手紙屋 ─ending letter─【完結】

Shizukuru

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手紙屋☆伝えたい想い

7.

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 手紙を見ろ、とドヤ顔で大福が膝の上に鎮座している。

うちの御神体は、真っ黒の招き猫だ。動いたりとかはしないと思うけど。
白猫の大福は、鴉間神社に関係する何かなのかもしれない。

 ──白猫がいるから、黒須寧々子は黒猫って事?璃桜に色々言いたい。

ただ大福のおかげで手紙がに戻った今は、感謝しないといけない。ようやく伝える事が出来るのだから。

そっと大福の頭を撫でて、ありがとうございますと呟いた。

「三葉さん。さっきの手紙は、これを読んで欲しい。四葉さんから預かったものだから。私は中身を知らないの。だから、貴方を傷付けるかも知れないけど。受け取るのは嫌かな?お願い破るのは、せめて読んでからにして欲しい」

 ソファに座ったまま、近づけないまま手紙を前に差し出した。

 本当に、情けない格好のままだ。
それでも、今度こそ受け取って欲しい。

母親の顔は歪み苦しそうだ。三葉は、まだ迷っている。

 立ち上がろうとして、足を着くと痛みでガクンと倒れかかった。
璃桜が抱きとめて「バカ猫」と耳打ちする。
「ちょっ……と」
抱えられる形で、三葉の前へと連れて行かれた。

「ほら、自分で渡せ」
三葉の手を取り、その手に触れさせる。

「四葉さんの気持ちを受け取って」
 今までは、不思議なくらいに簡単に受け入れられ、ありがとうと感謝をされてきた。

拒絶されたのは、初めてだった。

だから───縁さんは、今回は私が良いって言ったのだろうか?

母親が見つめる中、三葉が手紙を開封した。



 ───三葉へ
 たくさん、苦しめてごめん。
双子で生まれた事、怨んでますか?
私、三葉の事大好きだった。
三葉が人の輪に入るのが苦手だったから、三葉の居場所を作ろうって勇気を出したの。

 明るく振舞って勉強も必死だった。傍に居てずっと力になれるようにって。

どんどん、三葉の元気がなくなっていった。そんな風に苦しめるつもりなんて、なかったんだよ。

『葉っぱの数が足りないもんね』
 そんな事、言わせる様な事を私がしたんだって。ずっと後悔してたの。
学校に行けなくなった三葉の事、何も出来なかった。

 私が居なかったら良かったのにってずっと思ってた。

罰だったのか、願ったからか分からないけど、病気になってた。そんな事願わなければ良かった。

 私が死んだら、三葉が喜んでくれるって思った事もあったよ。
でもだんだん怖くなって、死にたくなくて、なんで私なの? なんで私だけ死ぬの? 念の為に検査を受けた双子の三葉は、病気にさえかかってなかった。

なんで私は、手遅れになるまで気づかなかったんだろう。

それなのに、三葉がどんどん自分を責め始めて……代わりに死にたいとか。腕の傷が増えるたびに悔しくなった。

 なら、代わってよって言った。代わりに死んでって。
感情ぐちゃぐちゃになってた。

 全然、優秀な姉なんかじゃない。
みっともないの。
生きたくて生きたくて、いっぱい三葉を傷付けた。言ってはいけなかったのに。

 言っちゃいけない事を言って、後悔しても遅くて。
お母さんもきっと泣かしてたよね。

 三葉にまた明日って、言うのがやっとだった。目を閉じたらこのまま目が覚めない気がしてたんだ。生きて会いたいってだから、また明日って言ったんだよ。

 責める気なんてなかったんだ。

三葉、今さら信じて貰えないだろうけど、私は、三葉に生きて欲しい。

 私の出来なかった事を代わりにしなくて大丈夫だよ。三葉は、三葉のやりたい事を見つけたらいい。

 いっぱいやりたい事があったんだ。
三葉、今すぐじゃなくていいから、外に出て見て。

 生きてるってすごい事だよ。

私の事怨んでもいいから、覚えていて。
忘れないで。私も生きてたって事。

 大好きだよ。三葉。








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