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消えた君に
4.
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食事は、縁と璃桜の会話で進んでいく。人が一人多いだけで、食卓の雰囲気が違った。
「とりあえず、一度勉強を教えて見ましょうか? 家庭教師とか俺もやった事がないので、教え方が寧々子ちゃんに合うか分かりませんから」
見た目は、派手で近寄り難い。話せば丁寧に縁の相手をしている。
目を逸らしたりもしない。
璃桜の通う大学名を聞いてしまえば、皆態度を変えてしまうだろう。
日向が言った璃桜の反抗期。
親に抵抗したとか?ポリシー?それとも、近寄られたくないとかだろうか?
美形で、頭脳明晰。モテないはずがない。
神社の息子というキーワードが引っかかるだけかも知れない。
璃桜の兄の日向が後継ぎだ。だけど、能力が加味されれば、彼もまた進むべき道のように思う。
──家業を継ぐ。
私にとっては、唯一の繋がりだから。
璃桜は、嫌なのだろうか?
二人の会話に曖昧に返事をしつつ、食事を続ける。
「璃桜くん。お試し期間もバイト代払うから。それから、お金の事は、私にだけにしてくれる? 」
話が、現実的になってきた。
「縁さん、あの」
「寧々子に投資するの。将来、私を見てくれるように……腹黒なんだから、気にしないで。ふふふ。気にするか……介護してってお願いしてるようなものよね?」
「そんな事当たり前です。私の大切な身内だから」
「そのたった一人の身内が、甘えて欲しいって言ってるの」
「お試しなんだから、俺も上手く教えられるか分からないから。気楽にOKしてみたら? それとも、ドキドキして恥ずかしい?」
「ドキドキなんてしません!」
璃桜と縁が、声を上げて笑う。寧々子自身も、バカバカしくなって笑った。
片付けもして、リビングで本題に入る事になった。あてにしていた縁は、電話が入り仕事部屋に移動してしまった。
だから、話を先にする事になった。
「手紙の内容を先に見せるような事は、出来ません。本来なら、関係者だけなんです……璃桜さんは、視える人だから。手紙に触れたら中身が分かるのかも知れませんが」
「中身を見たりはしないし、出来ないよ。ただ……」
「ただ?」
「友人の大切な人だったみたいで」
「はい」
「……」
めずらしく、言葉に詰まっている璃桜の口が開くのを寧々子は待った。
「俺に、幽霊が視えないかって聞いて来た。彼が本当に死んだのなら、いつ死んだのか? 知りたいと言われた」
「幽霊……視えるんですか?!」
「どうだろう? 」
「は?」
「どうなんだろうね。視えてる物が同じものかなんて、誰にも分からないから」
スマホで録画が出来る訳でもない。脳内を何かで覗き見るとか、同じものか? なんて視覚を共有なんて出来ない。
「大福は、猫にしか見えないから。アイツは参考にならない」
確かにそうだ。化け猫かも知れないと言って誰が信じるだろう。
大福が見えない人もいるらしい。それしか寧々子は知らない。
誰も、信じない。
「──幽霊なのか、宇宙生命体なのか? ただの人かも知れないし、答え合わせなんてした事なんてないよ」
『ここに誰かいる』……おもわず言った言葉で、どれだけ傷付けられただろう。
『嘘つき』
『気味が悪い』
それが、どんなに辛いか……璃桜も知っているのだと気がついた。
「とりあえず、一度勉強を教えて見ましょうか? 家庭教師とか俺もやった事がないので、教え方が寧々子ちゃんに合うか分かりませんから」
見た目は、派手で近寄り難い。話せば丁寧に縁の相手をしている。
目を逸らしたりもしない。
璃桜の通う大学名を聞いてしまえば、皆態度を変えてしまうだろう。
日向が言った璃桜の反抗期。
親に抵抗したとか?ポリシー?それとも、近寄られたくないとかだろうか?
美形で、頭脳明晰。モテないはずがない。
神社の息子というキーワードが引っかかるだけかも知れない。
璃桜の兄の日向が後継ぎだ。だけど、能力が加味されれば、彼もまた進むべき道のように思う。
──家業を継ぐ。
私にとっては、唯一の繋がりだから。
璃桜は、嫌なのだろうか?
二人の会話に曖昧に返事をしつつ、食事を続ける。
「璃桜くん。お試し期間もバイト代払うから。それから、お金の事は、私にだけにしてくれる? 」
話が、現実的になってきた。
「縁さん、あの」
「寧々子に投資するの。将来、私を見てくれるように……腹黒なんだから、気にしないで。ふふふ。気にするか……介護してってお願いしてるようなものよね?」
「そんな事当たり前です。私の大切な身内だから」
「そのたった一人の身内が、甘えて欲しいって言ってるの」
「お試しなんだから、俺も上手く教えられるか分からないから。気楽にOKしてみたら? それとも、ドキドキして恥ずかしい?」
「ドキドキなんてしません!」
璃桜と縁が、声を上げて笑う。寧々子自身も、バカバカしくなって笑った。
片付けもして、リビングで本題に入る事になった。あてにしていた縁は、電話が入り仕事部屋に移動してしまった。
だから、話を先にする事になった。
「手紙の内容を先に見せるような事は、出来ません。本来なら、関係者だけなんです……璃桜さんは、視える人だから。手紙に触れたら中身が分かるのかも知れませんが」
「中身を見たりはしないし、出来ないよ。ただ……」
「ただ?」
「友人の大切な人だったみたいで」
「はい」
「……」
めずらしく、言葉に詰まっている璃桜の口が開くのを寧々子は待った。
「俺に、幽霊が視えないかって聞いて来た。彼が本当に死んだのなら、いつ死んだのか? 知りたいと言われた」
「幽霊……視えるんですか?!」
「どうだろう? 」
「は?」
「どうなんだろうね。視えてる物が同じものかなんて、誰にも分からないから」
スマホで録画が出来る訳でもない。脳内を何かで覗き見るとか、同じものか? なんて視覚を共有なんて出来ない。
「大福は、猫にしか見えないから。アイツは参考にならない」
確かにそうだ。化け猫かも知れないと言って誰が信じるだろう。
大福が見えない人もいるらしい。それしか寧々子は知らない。
誰も、信じない。
「──幽霊なのか、宇宙生命体なのか? ただの人かも知れないし、答え合わせなんてした事なんてないよ」
『ここに誰かいる』……おもわず言った言葉で、どれだけ傷付けられただろう。
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それが、どんなに辛いか……璃桜も知っているのだと気がついた。
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