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8魔導書の守護者
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魔導書守護者は、この世界で重要な役割を持っている。かつて古の魔法師自身が、創造した魔法を記録した。その魔導書が悪意のある者に利用されないように、守護者を精霊の力と魔法で創ったとされる。
その貴重な魔導書は、いつしか存在が分からなくなっていった。
傲慢な魔法師たちが、魔導書を私利私欲に使い、魔法を大切にしなかったからだ。
ゲーム内では守護者付きの魔導書は三冊ほどあると言われているが、星七の時あれだけがんばっても、一冊しか出現しなかった。
魔導書を使いこなす魔力ももちろん必要。未熟であれば、一生かかっても使えない宝の持ち腐れである。
魔導書守護者付きの魔導書は、神子の祈りと聖なる力と共に出現し神子力をはね上げる、そのものずばりチートアイテム。
悪役、当て馬的に存在し、神子様を困らせるのが第二王子殿下であるレライエだ。彼の存在が恋愛を加速させたり魔法レベル上昇のきっかけになるので、所謂彼は必要悪の設定。
第二王子殿下が愛に飢え、魔法を切望していることを利用され、悪役王子になってしまう。
これを救うルートは激レアで難易度MAXなので攻略する人は少ない。わざわざ当て馬悪役に課金してまで攻略しないってSNSで騒がれた。
神子の魔導書になるはずだったものが、神子自身にゴミとして捨てられるだろうか?
(神子は僕をゴミ扱いして要らないってハッキリ言ったんだよね)
とりあえず魔導書守護者は、その特性から最強の守護を発揮するチートアイテム。それが今、未来の悪役王子の前にある。
攻略して行くには必須だから、神子は別ルートで、王族専用の魔導書を受け取るのかも。この場合は守護者なしの魔導書になる。SNSでも、魔導書を奪われたり、盗まれて弱くなった場合は課金で補うのも手段の一つと呟かれていた。
なんだけど……三冊の内一冊しか出てこないなら、セラフィーレは神子のアイテムの可能性は限りなく高い。正直嫌すぎて、神様が特別枠で作った物だと祈りたい。
三冊あるうちの別の一冊の可能性も捨てきれないので、出来れば神子のアイテムになりたくないと、割と真剣に願っているところだ。
『恋人とかじゃなくて良いって言ったけど……傍にいるなら、従者かと思ったんだけどな』
姉の代わりにゲームを進めていたから正規ルートは知っている。難易度MAXの激レアもチャレンジしていた。無課金だから、途中までだったせいで、激レアルートのラストは知らない。
(でも諦めたくない)
魔導書守護者、セラフィーレ・ハルファスになったのだ。精霊のような不思議な体。だからこそ、昼夜問わず傍にいても問題ない存在。そう考えると割といい物に転生したのかもしれない。
走れなくても時間がかかっても、絶対に諦めない。僕は、出来ないって始めから決め付けたくない。だって最後にゴールに辿り着けば、結果オーライなんだから。
アプリでは、守護者でガーディ呼びしてたのに……
(名前があったなんて。びっくりだよ)
このチート魔導書は、契約者となった持ち主の髪色と瞳の色に反応して外装が変わる。
セラフィーレ自身も、持ち主の魔力と同調するため、髪色と瞳が変わったりする。
色が変わるのは、所有者の目印みたいなものだ。神子の傍にいたから黒くなったんだろうけど、契約をした記憶は無いから、ゲームの強制力だったのかもしれない。僕の転生のせいで何かが変わったとしても、神様の許可付きだから、がんばっていいよね?
