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「うおおおおおお。け、け、け、け」
「お、落ち着いてディード。シィ──」
思わず人差し指を口元に立てた。
そんなに興奮することだろうか?レライエは早まったのかと心配になった。
「け、契約したんですか!?」
「ま、不味かった?魔法を教えてくれるって」
つい言い訳じみてしまう。無能と呼ばれているレライエにとって、この判断が正解が分からない。ただセーレを信じたかった。
膝をついていたディードが更に近づいてきて、手を広げる。
「え?」
がっしりと抱きしめられた。
「良かった。魔法……私は騎士なので細かく教えることは苦手です。最初は隠れて教える必要もあると思っていたのです。守護者がいるのなら桁違いの魔法を教わることが出来るはずです」
「本当に私で良かった?」
「向こうは、神子様がいて神官長も付いてるんですよ?こっちは、とにかく生きながらえる為に、自身で生命を護るんです。力を借りましょう。魔導書を護ったのは他でもないレライエ殿下です」
ディードは、ハッとして手を離して後ろに下がった。
「申し訳ありません。つい嬉しくて出過ぎました」
深く頭をさげてくれる。第一王子の近衛にいた人だけど本当に騎士としてレライエの従者の道を選んでくれたのだ。嬉しくて泣きそうになってしまいそうだ。
「大丈夫だよ。心配してくれてありがとう」
『ううううう。ディ……本当に良い奴だなぁ』
また、セーレの声が聞こえてきた。
「あ……声が聞こえたけど。ディードは聞こえない?」
「すみません」
『レイ……は、ディを信じる?召喚の時に第一王子殿下の近衛の一員だったよね?』
「──それは……そうですが」
『じゃあ、悪いけど……ディに念の為に魔法かけていいかな?』
「生命を奪うようなものではないですよね?」
人の命が奪われるのは見たくない。それだけは何としても阻止したい。
『そんなことしないよ。ただ、僕たちのことを話せない様にする魔法。僕も信じたいけど。もう少し付き合ってからね。僕の護りたい最優先は君だから』
「はい。ディードに伝えます。ディード……申し分けないんだけど」
「何でしょうか?」
「魔導書守護者が話があるらしい。私達の秘密を守ってもらうために」
「話?……分かりました。でも聞いてもいいのですか?」
「ごめん。拒否権はない、から」
「はい」
魔導書をレライエが捲る。
スッと色白の指先が現れて上半身が出てきた。黒衣にローブ姿だ。裸じゃなくて良かったと一瞬レライエは思う。魔導書を隣に置くとさらに体が出てくる。下半身は透けたままだけど、何となく魔導書の上に座ったように見えた。
『彼には姿は見えてないね。その方がいいよね。せめて声は必要な時に聞こえるようにしてあげたいな……話してもいいかな?』
レライエは、頷いた後ディードを見る。
「ディード……今、魔導書の上に座っているんだ。話をしたいんだって」
ディードは、ガン見して眉間にシワを寄せている。探るような視線からも、本当に見えていないようだ。
『念の為、防音ね』
ページが勝手に捲れて、文字らしき物が一文光る。
そしてカチリと音がした。
「ディードさん、魔導書守護者のセーレです。僕は、レイと契約しました。僕は彼を護り強くしたい。貴方を信じたいのですが、何分レイは敵が多い。この本と僕との関係、魔法に関わること。この三人以外とは共有出来ないように魔法をかけます。もし誰かに自白の魔法を掛けられ時は、自動的にこの部分の記憶を消去されますから安心して下さい」
「認識操作、自動消去」
ディードの眉が寄せられる。
「貴方を守る為でもあるので」
「──分かりました。セーレ様、私のお願いを聞いていただけますか?」
「何でしょう?」
「私に間者がつくようなことが有れば迷わず、切り捨てて下さい。自白の魔法の前に。私が連れていかれるようなことがあれば、それはもう手遅れです。何か理由をつけて、レライエ殿下を断罪するでしょうから。私も殿下を護りたいのです」
『はぅぅ。なんて良い人だ』
この声は、レライエにしか聞こえてないみたいだ。
「セーレ様……」
「ああレイ……ごめんごめん。ディ、僕は貴方を見捨てる気はないから。レイを傍で支えてあげて。断罪とか……そんなことさせない」
「セーレ様、お約束します」
そして、また魔導書の文字が光を放った。ディードの体が光に包まれたのは一瞬だった。
「レイ……明日からいっぱい教えるからね」
「はい。セーレ様」
「そうだ。レイの寝室には防御魔法をかけるから寝室のサイドテーブルにでも魔導書を置いていつも寝てくれる?念の為に護りたいからね。あと……様はいらないよ」
「はい」
◇◇◇
テーブルの上で良かったのに……ベットで抱きしめられてる。まぁお気に入りのぬいぐるみ感覚かな?レイは可愛いなぁ。成長したら凄いイケメンになるんだよね。
