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その後のetc…
If クロスと猫とくじ引きと 11
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「クロス……お前本気か?」
呆れ顔した男を見て、吹き出しそうになる。
「当たり前です。たった1人に出会ったんですから」
あの子を手に入れるのは、俺だから。
「冥界に連れてくるのか?」
「まさか。あの子は、家族や精霊達の傍にいるのが1番いいんですよ」
「おいおい。まさか、お前もそこに住むとか?」
「拠点として、フォレストの森の近くに邸を作ってくれるらしいので……出稼ぎとしてたまに冥界に顔を出しますね」
「お前……ベタ惚れなんだな」
「ええ。優先すべきはルナなので」
わざとらしい溜息をつき様子を伺ってくる冥王は、鬱陶しいな。
「突っ込み所がわからん」
「一生幸せにするって誓ってますので。寂しい思いはさせません」
全部あの子を中心に回るだけだ。
「猫ちゃんは……どうなるんだ?」
「うちの子なので、ルナの傍です」
身を乗り出し、少し声が大きくなった。
「いや、なんか巨大な狼とかいるんだろう?食べられたりしないのか?」
「猫は、可愛いので人気があるんですよね。フェルにも気に入られたので……大丈夫ですよ」
「それは、それで不味いな」
「うちの子ですよ?ルナも可愛がっているから、かまいませんよ。それに通信手段として置いておきたいので。ルナの傍にいてくれるのは助かってます」
頭をボリボリと掻きながら、もういいかとか、何やらブツブツと鬱陶しいな。
「とりあえず魔女は捕まえたしな。しばらく暇をやるからさっさと戻れ……たまに、猫もつれて来い」
なるほど……お前もルナの魂にやられたクチだな。
「───分かった」
そう言ってここを後にする。魔女は、ルナに会って何も感じなかっただろうか?あの子の魂に触れて、変わる事が出来たならいいのだけれど。皆を巻き込み前を向かせる……ルナ、君は誰からも愛されていい子なんだよ。
そして、これからは俺が君を1番に愛していくんだ。
◇◇◇
「ルナ。ただいま」
全て、終わらせて来たよ。そう思いながら、ルナに触れようとした。
少し、後退る。どうしたんだろう?
「ルナ?」
「───戻って、来ないかと」
ポロポロと涙がこぼれ落ちる。
「猫を残してただろう?」
「それでも……連絡が、欲しかったから。こんなに遅くなるって思わなくて」
猫の残念そうな顔が、ムカつくな。
しまったな、時間の流れが違うことが抜けていた。
「悪かった」
軽く抱き寄せれば、抱きついてきた。
「せんせ……」
口付ければ、頬が赤く染まってしまう。
「クロスって、呼べって言ったろ?」
耳まで赤くなって、でも覚悟したのか……
「クロ、ス……せん」
後頭部に手を回し、唇を合わせ角度を変えて何度もキスを繰り返す。舌を差し入れれば、俺のシャツを掴む手に力が入ってキュッと引っ張られた。
可愛い……縦抱きに抱えれば、しがみついてきた。
「寂しかったか?」
「はい」
「随分、素直になったな」
「せん、クロス先生なら……信じても大丈夫だって……猫が言うから……」
ドヤ顔の猫が、尻尾を軽く振った後、人型になる。そして、フェルを抱きかかえて人差し指を唇の所に当てた。
一瞬で姿を消す。
気を使ってくれたのか?
───なら、防音と防御を施す。
「どうやら、皆の許可が降りたみたいだ」
キョトンとした後……部屋を見渡し、また俺を見る。
「あ、れ?フェル?メル?何処に行ったの?」
「遠慮してくれたみたいだ。恋人の逢瀬に気を使ってくれたんだろう?」
「恋人……」
「違うのか?君は、俺のことは先生としか思わない?もう、十分に育ったんだ。全部を許してくれないか?」
「あ……」
首まで赤いよ。可愛い。全て欲しいんだ。
「ルナ……俺はこの世界の人間じゃない。それでも、君と繋がる事で時間を共有して、君を護る。長く生きてきた俺が君と生きる事を選んだ事に対して後悔はない。共に同じ時を生き……君の傍にいさせて欲しい」
「そんな、冥界の人達とは過ごさないの?先生は、僕に時間を合わせて寿命が短くなるの?」
「長く生きてきたって言ったろ?なら、今後は愛する人と過ごしてもいいと思わないか?遺されるなんて嫌だからな」
冷たくなっていくその手を握っていた俺の気持ちが分かるだろ?君は、最愛の母親を失ったのだから。
「でも」
どこまでも優しい君は、他人の事ばかりだ。
「ルナは、遺されて辛かっただろ?それに、前世会った時にどれだけ、俺が辛かったか……分かってくれる?」
大きな目から、こぼれ落ちる雫。