何にせよ。推しを護れるのだ。ここに転生させてくれた意味は、レライエを護ってていいはずだから。
それに神子の攻略を邪魔する気は全くない。あの扱いなら、悪役王子を攻略する気はなさそうだしね。そっちはそっちで、楽しくし頑張ってくれればいい。
どうかな? 契約してくれるかな。すでに外装はレライエの色。子供のレライエ殿下が可愛すぎる。セラフィーレの年齢は、何百歳だろうけど、僕の中身は十八のまま。気持ちは若いから仲良くなれるかも。
悪役にしませんからね。殿下が好きになった人との幸せを一生守ります。
『レライエ殿下、僕は魔導書守護者なんです。僕と契約してくれませんか?』
セラフィーレは、勇気を出して手を差し出した。
その貴重な魔導書は、いつしか存在が分からなくなっていった。
傲慢な魔法師たちが、魔導書を私利私欲に使い、魔法を大切にしなかったからだ。
ゲーム内では守護者付きの魔導書は三冊ほどあると言われているが、星七の時あれだけがんばっても、一冊しか出現しなかった。
魔導書を使いこなす魔力ももちろん必要。未熟であれば、一生かかっても使えない宝の持ち腐れである。
魔導書守護者付きの魔導書は、神子の祈りと聖なる力と共に出現し神子力をはね上げる、そのものずばりチートアイテム。
悪役、当て馬的に存在し、神子様を困らせるのが第二王子殿下であるレライエだ。彼の存在が恋愛を加速させたり魔法レベル上昇のきっかけになるので、所謂彼は必要悪の設定。
第二王子殿下が愛に飢え、魔法を切望していることを利用され、悪役王子になってしまう。
これを救うルートは激レアで難易度MAXなので攻略する人は少ない。わざわざ当て馬悪役に課金してまで攻略しないってSNSで騒がれた。
神子の魔導書になるはずだったものが、神子自身にゴミとして捨てられるだろうか?
(神子は僕をゴミ扱いして要らないってハッキリ言ったんだよね)
とりあえず魔導書守護者は、その特性から最強の守護を発揮するチートアイテム。それが今、未来の悪役王子の前にある。
攻略して行くには必須だから、神子は別ルートで、王族専用の魔導書を受け取るのかも。この場合は守護者なしの魔導書になる。SNSでも、魔導書を奪われたり、盗まれて弱くなった場合は課金で補うのも手段の一つと呟かれていた。
なんだけど……三冊の内一冊しか出てこないなら、セラフィーレは神子のアイテムの可能性は限りなく高い。正直嫌すぎて、神様が特別枠で作った物だと祈りたい。
三冊あるうちの別の一冊の可能性も捨てきれないので、出来れば神子のアイテムになりたくないと、割と真剣に願っているところだ。
『恋人とかじゃなくて良いって言ったけど……傍にいるなら、従者かと思ったんだけどな』
姉の代わりにゲームを進めていたから正規ルートは知っている。難易度MAXの激レアもチャレンジしていた。無課金だから、途中までだったせいで、激レアルートのラストは知らない。
(でも諦めたくない)
魔導書守護者、セラフィーレ・ハルファスになったのだ。精霊のような不思議な体。だからこそ、昼夜問わず傍にいても問題ない存在。そう考えると割といい物に転生したのかもしれない。
走れなくても時間がかかっても、絶対に諦めない。僕は、出来ないって始めから決め付けたくない。だって最後にゴールに辿り着けば、結果オーライなんだから。
アプリでは、守護者でガーディ呼びしてたのに……
(名前があったなんて。びっくりだよ)
このチート魔導書は、契約者となった持ち主の髪色と瞳の色に反応して外装が変わる。
セラフィーレ自身も、持ち主の魔力と同調するため、髪色と瞳が変わったりする。
色が変わるのは、所有者の目印みたいなものだ。神子の傍にいたから黒くなったんだろうけど、契約をした記憶は無いから、ゲームの強制力だったのかもしれない。僕の転生のせいで何かが変わったとしても、神様の許可付きだから、がんばっていいよね?
何にせよ。推しを護れるのだ。ここに転生させてくれた意味は、レライエを護ってていいはずだから。
それに神子の攻略を邪魔する気は全くない。あの扱いなら、悪役王子を攻略する気はなさそうだしね。そっちはそっちで、楽しくし頑張ってくれればいい。
どうかな? 契約してくれるかな。すでに外装はレライエの色。子供のレライエ殿下が可愛すぎる。セラフィーレの年齢は、何百歳だろうけど、僕の中身は十八のまま。気持ちは若いから仲良くなれるかも。
悪役にしませんからね。殿下が好きになった人との幸せを一生守ります。
『レライエ殿下、僕は魔導書守護者なんです。僕と契約してくれませんか?』
セラフィーレは、勇気を出して手を差し出した。
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