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最愛の君へ
⑦
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無事にシルフィ様とフェルが、オーウェン殿下を送り届けてくれた。
双子は寂しがるかと思ったら、案外平気そうで兄弟仲良く、ベッドの上でじゃれている。
「かわいい……」
急に後ろからハグされて、ちょっとだけアルを睨む。
「このくらい、見せつけても問題ない」
本当にどうして、こんな可愛い子達に嫉妬するんだろう?まぁ意外な一面を見れたけど。でも、ちょっと、激しく抱かれすぎて……触られるだけで、思い出すから困ってしまう。
「あ、アル兄様も一緒なんですか?4人で寝るには、このベット狭いから隣のベッドの方が良くないですか?」
アリオトの意見は、最もなので、それとなく伝えてみようかな?
いくら何でも、4人は狭いよね。子供達の寝相も悪いかもしれないし。
「そう……」
「なら、お前達が2人でここで寝たらいい。俺達が隣のベッドへ行こう」
お、大人気なくない?
ほら、シャウラは楽しみにしてたんだよ?
一気にシャウラが、泣きそうな顔になった。
子供の頃のアルに似た顔で、泣かれるのは……どうしても嫌だ。
「お風呂は別にしてくれたんだから、アルがあっちだよ」
シャウラが近寄ってきた。手を伸ばすとポスンと胸の中へとおさまってしまう。
可愛い。可愛すぎる。思わず頬をすりすりすると、顔をくしゃっとして、笑ってくれた。
ベッドの中央で座っているアリオトが、にやにやしていて不思議に思ってしまう。一体どうしたんだろう?後ろ?
ゆっくりと振り返るとアルが固まっていた。
どうかしたのかな?
「アル?ほら、そっちでゆっくり寝て。あ、アリオトは僕と一緒に寝る?それともアルと寝る?」
「──僕も、ルナ様とシャウラと寝たいです」
僕が真ん中でシャウラとアリオトと川の字ってやつ?なんか、キャンプとか思い出してしまうな。いつもシス兄様が隣だったっけ。灯りも気にしてくれてたよね。
ああ……でも大丈夫かな?
「あのね。暗いのが苦手だから、少し明るめだけどいい?」
これだけは、本当に改善しなくて……寝室は明るめなんだ。
灯りを少し暗めにしても、顔は、はっきりと判別出来てしまうから申し訳ない。アルは、逆に喜ぶから……ちょっと困る。
「ごめんね。明るくて眠れないなら、僕だけ別室に行こうか?」
『ダメ!』
『ダメです』
『駄目だ!』
3人の言葉が重なった。
「───ありがとう」
そう言って、思わず笑ったら……
シャウラとアリオトが真っ赤になった。
思わずアルの方を見たら、不機嫌そうにしている。
「僕に2人が、懐いちゃってごめんね。今日だけ、アルはそっちね。明日は、別にしようか?その方が楽しいかも」
アルが深くため息をつく。
「ほら、3人とも寝ろ。今日だけルナを貸してやる」
『えー』
ものすごく、抗議してくれてる。
家族が増えてたらこんな感じで楽しいのかな?
アルと目が合って、思わず手を取って引き寄せる。
「お休みなさい」
そう言って頬に口付ける。アルが優しく微笑んで、唇に軽く口付けてきた。
それから、ベッドに3人で横になると、アルがブランケットを掛けてくれた。
しばらくして、2人の寝息が聞こえ始める。
「アル。ありがとう」
ベットの端に座っているアルの手が僕の指先に触れてきた。
「ルナは、子供が欲しいのか?」
僕より大きな手が、優しく指を絡めていく。
「どう、かな。アルと一緒に居られたらそれでいいと思ってるけど?」
「随分と、シャウラを可愛がるから、ルナこそ子供が欲しいのかと思ったんだ」
「それは……アルに似てるからだよ。いつか、王弟として……立つ時が来るかもしれない。外交とかに第2夫人が必要かな?とか……子供がいた方が良いのかな?とか考えてて。せめてアルに似てたら、好きになれるかもしれないって考えてたんだ」
「またそれか?」
繋いだ手に少し力が加わった。
「だって、夫人の方に似たら、嫌だから。1人だけ邪魔になって取り残されそうで……怖かったから」
「お前を泣かしたら、俺に身の危険が及ぶ。それに国が滅ぼされるかも知れない。貴族連中の噂より、俺を信じて欲しい。こんなチビ2人に嫉妬しているくらいだ」
「本当だね」
「ルナが寝るまで手を繋いでおく。明日は、俺と寝るぞ。ほら、おやすみ」
真顔で言わないでよ。
「──アル。お休みなさい」
そして、目を閉じた。
双子は寂しがるかと思ったら、案外平気そうで兄弟仲良く、ベッドの上でじゃれている。
「かわいい……」
急に後ろからハグされて、ちょっとだけアルを睨む。
「このくらい、見せつけても問題ない」
本当にどうして、こんな可愛い子達に嫉妬するんだろう?まぁ意外な一面を見れたけど。でも、ちょっと、激しく抱かれすぎて……触られるだけで、思い出すから困ってしまう。
「あ、アル兄様も一緒なんですか?4人で寝るには、このベット狭いから隣のベッドの方が良くないですか?」
アリオトの意見は、最もなので、それとなく伝えてみようかな?