「愛しているんだ。俺と一緒に生きてくれ」
「─────はい」
もう一度、キスをした。
呆れ顔した男を見て、吹き出しそうになる。
「当たり前です。たった1人に出会ったんですから」
あの子を手に入れるのは、俺だから。
「冥界に連れてくるのか?」
「まさか。あの子は、家族や精霊達の傍にいるのが1番いいんですよ」
「おいおい。まさか、お前もそこに住むとか?」
「拠点として、フォレストの森の近くに邸を作ってくれるらしいので……出稼ぎとしてたまに冥界に顔を出しますね」
「お前……ベタ惚れなんだな」
「ええ。優先すべきはルナなので」
わざとらしい溜息をつき様子を伺ってくる冥王は、鬱陶しいな。
「突っ込み所がわからん」
「一生幸せにするって誓ってますので。寂しい思いはさせません」
全部あの子を中心に回るだけだ。
「猫ちゃんは……どうなるんだ?」
「うちの子なので、ルナの傍です」
身を乗り出し、少し声が大きくなった。
「いや、なんか巨大な狼とかいるんだろう?食べられたりしないのか?」
「猫は、可愛いので人気があるんですよね。フェルにも気に入られたので……大丈夫ですよ」
「それは、それで不味いな」
「うちの子ですよ?ルナも可愛がっているから、かまいませんよ。それに通信手段として置いておきたいので。ルナの傍にいてくれるのは助かってます」
頭をボリボリと掻きながら、もういいかとか、何やらブツブツと鬱陶しいな。
「とりあえず魔女は捕まえたしな。しばらく暇をやるからさっさと戻れ……たまに、猫もつれて来い」
なるほど……お前もルナの魂にやられたクチだな。
「───分かった」
そう言ってここを後にする。魔女は、ルナに会って何も感じなかっただろうか?あの子の魂に触れて、変わる事が出来たならいいのだけれど。皆を巻き込み前を向かせる……ルナ、君は誰からも愛されていい子なんだよ。
そして、これからは俺が君を1番に愛していくんだ。
◇◇◇
「ルナ。ただいま」
全て、終わらせて来たよ。そう思いながら、ルナに触れようとした。
少し、後退る。どうしたんだろう?
「ルナ?」
「───戻って、来ないかと」
ポロポロと涙がこぼれ落ちる。
「猫を残してただろう?」
「それでも……連絡が、欲しかったから。こんなに遅くなるって思わなくて」
猫の残念そうな顔が、ムカつくな。
しまったな、時間の流れが違うことが抜けていた。
「悪かった」
軽く抱き寄せれば、抱きついてきた。
「せんせ……」
口付ければ、頬が赤く染まってしまう。
「クロスって、呼べって言ったろ?」
耳まで赤くなって、でも覚悟したのか……
「クロ、ス……せん」
後頭部に手を回し、唇を合わせ角度を変えて何度もキスを繰り返す。舌を差し入れれば、俺のシャツを掴む手に力が入ってキュッと引っ張られた。
可愛い……縦抱きに抱えれば、しがみついてきた。
「寂しかったか?」
「はい」
「随分、素直になったな」
「せん、クロス先生なら……信じても大丈夫だって……猫が言うから……」
ドヤ顔の猫が、尻尾を軽く振った後、人型になる。そして、フェルを抱きかかえて人差し指を唇の所に当てた。
一瞬で姿を消す。
気を使ってくれたのか?
───なら、防音と防御を施す。
「どうやら、皆の許可が降りたみたいだ」
キョトンとした後……部屋を見渡し、また俺を見る。
「あ、れ?フェル?メル?何処に行ったの?」
「遠慮してくれたみたいだ。恋人の逢瀬に気を使ってくれたんだろう?」
「恋人……」
「違うのか?君は、俺のことは先生としか思わない?もう、十分に育ったんだ。全部を許してくれないか?」
「あ……」
首まで赤いよ。可愛い。全て欲しいんだ。
「ルナ……俺はこの世界の人間じゃない。それでも、君と繋がる事で時間を共有して、君を護る。長く生きてきた俺が君と生きる事を選んだ事に対して後悔はない。共に同じ時を生き……君の傍にいさせて欲しい」
「そんな、冥界の人達とは過ごさないの?先生は、僕に時間を合わせて寿命が短くなるの?」
「長く生きてきたって言ったろ?なら、今後は愛する人と過ごしてもいいと思わないか?遺されるなんて嫌だからな」
冷たくなっていくその手を握っていた俺の気持ちが分かるだろ?君は、最愛の母親を失ったのだから。
「でも」
どこまでも優しい君は、他人の事ばかりだ。
「ルナは、遺されて辛かっただろ?それに、前世会った時にどれだけ、俺が辛かったか……分かってくれる?」
大きな目から、こぼれ落ちる雫。
「愛しているんだ。俺と一緒に生きてくれ」
「─────はい」
もう一度、キスをした。
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