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大人の秘密道具店(ハロウィンSS) ①
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アルのお兄さんは、王位を継承してから多忙を極めている。そのとばっちりを、もろ被りする人が僕のそばにいるわけで。
朝早くから、深夜まで……執務をこなしている。
まぁ、つまりは。夜はご無沙汰なのだ。
「疲れてるの分かってて、シテとは言えないよね」
窓から見える青い空が、恨めしい。デートの時間さえないのだから。
僕自身も暇ではない。アルよりマシなだけ。領地の為に出来ることを手伝っているので、すれ違いも多い。
そんなある日、スピカに連行されて馬車に乗せられた。二人してフードローブを身につけて、顔が見えないようにしている。さらに護衛にリート様が、認識阻害状態で付いて来ている。
お店を建物の影から覗きながら、よくまあこんな所にある建物を見つけてくるものだと感心する。
「こんな所に、こんなお店があったんだ」
思わず声に出してしまった。
レトロな建物で、蔦植物が壁を隠す勢いでビッシリ張り付いている。まるで魔女が住んでいそうだ。
魔女……って、あまりいい思い出ではないから。少し不安になってきた。
「ね、スピカ……ここって、怪しいお店? 魔女とかが変な薬作ってたりしない?」
「ふふふ。秘密……の道具店だよ」
秘密道具……?え、何かますます怪しい。
「それに魔女じゃなくて。ここのマスターはイケオジだよ。ハロウィン近いから、コスプレイをしたら楽しいかな~なんてね」
「──コスプレじゃないの?」
「プレイ」
「プレイ? えっ、なん……えっ?秘密道具って?」
スピカがニヤリとする。
「カストル様も忙しいけど、触れたがりだからね。でもアルファルド殿下は、ルナ様が忙しいと遠慮しちゃうでしょ?ちょっと羽目を外しても楽しいと思う。なんてったって、ハロウィンだよっ。それに、ここのオーナーは、転生者なんだよね」
スピカに手を引かれて、ドアの前に立つ。何事か、スピカがドア前でつぶやくとドアがゆっくりと開いた。
(転生者?ええ)
「ルナ様行こう」
イフリート様が止めないならきっと、大丈夫だ。
(ハロウィン、もうそんな時期なんだ)
「ルナ様?」
「あ、うん。大丈夫」
ドアを閉めた瞬間に、ロウソクの火が灯り室内はオレンジ色の暖かみのある雰囲気に包まれる。
「ハロウィンカラーだ」
「ほら、かぼちゃのお化けとか、コウモリとか……この世界にないような、お化けマスクもあるでしょう?」
「結構転生者っているのかな?」
ふと、くじ引きした事を思い出した。
「いらっしゃい。スピカ」
目の前に現れた人は、店主とは思えない。鍛えた胸筋が騎士に見えるし、無精ひげも、妙に似合うおじ様だ。
心地よいバリトンボイスだ。
「ネムーゾさん。例のアレ見せて」
「スピカ、こんな可愛い子と夜に一緒に使うのか?」
「やだなぁ。お互いパートナーがいるよ」
(一体なんの話? コスプレなんか凄いやつなの?)
「うわっ」
突然後ろから、シャツを引っ張られて振り向く。
「本当に?パートナーいるんだよね?」
くりくりしたアーモンドアイの幼気な男の子がいる。
「ルナ様には、とんでもないイケメンのパートナーがいますー」
「スピカには、聞いてないっ。とにかくネムに手を出さないでよ!」
(店主とこの子、付き合ってるの?犯罪じゃ)
「見た目と年齢違うからねっ。どーせ、夜の相手にしてもらえないから、秘密道具が欲しくてきたくせに。僕は毎日」
「サラリ。黙って、今日おしおきされたいのか?」
なんか、やばいお店では?スピカの横にくっついて耳打ちする。
「あのスピカ……変な、プレ……ィとか……しなくても」
「そんな、変なのないって。この世界に無さそうな可愛い服をルナ様に着せたいだけだよ」
ハロウィンの仮装?何を着せたいんだろ?
