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手紙屋☆伝えたい想い
5.
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双子の差がハッキリつき始めたのは、小学生の頃。外見はそっくりだったが、四葉は明るく人当たりが良い。クラスのリーダー的存在に自然となっていった。対して三葉は、人見知りのある大人しい子のままだった。
友人も多く成績も良く目立つ四葉に対して、三葉は一緒にいたが四葉のオマケの様に思っていたようだ。
四葉ちゃんの妹と呼ばれる事も多かった。
成績も差があり、顔が似ているだけの劣化版だと言われるようになっていた事。
『葉っぱの数が足りないもんね』
何気ないその一言で、中学二年で不登校がちになって行った娘。
だけど、二人でいる時は本当に仲が良かったと母親は語った。
中三に進級してしばらくして、四葉の体調不良が続き大きな病院に行くように勧められた。
ステージ4と診断され、すでに余命は長くても半年だった。
四葉は、泣き言を言わずに戦った。綺麗な髪は束になって抜け落ちる為に、剃り落とした。『帽子を被ったらあまり分からないよね?』と笑っていたと言う。
三葉は長く伸ばしていた髪を切った。後にウィッグ用に集めている美容院に行っていた事も分かった。
私が死ねばいいのにと、夜中に泣き続けていたそうだ。
三葉が長袖を着ているのは、自傷の跡が付いているから。生きたがってる娘に病魔が襲い。健康な娘は変わりに死にたいと傷を付ける。
「どうしていいか分からなくて鴉間神社に行ったんです。私の泣き言を宮司さんに聞いてもらったりしました」
母親が璃桜の方を見て、僅かに微笑んだ。
『三葉、また明日ね』
それが、最期の言葉でそのまま昏睡状態になり四葉は息を引き取った。
「黒須さん、大丈夫?」
ティシュを箱ごと目の前に用意され、ゴミ箱も持ってきてくれた。
話を聞いてボロボロに泣いてしまって、鼻水がすごい。ズルズルいわせて情けない。
辛いのは家族なのに、本当に申し訳なく思う。
「ずみまぜん。あ、ありがとう、ございます」
三葉は、ソファで眠ったままだ。
その手前に床に母親が座っている。大福は、三葉のお腹辺りで蹲まったままだ。
なんで、猫の事を母親が何も言わないのか分からないままだ。今は黙って置く事にした。
寧々子は一人がけのソファに、璃桜は椅子に座っている。
出血の割に傷は小さかったけれど、傷用の消毒薬をドバドバとかけられた。破片を取り除いた後ガーゼで処置して、止血の為にと何重にもグルグルと巻かれている。
大袈裟……だが、看護師さんの処置だから信じるしかない。
靴は入らないだろう。そんな分厚さだった。
それ以外の所は、絆創膏だ。
「高校……四葉の行きたかった所、落ちたんです。本当に頑張ったんですよ。苦手な数学も、四葉のノートとか、参考書に書き込んだメモとか……学校も保健室までは何とか行けて特別に見てもらってました」
「今はどうしてるんですか?」
「通信の高校です。 黒須さんの制服、四葉も三葉も行きたかったとこなんですよ」
「あ……」
「本当に可愛いわね」
母親はそう言った後、振り返り三葉の方を見て手を握っている。
「情けないわね。どちらも大切な子なの。葉っぱが足りないって、そんな意味じゃないのに」
「名前の意味を聞いてもいいですか?」
ずっと黙っていた璃桜が、質問してきた。それは少し聞いてみたかった。
「三葉のクローバーって、踏まれたり傷付けられて四葉になるって聞いた事ないかしら?二人に同じ名前は付けられないから、二人とも強く生きて、幸せになって欲しかったの。」
でも、と言って悲しそうな声が今にも泣き出してしまいそうだ。
「三葉が四葉になろうとしなくていいのに、三葉は三葉で居てくれたらそれでいいのに」
