手紙屋 ─ending letter─【完結】

Shizukuru

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手紙屋☆伝えたい想い

9.結局こうなる

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 高校二年生の寧々子の朝は早い。

 璃桜が通っていた聡慧館そうけいかん高校は、県下トップクラスの、いや日本でも最難関として有名な高校。

 生徒のレベルの高さ故か、自主性を重んじ生徒に自治が認められていて校則がない。自分達が行動なのかも分かっているので、教職員の信頼が熱いとか、テレビで高校紹介されていた。

 その高校よりは、県内で三つくらい下の偏差値になるが進学校ではある。
 ただし、打倒聡慧館そうけいかん高校を掲げているので、課題も課外授業も多い。

「朝課外もあるので、送迎は結構です」

 断ったのに、それなら尚更だと璃桜の兄にバッサリと切られた。

「大学とか、バイトとか……忙しいですよね?」

(ほら、断れ。無理って言え)と念じてみても伝わらないみたいだ。

「神社の手伝いが、バイトみたいなものだし。大丈夫。大丈夫。運転も俺より上手いよ。りーくん……じゃなくて璃桜も、一週間、いや完治するまでの送迎出来るよね?」

りーくん……。
寧々子は思わず、ツッコミそうになったけど、鋭い視線を感じて黙った。日向の圧が大きかったのか、璃桜は折れた。

「分かった、。連絡先、Lime教えて」

自然の流れに逆らえず、連絡先まで交換する羽目になってしまった。



既に、家の前の空きスペースに車が停まっている。
ひょこひょこと歩いていると、スタスタと縁が先に動いた。

「おはよう。璃桜くん。しばらく寧々子の送迎をお願いするわね」

祖母だけど、母親位にしか見えない。本当に年齢不詳の美人だ。

「おはようございます。──分かりました。じゃ、乗って……黒ね……黒須さん」

黒猫、呼ばわりにムッとしつつ、でも今更、黒須さんって言われるのもむず痒い。

おはようございます」

璃桜の眉がピクリと動いた。仕返しを少ししてみたのだけど、日向に比べてクールに見えたものの、意外と表情が豊かだ。

思わず、吹き出しそうなった。

学校までは、車なら5分もかからない。
裏門に着けてもらうつもりだった。ほぼ沈黙の車内で、裏門にお願いしますと伝えたのだ。

「なんで、よりによって正面?」
こっちは、JKだ。 金髪の男性に朝から送迎されているのを見られるとか……堂々とし過ぎてびっくりだ。

「裏門に送る方が、意味深だろ?学校には連絡してくれてるらしいし」

「そうだけど、そうじゃないでしよう!!」

「世間は狭いから、問題ないし……誰も俺と誤解なんてしない」

「えっ、逆でしょ? 疑われると思うけど?」

ブハッと吹き出して笑い始めた。

「教室まで送る?」
「結構です!」

「帰りも、黒猫」

「う、───わかりました」

「じゃ、また」
そう言って、戻ってしまった。面白がってる。絶対そうだ。なんか腹が立つ。


ほら、だから……今こんな目に合うんじゃない。

クラスの席に着いた後、こんなにクラスメートに囲まれたのは、初めてだ。

(あの、腹黒鴉……最低)

夕方の事を思うと寧々子は、ため息しか出なかった。











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