「ほら、それに……ルナ様がお菓子をくれないとイタズラをするぞって言ったらめちゃくちゃ可愛いと思う」
スピカはニカッと笑って、かごを持っている。ピンクのもふもふしたのって、手錠? 手首が痛くないように柔らかくなってる。猫耳? 下着それなの?かくれないじゃん。
どんどん顔が熱くなってしまう。
「ス、スピカ……それ、スピカのだよね?」
「 え? だから、ほとんどルナ様のだよ。他に特別なお菓子もあるからね。ルナ様、たまには甘えないとだめです。色仕掛けしてくださいね」
そして、夜に備える事になったのだ。
◇◇◇
後半R夕方にあげます。
朝早くから、深夜まで……執務をこなしている。
まぁ、つまりは。夜はご無沙汰なのだ。
「疲れてるの分かってて、シテとは言えないよね」
窓から見える青い空が、恨めしい。デートの時間さえないのだから。
僕自身も暇ではない。アルよりマシなだけ。領地の為に出来ることを手伝っているので、すれ違いも多い。
そんなある日、スピカに連行されて馬車に乗せられた。二人してフードローブを身につけて、顔が見えないようにしている。さらに護衛にリート様が、認識阻害状態で付いて来ている。
お店を建物の影から覗きながら、よくまあこんな所にある建物を見つけてくるものだと感心する。
「こんな所に、こんなお店があったんだ」
思わず声に出してしまった。
レトロな建物で、蔦植物が壁を隠す勢いでビッシリ張り付いている。まるで魔女が住んでいそうだ。
魔女……って、あまりいい思い出ではないから。少し不安になってきた。
「ね、スピカ……ここって、怪しいお店? 魔女とかが変な薬作ってたりしない?」
「ふふふ。秘密……の道具店だよ」
秘密道具……?え、何かますます怪しい。
「それに魔女じゃなくて。ここのマスターはイケオジだよ。ハロウィン近いから、コスプレイをしたら楽しいかな~なんてね」
「──コスプレじゃないの?」
「プレイ」
「プレイ? えっ、なん……えっ?秘密道具って?」
スピカがニヤリとする。
「カストル様も忙しいけど、触れたがりだからね。でもアルファルド殿下は、ルナ様が忙しいと遠慮しちゃうでしょ?ちょっと羽目を外しても楽しいと思う。なんてったって、ハロウィンだよっ。それに、ここのオーナーは、転生者なんだよね」
スピカに手を引かれて、ドアの前に立つ。何事か、スピカがドア前でつぶやくとドアがゆっくりと開いた。
(転生者?ええ)
「ルナ様行こう」
イフリート様が止めないならきっと、大丈夫だ。
(ハロウィン、もうそんな時期なんだ)
「ルナ様?」
「あ、うん。大丈夫」
ドアを閉めた瞬間に、ロウソクの火が灯り室内はオレンジ色の暖かみのある雰囲気に包まれる。
「ハロウィンカラーだ」
「ほら、かぼちゃのお化けとか、コウモリとか……この世界にないような、お化けマスクもあるでしょう?」
「結構転生者っているのかな?」
ふと、くじ引きした事を思い出した。
「いらっしゃい。スピカ」
目の前に現れた人は、店主とは思えない。鍛えた胸筋が騎士に見えるし、無精ひげも、妙に似合うおじ様だ。
心地よいバリトンボイスだ。
「ネムーゾさん。例のアレ見せて」
「スピカ、こんな可愛い子と夜に一緒に使うのか?」
「やだなぁ。お互いパートナーがいるよ」
(一体なんの話? コスプレなんか凄いやつなの?)
「うわっ」
突然後ろから、シャツを引っ張られて振り向く。
「本当に?パートナーいるんだよね?」
くりくりしたアーモンドアイの幼気な男の子がいる。
「ルナ様には、とんでもないイケメンのパートナーがいますー」
「スピカには、聞いてないっ。とにかくネムに手を出さないでよ!」
(店主とこの子、付き合ってるの?犯罪じゃ)
「見た目と年齢違うからねっ。どーせ、夜の相手にしてもらえないから、秘密道具が欲しくてきたくせに。僕は毎日」
「サラリ。黙って、今日おしおきされたいのか?」
なんか、やばいお店では?スピカの横にくっついて耳打ちする。
「あのスピカ……変な、プレ……ィとか……しなくても」
「そんな、変なのないって。この世界に無さそうな可愛い服をルナ様に着せたいだけだよ」
ハロウィンの仮装?何を着せたいんだろ?
「ほら、それに……ルナ様がお菓子をくれないとイタズラをするぞって言ったらめちゃくちゃ可愛いと思う」
スピカはニカッと笑って、かごを持っている。ピンクのもふもふしたのって、手錠? 手首が痛くないように柔らかくなってる。猫耳? 下着それなの?かくれないじゃん。
どんどん顔が熱くなってしまう。
「ス、スピカ……それ、スピカのだよね?」
「 え? だから、ほとんどルナ様のだよ。他に特別なお菓子もあるからね。ルナ様、たまには甘えないとだめです。色仕掛けしてくださいね」
そして、夜に備える事になったのだ。
◇◇◇
後半R夕方にあげます。
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