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その後のetc…
If クロスと猫とくじ引きと⑨
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『───クロス』
全く、なぜこのタイミングで話しかけてくるんだ。ルナを起こさないように、腕枕をずらしていく。
穏やかな寝息が、一定のリズムで聞こえてくる。ちゃんと生きている。鮮血に染まってしまったあの時とは、違うのだ。
ベッドサイドに座り自分の背にルナを隠すようする。そしてフェルを呼び、ルナ側に待機させた。猫は、今頃アルファルド達と上手くやっているだろうか?
「────何か?」
小さく呟くと、画像が送られてきた。
『んーお前が、何しているか気になっただけだよ。まだ、戻ってこないんだろ。それに、猫がまたそっちに呼ばれてるだろう?俺の所に早く来いって言ってくれるか?』
「追っかけ回すから、嫌われてるだけだろ?」
『なら、クロスは上手くやってるんだな』
その胡散臭い笑顔はいらない。
「上手く?そんな訳ないだろう。色々と邪魔が入る」
背もたれに、もたれかかっていた冥王が少し前のめりになった。
『───ちょっと、厄介な奴がいる。片付けてから帰ってこい。猫ちゃん……は何時でもこっちに寄越せよ』
プツンと画像が消えた。
厄介な奴……か。リゲルに感じたあの違和感。ルナを護る為に出来ることをしていかないとな。それにイアソは、冥王よりも厄介そうだ。
全く、皆を惹きつけて止まないのに諦めてしまっている。1番愛して欲しかった人から貰えなかった愛情。根深過ぎだな。
柔らかな髪を撫でると、僅かに身じろいだ。少し目が開くと視線が彷徨う。誰かを探しているようだ。
「───せんせ」
「起こして悪かった」
俺の声が届いたのか、柔らかく笑ってこちらをしっかり見た。
その、瞳。唇。
その唇を思わず指でなぞり、顔を覗き込めば……
少し驚いた後、頬が淡く色付いた。
「あ、の……なんか、恥ずかしいです」
「悪い。つい可愛くて我慢出来なかった」
その一言で、今度は一気に頬が赤くなってしまった。なんて可愛いのだろう。
顔をブランケットで隠してしまった。惜しいな。もっと眺めていたい。
「もう少し、添い寝しようか?」
がばり、と起き上がってブンブンと首がちぎれそうな勢いで横に振る。
「へ、部屋に戻りますから!」
「顔色がマシになったな、本当に心配したんだ」
「あ、ありがとうございます?」
つい、引き寄せてギュッと抱き寄せた。
「──ルナ。頼みがある。聞いてくれるか?」
「え?あの?」
「俺は、お前に笑っていて欲しいんだ。1人で泣かせたくない。あんな、悲しい最期は見たくない。だから、遠慮しないで頼ってくれ。俺の前で泣くのも我慢しないで欲しい、甘えてくれないか?」
「えっ?どうし、て」
「俺が、お前のことを愛しているからだよ」
「そんな、ことある訳……ない」
「───あるよ」
その可愛らしい唇をもう一度指でなぞった後に、軽く唇を重ねた。
「ど、同情なら……いらな」
「どうして?そう思うんだ。俺は、君を……ルナを愛したいんだ」
涙が溢れて止まらない。その頬にキスを繰り返す。
「同情なんて、そんな面倒なこと俺がする訳がない。絶対に信じさせるから覚悟して。意識してくれ、俺を」
ルナがギュッと抱きつき返してきた。
全く、なぜこのタイミングで話しかけてくるんだ。ルナを起こさないように、腕枕をずらしていく。
穏やかな寝息が、一定のリズムで聞こえてくる。ちゃんと生きている。鮮血に染まってしまったあの時とは、違うのだ。
ベッドサイドに座り自分の背にルナを隠すようする。そしてフェルを呼び、ルナ側に待機させた。猫は、今頃アルファルド達と上手くやっているだろうか?
「────何か?」
小さく呟くと、画像が送られてきた。
『んーお前が、何しているか気になっただけだよ。まだ、戻ってこないんだろ。それに、猫がまたそっちに呼ばれてるだろう?俺の所に早く来いって言ってくれるか?』
「追っかけ回すから、嫌われてるだけだろ?」
『なら、クロスは上手くやってるんだな』
その胡散臭い笑顔はいらない。
「上手く?そんな訳ないだろう。色々と邪魔が入る」
背もたれに、もたれかかっていた冥王が少し前のめりになった。
『───ちょっと、厄介な奴がいる。片付けてから帰ってこい。猫ちゃん……は何時でもこっちに寄越せよ』
プツンと画像が消えた。
厄介な奴……か。リゲルに感じたあの違和感。ルナを護る為に出来ることをしていかないとな。それにイアソは、冥王よりも厄介そうだ。
全く、皆を惹きつけて止まないのに諦めてしまっている。1番愛して欲しかった人から貰えなかった愛情。根深過ぎだな。
柔らかな髪を撫でると、僅かに身じろいだ。少し目が開くと視線が彷徨う。誰かを探しているようだ。
「───せんせ」
「起こして悪かった」
俺の声が届いたのか、柔らかく笑ってこちらをしっかり見た。
その、瞳。唇。
その唇を思わず指でなぞり、顔を覗き込めば……
少し驚いた後、頬が淡く色付いた。
「あ、の……なんか、恥ずかしいです」
「悪い。つい可愛くて我慢出来なかった」
その一言で、今度は一気に頬が赤くなってしまった。なんて可愛いのだろう。
顔をブランケットで隠してしまった。惜しいな。もっと眺めていたい。
「もう少し、添い寝しようか?」
がばり、と起き上がってブンブンと首がちぎれそうな勢いで横に振る。
「へ、部屋に戻りますから!」
「顔色がマシになったな、本当に心配したんだ」
「あ、ありがとうございます?」
つい、引き寄せてギュッと抱き寄せた。
「──ルナ。頼みがある。聞いてくれるか?」
「え?あの?」
「俺は、お前に笑っていて欲しいんだ。1人で泣かせたくない。あんな、悲しい最期は見たくない。だから、遠慮しないで頼ってくれ。俺の前で泣くのも我慢しないで欲しい、甘えてくれないか?」
「えっ?どうし、て」
「俺が、お前のことを愛しているからだよ」
「そんな、ことある訳……ない」
「───あるよ」
その可愛らしい唇をもう一度指でなぞった後に、軽く唇を重ねた。
「ど、同情なら……いらな」
「どうして?そう思うんだ。俺は、君を……ルナを愛したいんだ」
涙が溢れて止まらない。その頬にキスを繰り返す。
「同情なんて、そんな面倒なこと俺がする訳がない。絶対に信じさせるから覚悟して。意識してくれ、俺を」
ルナがギュッと抱きつき返してきた。
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