【本編完結】イケメンの皆様、主人公はあちらですよ。

Shizukuru

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最愛の君へ

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  朝からドキドキしている。今日は、特別な日。

  アルのお兄さん……オーウェン・グランデ殿下が王子を連れてフォレスト領までやって来る。子供が生まれた時はお祝いに行ったけれどその後は、お互いに中々会えないままだったんだ。
なぜドキドキしているかと言えば……病弱な第2王子をしばらくフォレストで預かって欲しいと言う理由からだ。

双子で生まれたため、第2王子は本当に小さかったんだ。何よりも、ルビーの宝石眼でアルに似ていた。可愛い……アルみたいだったのを思い出す。
その子が、僕達の所に来るんだ。
元気に成長するまでの間……数年かも知れないし、馴染めずにすぐ帰りたがるかも知れない。

オーウェン殿下曰く、アリオト第1王子は、健康そのものだそうだ。
シャウラ第2王子は一回り小さくて熱を出しやすいみたいだ。このフォレストの空気が癒しになって、元気に育ってくれたら嬉しい。

「君を利用して悪い。精霊の加護のある君の側なら、シャウラの命を護ってくれるのではと下心ありだよ。
このままでは、あまり生きられないんじゃないかと思ってね」
そう通信鏡から連絡が来たんだ。

  アルと婚姻した事は、後悔はしていない。それでも、子供を産めない僕で良かったのかと時々考えるから。アルに似てるシャウラ王子がここに来てくれるのは、少し楽しみでもある。もちろん、不安もあるんだけどね。

だからアルが子供を本当に欲しくなった時は、第2夫人をちゃんと考えていくつもりだ。アルを大切に思ってくれる優しい人がいいなぁ。そして、アルの子なら……跡継ぎとして、僕達の子にしてもいいのかな?

 ああ、駄目。やっぱりお母さんと引き離したくはない。その時はきちんと話あって、僕がアルとその人と子供達を支えよう。邪魔にならないようにしないとね。

気が早いかも知れないけど覚悟はしておかなきゃ。

今は、グランデからの大切な王子様を支える。懐いてくれたらいいけど、もうすぐ4歳くらいかな?

「​────ルナ」
ドアのところにアルが来ていた。
「あ、ごめんなさい。気が付かなかった」
近寄ると、何故か縦抱きにされる。

「え?どうしたの?」
アルの顔を思わず覗き込むと、少し気まずそうな顔をする。

空いてる片手で頬をなぞられて、少し擽ったくて……身をよじると逆に胸の中に抱き込まれてしまう。

「何かあったの?」
ソファの方に移動して、降ろしてもらえるかと思ったら向かい合わせで太ももの上に乗せられたままだ。

「アル?」
親指で唇を触られて、感触を確かめているみたい。

「もう、こちらの領内に入ったようだ。後2時間もすれば、邸に着くと思う」

「そっか。無事に入ったんだね。良かったね」
 あまり機嫌は良くないみたい……

「本当に何かあったの?」
少しため息をついて、考え込んでいる。

「あ、のさ。ルナは、子供が欲しかったりするのか?」

「​───僕?」

「シャウラがこっちに来るの楽しみしてるだろ?」

「だって、アルのお兄さんの子だよ?1度しか会ってないけど、アルに似てて可愛かった。僕の大好きなルビーの瞳だったし……アルに……子供がいたらきっと、シャウラ王子見たいじゃないかと思ってて」

「アリオトは、兄上にそっくりみたいだな。シャウラは、黒髪に赤目だから俺っぽいのか……俺の瞳が好きだから、シャウラも好きってこと?」

「うん。アルの子みたいで……僕は産めないから、ね。アルがもしも、子供が欲しかったら正直に言ってね。ちゃんと、僕考えるから」

「は?何で俺が子供が欲しいってことになるんだ?」

「え?シャウラ王子を見たら欲しくなるんじゃないの?」

「​────いらない」

「アル似の王子をみたら……」

「俺は、2人がいいんだ。俺の顔が好きだろ、ルナ。それで、シャウラが来たら……シャウラばっかり構うだろ?俺は、それが嫌なんだ」

は?まさかの……嫉妬やきもち

「え?4歳位の病弱な男の子だよ?しかも、小さく生まれちゃったから3歳くらいにしか見えないって……可愛いと思うけど?どうして嫌なの?」

「兄上の子だ。人懐っこいはずだ。取り入るのが上手いんだ。すでに美少年なんて言われて、従者になりたいものは多い。だが、ルナを見たら……王子がくっ付いて離れないと、思う」

まさかの理由。

「両親と離れてこっちで預かる訳だし……構うとは思うけど。子供だよ?懐かれたら嬉しいしと思うけど。それだけだよ?」

「​​────夜一緒に寝たいって言われたら、同じベッドで寝るのか?」

「来たばっかりなら、不安だろうから、一緒に寝てもいいけど?いきなり懐くとも思えないけど」

「ルナは、自覚が足りない。その綺麗な顔に雰囲気、声……その身体。女神か妖精って言われているんだそ?絶対に邪魔をして来る」

アル……4歳児に嫉妬するの?

ふふふ。やだ。笑っちゃう。

引き寄せられてキスを交わす。何度も何度も触れて、そして深くキスをした。

「夜邪魔をされるのは、嫌だ。毎日シたいのに……」

真っ赤になってしまう。
毎日シたいって……ちょっと待ってよ。

「子供……欲しくならないの?」

「いらない。ルナを取られそうで嫌なんだ」

なんだ。そっか……第2夫人とか……考えなくていいのかな?

思わずアルを抱き締めた。






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