いくら何でも、4人は狭いよね。子供達の寝相も悪いかもしれないし。
「そう……」
「なら、お前達が2人でここで寝たらいい。俺達が隣のベッドへ行こう」
お、大人気なくない?
ほら、シャウラは楽しみにしてたんだよ?
一気にシャウラが、泣きそうな顔になった。
子供の頃のアルに似た顔で、泣かれるのは……どうしても嫌だ。
「お風呂は別にしてくれたんだから、アルがあっちだよ」
シャウラが近寄ってきた。手を伸ばすとポスンと胸の中へとおさまってしまう。
可愛い。可愛すぎる。思わず頬をすりすりすると、顔をくしゃっとして、笑ってくれた。
ベッドの中央で座っているアリオトが、にやにやしていて不思議に思ってしまう。一体どうしたんだろう?後ろ?
ゆっくりと振り返るとアルが固まっていた。
どうかしたのかな?
「アル?ほら、そっちでゆっくり寝て。あ、アリオトは僕と一緒に寝る?それともアルと寝る?」
「──僕も、ルナ様とシャウラと寝たいです」
僕が真ん中でシャウラとアリオトと川の字ってやつ?なんか、キャンプとか思い出してしまうな。いつもシス兄様が隣だったっけ。灯りも気にしてくれてたよね。
ああ……でも大丈夫かな?
「あのね。暗いのが苦手だから、少し明るめだけどいい?」
これだけは、本当に改善しなくて……寝室は明るめなんだ。
灯りを少し暗めにしても、顔は、はっきりと判別出来てしまうから申し訳ない。アルは、逆に喜ぶから……ちょっと困る。
「ごめんね。明るくて眠れないなら、僕だけ別室に行こうか?」
『ダメ!』
『ダメです』
『駄目だ!』
3人の言葉が重なった。
「───ありがとう」
そう言って、思わず笑ったら……
シャウラとアリオトが真っ赤になった。
思わずアルの方を見たら、不機嫌そうにしている。
「僕に2人が、懐いちゃってごめんね。今日だけ、アルはそっちね。明日は、別にしようか?その方が楽しいかも」
アルが深くため息をつく。
「ほら、3人とも寝ろ。今日だけルナを貸してやる」
『えー』
ものすごく、抗議してくれてる。
家族が増えてたらこんな感じで楽しいのかな?
アルと目が合って、思わず手を取って引き寄せる。
「お休みなさい」
そう言って頬に口付ける。アルが優しく微笑んで、唇に軽く口付けてきた。
それから、ベッドに3人で横になると、アルがブランケットを掛けてくれた。
しばらくして、2人の寝息が聞こえ始める。
「アル。ありがとう」
ベットの端に座っているアルの手が僕の指先に触れてきた。
「ルナは、子供が欲しいのか?」
僕より大きな手が、優しく指を絡めていく。
「どう、かな。アルと一緒に居られたらそれでいいと思ってるけど?」
「随分と、シャウラを可愛がるから、ルナこそ子供が欲しいのかと思ったんだ」
「それは……アルに似てるからだよ。いつか、王弟として……立つ時が来るかもしれない。外交とかに第2夫人が必要かな?とか……子供がいた方が良いのかな?とか考えてて。せめてアルに似てたら、好きになれるかもしれないって考えてたんだ」
「またそれか?」
繋いだ手に少し力が加わった。
「だって、夫人の方に似たら、嫌だから。1人だけ邪魔になって取り残されそうで……怖かったから」
「お前を泣かしたら、俺に身の危険が及ぶ。それに国が滅ぼされるかも知れない。貴族連中の噂より、俺を信じて欲しい。こんなチビ2人に嫉妬しているくらいだ」
「本当だね」
「ルナが寝るまで手を繋いでおく。明日は、俺と寝るぞ。ほら、おやすみ」
真顔で言わないでよ。
「──アル。お休みなさい」
そして、目を閉じた。
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