嗚咽となって、こぼれていく。
四葉が逝けない理由。 母親の胸の内。三葉はどうしたいのだろう。
破れた手紙を璃桜が集めてくれた。
これをどうしたら、伝えられるのだろう。
友人も多く成績も良く目立つ四葉に対して、三葉は一緒にいたが四葉のオマケの様に思っていたようだ。
四葉ちゃんの妹と呼ばれる事も多かった。
成績も差があり、顔が似ているだけの劣化版だと言われるようになっていた事。
『葉っぱの数が足りないもんね』
何気ないその一言で、中学二年で不登校がちになって行った娘。
だけど、二人でいる時は本当に仲が良かったと母親は語った。
中三に進級してしばらくして、四葉の体調不良が続き大きな病院に行くように勧められた。
ステージ4と診断され、すでに余命は長くても半年だった。
四葉は、泣き言を言わずに戦った。綺麗な髪は束になって抜け落ちる為に、剃り落とした。『帽子を被ったらあまり分からないよね?』と笑っていたと言う。
三葉は長く伸ばしていた髪を切った。後にウィッグ用に集めている美容院に行っていた事も分かった。
私が死ねばいいのにと、夜中に泣き続けていたそうだ。
三葉が長袖を着ているのは、自傷の跡が付いているから。生きたがってる娘に病魔が襲い。健康な娘は変わりに死にたいと傷を付ける。
「どうしていいか分からなくて鴉間神社に行ったんです。私の泣き言を宮司さんに聞いてもらったりしました」
母親が璃桜の方を見て、僅かに微笑んだ。
『三葉、また明日ね』
それが、最期の言葉でそのまま昏睡状態になり四葉は息を引き取った。
「黒須さん、大丈夫?」
ティシュを箱ごと目の前に用意され、ゴミ箱も持ってきてくれた。
話を聞いてボロボロに泣いてしまって、鼻水がすごい。ズルズルいわせて情けない。
辛いのは家族なのに、本当に申し訳なく思う。
「ずみまぜん。あ、ありがとう、ございます」
三葉は、ソファで眠ったままだ。
その手前に床に母親が座っている。大福は、三葉のお腹辺りで蹲まったままだ。
なんで、猫の事を母親が何も言わないのか分からないままだ。今は黙って置く事にした。
寧々子は一人がけのソファに、璃桜は椅子に座っている。
出血の割に傷は小さかったけれど、傷用の消毒薬をドバドバとかけられた。破片を取り除いた後ガーゼで処置して、止血の為にと何重にもグルグルと巻かれている。
大袈裟……だが、看護師さんの処置だから信じるしかない。
靴は入らないだろう。そんな分厚さだった。
それ以外の所は、絆創膏だ。
「高校……四葉の行きたかった所、落ちたんです。本当に頑張ったんですよ。苦手な数学も、四葉のノートとか、参考書に書き込んだメモとか……学校も保健室までは何とか行けて特別に見てもらってました」
「今はどうしてるんですか?」
「通信の高校です。 黒須さんの制服、四葉も三葉も行きたかったとこなんですよ」
「あ……」
「本当に可愛いわね」
母親はそう言った後、振り返り三葉の方を見て手を握っている。
「情けないわね。どちらも大切な子なの。葉っぱが足りないって、そんな意味じゃないのに」
「名前の意味を聞いてもいいですか?」
ずっと黙っていた璃桜が、質問してきた。それは少し聞いてみたかった。
「三葉のクローバーって、踏まれたり傷付けられて四葉になるって聞いた事ないかしら?二人に同じ名前は付けられないから、二人とも強く生きて、幸せになって欲しかったの。」
でも、と言って悲しそうな声が今にも泣き出してしまいそうだ。
「三葉が四葉になろうとしなくていいのに、三葉は三葉で居てくれたらそれでいいのに」
嗚咽となって、こぼれていく。
四葉が逝けない理由。 母親の胸の内。三葉はどうしたいのだろう。
破れた手紙を璃桜が集めてくれた。
これをどうしたら、伝えられるのだろう。
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