手紙屋 ─ending letter─【完結】

Shizukuru

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7.

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    大福は、そのままベッドの上に飛び乗った。
璃桜の言葉を思い出して、独り言ちる。

?星那さんが、凪さんに会ったみたいに?」

にゃ~ん。

「大福……一緒に寝たら、お母さんに会えたりするかな」

にゃ~ん。

なんか、急に眠くなってきた気がして、寧々子は吸い寄せられるように、ベッドに潜りこんだ。

横向きで寝ていると、胸に触れない位の所で大福が丸るまってしまう。

スピ、スププ……鼻息なのか空気の抜けていくような寝息。

「可愛い……」
アニマルセラピーって本当かもと納得する。大福を撫でていると、うとうとし始めた。重たいまぶたを抵抗するのをやめて閉じてみた。

そこからの沈みこんで行くような感覚。
深く、深く。
まるで水中だ。
水面みなもがキラキラしていたのに、光が失われて透明から蒼く蒼く深い色に包まれていく。

沈みこんでも息苦しくない。丸く小さくなって、心音が聞こえてきそうだ。

胎内……にいるかのような安心感だ。



◇◇◇


「寧々……寧々……起きて起きて」
「ん……?」

(もう朝?)

「寧々……ゆーちゃの所に行こう。あら……お熱かな?」

寧々……懐かしい。ゆーちゃって、縁さんの事だ。小さい頃も、おばあちゃん呼びして欲しくないって。可愛く呼んで欲しいから、ゆーちゃって呼んでいた。

ガバッと上半身を起こすと、くらくらしてまた、布団に埋もれる。

「寧々。お熱あるみたいだけど……ゆーちゃと二人で、お留守番出来るかな?」
今日?出かけるって何? 私を置いてく理由ってなんだっけ……?

事故の日だ。この記憶、事故に遭う時だ。熱を出して、縁さんと留守番するんだ。

「だめ、いっちゃだめ」
過去に戻った? ここで止めれば、お父さんもお母さんも死なない?

「風邪っぽかったもんね。寧々、どうしても、行かないと駄目だから。ゆーちゃと待っててね」

「やだ」
母親の手を握りしめて、必死に引き止めようとする。

、大切な用事だから行かないとね」
「行ったら、ママ帰ってこないもの。ぜったいだめ」

ギュッと母親に抱きしめられて、この匂いと温もりを思い出した。寧々子は、ただ必死に剥がされまいと抱きついた。

「寧々は、寂しがりだな」
その声に反応し、手の力がゆるんだ時、縁さんに抱き締められ、母親から離される。

「パパ……」
仕事の忙しい父親の思い出は少なくて、記憶の中でも朧気だった。

(こんな、優しい顔してたんだ)
これ夢なの? 記憶?
「パパとママ二人だけで、お出かけするのだめ」

(やり直せるのなら、引き止めたい)

「それは、出来ないの」
耳元で縁さんの声がした。
──過去の記憶だから。

こんなの。こんなの、会わない方がいい。どうして、大福のせい?ひどい。

「寧々? どうした?ごめんな、

目の前にきた父親が、縁から寧々子を受け取った。

抱きかかえられると、父親の優しい顔が間近にある。
「パパ」
忘れていた父親との思い出が、脳裏に浮かんで行く。

「寧々、もう大丈夫だな。寂しいって、素直に言えて、涙を見せられる相手が出来たなら、パパも安心して

抱き締められる腕に、力が入ったのが分かる。

「パパもママも行っちゃうの?」
「でも、ずっと、ずっと寧々の事を思ってるから。一生寧々が幸せであるように願っているんだ」

こんな事話した?
覚えていないだけ?

「寧々が強くなるまで……待って……」

段々、色が無くなっていく。
目が覚めてしまう。嫌だ。

「お、お母さん!!やだ。縁さんまでいなくなるかも知れないんだよ。一人にしないで!!」

両親も縁も消えて、一人真っ白な空間にいる。

「大丈夫だ」
白い塊は、大福みたいだけど、言葉を話している。

「鴉間、神社の?神様?」
大きさが、違う。大きくて、白と言うにはツヤがあって白銀のような毛並みだった。
その足元に手紙が置いてあった。























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