おやすみ……レイ。
「お、落ち着いてディード。シィ──」
思わず人差し指を口元に立てた。
そんなに興奮することだろうか?レライエは早まったのかと心配になった。
「け、契約したんですか!?」
「ま、不味かった?魔法を教えてくれるって」
つい言い訳じみてしまう。無能と呼ばれているレライエにとって、この判断が正解が分からない。ただセーレを信じたかった。
膝をついていたディードが更に近づいてきて、手を広げる。
「え?」
がっしりと抱きしめられた。
「良かった。魔法……私は騎士なので細かく教えることは苦手です。最初は隠れて教える必要もあると思っていたのです。守護者がいるのなら桁違いの魔法を教わることが出来るはずです」
「本当に私で良かった?」
「向こうは、神子様がいて神官長も付いてるんですよ?こっちは、とにかく生きながらえる為に、自身で生命を護るんです。力を借りましょう。魔導書を護ったのは他でもないレライエ殿下です」
ディードは、ハッとして手を離して後ろに下がった。
「申し訳ありません。つい嬉しくて出過ぎました」
深く頭をさげてくれる。第一王子の近衛にいた人だけど本当に騎士としてレライエの従者の道を選んでくれたのだ。嬉しくて泣きそうになってしまいそうだ。
「大丈夫だよ。心配してくれてありがとう」
『ううううう。ディ……本当に良い奴だなぁ』
また、セーレの声が聞こえてきた。
「あ……声が聞こえたけど。ディードは聞こえない?」
「すみません」
『レイ……は、ディを信じる?召喚の時に第一王子殿下の近衛の一員だったよね?』
「──それは……そうですが」
『じゃあ、悪いけど……ディに念の為に魔法かけていいかな?』
「生命を奪うようなものではないですよね?」
人の命が奪われるのは見たくない。それだけは何としても阻止したい。
『そんなことしないよ。ただ、僕たちのことを話せない様にする魔法。僕も信じたいけど。もう少し付き合ってからね。僕の護りたい最優先は君だから』
「はい。ディードに伝えます。ディード……申し分けないんだけど」
「何でしょうか?」
「魔導書守護者が話があるらしい。私達の秘密を守ってもらうために」
「話?……分かりました。でも聞いてもいいのですか?」
「ごめん。拒否権はない、から」
「はい」
魔導書をレライエが捲る。
スッと色白の指先が現れて上半身が出てきた。黒衣にローブ姿だ。裸じゃなくて良かったと一瞬レライエは思う。魔導書を隣に置くとさらに体が出てくる。下半身は透けたままだけど、何となく魔導書の上に座ったように見えた。
『彼には姿は見えてないね。その方がいいよね。せめて声は必要な時に聞こえるようにしてあげたいな……話してもいいかな?』
レライエは、頷いた後ディードを見る。
「ディード……今、魔導書の上に座っているんだ。話をしたいんだって」
ディードは、ガン見して眉間にシワを寄せている。探るような視線からも、本当に見えていないようだ。
『念の為、防音ね』
ページが勝手に捲れて、文字らしき物が一文光る。
そしてカチリと音がした。
「ディードさん、魔導書守護者のセーレです。僕は、レイと契約しました。僕は彼を護り強くしたい。貴方を信じたいのですが、何分レイは敵が多い。この本と僕との関係、魔法に関わること。この三人以外とは共有出来ないように魔法をかけます。もし誰かに自白の魔法を掛けられ時は、自動的にこの部分の記憶を消去されますから安心して下さい」
「認識操作、自動消去」
ディードの眉が寄せられる。
「貴方を守る為でもあるので」
「──分かりました。セーレ様、私のお願いを聞いていただけますか?」
「何でしょう?」
「私に間者がつくようなことが有れば迷わず、切り捨てて下さい。自白の魔法の前に。私が連れていかれるようなことがあれば、それはもう手遅れです。何か理由をつけて、レライエ殿下を断罪するでしょうから。私も殿下を護りたいのです」
『はぅぅ。なんて良い人だ』
この声は、レライエにしか聞こえてないみたいだ。
「セーレ様……」
「ああレイ……ごめんごめん。ディ、僕は貴方を見捨てる気はないから。レイを傍で支えてあげて。断罪とか……そんなことさせない」
「セーレ様、お約束します」
そして、また魔導書の文字が光を放った。ディードの体が光に包まれたのは一瞬だった。
「レイ……明日からいっぱい教えるからね」
「はい。セーレ様」
「そうだ。レイの寝室には防御魔法をかけるから寝室のサイドテーブルにでも魔導書を置いていつも寝てくれる?念の為に護りたいからね。あと……様はいらないよ」
「はい」
◇◇◇
テーブルの上で良かったのに……ベットで抱きしめられてる。まぁお気に入りのぬいぐるみ感覚かな?レイは可愛いなぁ。成長したら凄いイケメンになるんだよね。
おやすみ……レイ。
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