔しさがあふれてしまう。
「レイが、魔導書を持ってくれたらよかったのに。こんな時に、僕を護ろうとしないで欲しい」
実体化した体に、十分な魔力はもらっている。二時間はきっとこの体を保てるはずだ。離宮からの荷物に、帯剣用のベルトがある。それを自分の腰に回して本を忍ばせる。いつもの服に着替え、青に染まった髪の毛を一つに結び、なるべく目立たないようフード付きのローブも纏う。
両手を胸の前で祈る様に組んで、青いダイヤモンドに魔力を込めた。セラフィーレ自身にも認識阻害をかけておく。
(大丈夫。様子を確認するだけ)
ドアから出るよりも、テラス側からでて、こっそり抜け出そう。すでに、外は夜になっていて、月が出ている。雲が多く、時々隠れてしまうので、そこまで月明かりも強くない。
今の時間メグはメイド服を着て、神子の相手をしていると思う。呼ぶのは無理だ。
ふと考えると、第二王子殿下、元近衛騎士、隠しキャラと神子は今、会っていることになる。
「やっぱり、ゲームに巻き込まれていくんだ」
テラスの扉を開け、結界を壊さないように手を差し込む様にすると、空間が漣立ち僅かに揺れが生じた。レライエには、きっとバレてしまう。それでも近くに行きたくて、全身をそこから抜け出させ、テラスのバルコニーの手すりに手をかけた。
強い風が吹き、フードがめくり上がりそうになって慌てて両手で掴むと、空間から突然現れた人影に手首を掴まれる。背の高い青年のようで、この人もフードで顔を隠していた。
「騒がないで、顔がみたい」
魔力の塊の様な物が、掴まれた腕の所にある。抵抗すれば、腕を無くすくらいの力だ。今は実体化しているが解ければ、壊されたとしても元に戻るだろうか?無茶をして、腕を失ったら、レライエが怒りに狂ってしまいそうで、ここは冷静に対処する。
「何のために、僕の顔が見たいのですか?ずっと離宮を覗いてた……除き趣味の人? まさか……殿下のストーカー?」
「ストーカーとは何だ?それに俺は、覗き趣味などない!!」
「ストーカー……って、貴方みたいな、ど変態のことです」
話しても無駄なので、ここから離れないと……認識阻害をかけているのに、レライエ殿下の魔力をもらいすぎたのかも知れない。普通の人に見つかるはずなどないのに。それに、この人の魔力……レライエに近い。まさか、そんなはずはない。
「変態じゃない!!」
掴まれた手を振り切ろうろすると、反対の手でフードを下された。さっきまで隠れていた月が、無情にも顔を出した。
青い髪が、月に照らされてしまう。息を飲み混んで、口を結び、こちらをジッと見つめて来るのは、第一王子殿下だった。
(もしかして、神子が覗き魔だった?何か魔法を使ってた?)
このゲームは攻略対象との恋愛が大切になる。隠しキャラのメイシアを見つけたとは思えない。
(やっぱり……レイを攻略する気?それとも、悪役になっていないのを疑問に持ち始めた?)
ここで待っていても大丈夫なのか不安でたまらない。セラフィーレの姿は、神子に認識出来るとは思わない。レライエと契約しているのだから簡単に解除だって出来ないはずだ。
それでも、ここに隠れる様に置いて行かれたことが辛くて、レライエを護る為に存在しているはずなのに悔しさがあふれてしまう。
「レイが、魔導書を持ってくれたらよかったのに。こんな時に、僕を護ろうとしないで欲しい」
実体化した体に、十分な魔力はもらっている。二時間はきっとこの体を保てるはずだ。離宮からの荷物に、帯剣用のベルトがある。それを自分の腰に回して本を忍ばせる。いつもの服に着替え、青に染まった髪の毛を一つに結び、なるべく目立たないようフード付きのローブも纏う。
両手を胸の前で祈る様に組んで、青いダイヤモンドに魔力を込めた。セラフィーレ自身にも認識阻害をかけておく。
(大丈夫。様子を確認するだけ)
ドアから出るよりも、テラス側からでて、こっそり抜け出そう。すでに、外は夜になっていて、月が出ている。雲が多く、時々隠れてしまうので、そこまで月明かりも強くない。
今の時間メグはメイド服を着て、神子の相手をしていると思う。呼ぶのは無理だ。
ふと考えると、第二王子殿下、元近衛騎士、隠しキャラと神子は今、会っていることになる。
「やっぱり、ゲームに巻き込まれていくんだ」
テラスの扉を開け、結界を壊さないように手を差し込む様にすると、空間が漣立ち僅かに揺れが生じた。レライエには、きっとバレてしまう。それでも近くに行きたくて、全身をそこから抜け出させ、テラスのバルコニーの手すりに手をかけた。
強い風が吹き、フードがめくり上がりそうになって慌てて両手で掴むと、空間から突然現れた人影に手首を掴まれる。背の高い青年のようで、この人もフードで顔を隠していた。
「騒がないで、顔がみたい」
魔力の塊の様な物が、掴まれた腕の所にある。抵抗すれば、腕を無くすくらいの力だ。今は実体化しているが解ければ、壊されたとしても元に戻るだろうか?無茶をして、腕を失ったら、レライエが怒りに狂ってしまいそうで、ここは冷静に対処する。
「何のために、僕の顔が見たいのですか?ずっと離宮を覗いてた……除き趣味の人? まさか……殿下のストーカー?」
「ストーカーとは何だ?それに俺は、覗き趣味などない!!」
「ストーカー……って、貴方みたいな、ど変態のことです」
話しても無駄なので、ここから離れないと……認識阻害をかけているのに、レライエ殿下の魔力をもらいすぎたのかも知れない。普通の人に見つかるはずなどないのに。それに、この人の魔力……レライエに近い。まさか、そんなはずはない。
「変態じゃない!!」
掴まれた手を振り切ろうろすると、反対の手でフードを下された。さっきまで隠れていた月が、無情にも顔を出した。
青い髪が、月に照らされてしまう。息を飲み混んで、口を結び、こちらをジッと見つめて来るのは、第一王子殿下だった。
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