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その後のetc…
If クロスと猫とくじ引きと⑦
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自覚をすれば、意識はルナへと向かってしまう。
入学式早々に熱を出し、最初の授業も欠席をすることとなった。
色々調べてみれば、幼い頃に母親を事故で亡くしたようだ。どうしてこんなにも母親との縁がないのだろうか?
幸いなのは、今世の母親には溺愛をされていたことだ。家族仲も良く大切に育てられている。だが、根深く残った、愛される訳がないと言う心の傷の深さだ。
自分の存在を否定し続けた前世の母。
最愛の今世の母が、自分を庇って命を落とした事実。自分さえいなければ、生きていたかも知れないと思える現実。
やり直しだろう?ルナが幸せになるための世界じゃないのか? くじを奪われた弊害で、イレギュラーが起きすぎている。
単なるイレギュラーとは思えない。何か意図されているように思える。
もう、物語の世界は別な世界に変化し始めた。ならば、俺が手を差し伸べてもいいのかも知れない。
そんな時に事件が起きた。
リゲルという生徒が、スピカを伴いレグルス達に接触をしたのだ。
入学式に出席出来なかったルナが、殿下達の側にいることが不満だった様だ。
言いがかりも甚だしく、ふさわしくないと否定し続けカストルと知り合ったスピカこそ、その席だとまくしたてた。
結果、精霊の怒りを買うのは、仕方がない事だった。
でも、仕方がないでは済まない事態が起きたのだ。
ルナがリゲルを庇った為に、フェルの爪が食い込んでしまったのだ。
袖が破れ血が流れ落ち制服が赤く染まった。
ルナのトラウマに雷と出血がある。そのエピソードを知った時に思ったことは、その時に助けてあげたかったと言うことだ。過去なのだ。何も出来ない。物語の中で幼い頃に母親を亡くしているのだ。それを変えるわけにもいかないだろう。
だいたい、あの時の鎮魂歌は──ルナの母親が死んだのを精霊が嘆き悲しんだ日だ。
すべて、俺は遅い。
もう、遅いのは嫌だ。
留学生として、隣国の王子が来た。多分攻略対象者だ。こんな時期では無かったはずだ。嫌な予感がする。学園の説明をしなければならない。
だが、胸騒ぎがしてならない。
「猫」
空間が揺れて、黒猫姿のメルが現れた。魔力を与えて、この世界にいてもおかしくない姿にする。
「どうしたんですか?呼び出すなんて」
「頼む。隣の部屋に王子がいる学園を案内してくれ、手遅れになりたくないんだ」
「へ?ちょっと、クロス様」
「情報は、ほら」
そう言って共有させた。
──間に合いたい。血の匂いがする。急げ。空間に溶け込んで怪しまれないように移動した。
目の前に、血に染まったルナがいる。入学式の雷の時もレグルスが対応していた。やはり主役なのだな。ルナを支えている。
今は、それに反応してる場合じゃない。
別の空間が歪んで、炎の色が見えた。イフリートか?精霊が続々と登場して来る。
ルナの為にも大事にはしない。
リゲルの腕を掴む。
「な、先生?どうして僕がこんな目に合うんですか?全部悪いのは、後から来たアイツだ!」
「騒ぎを起こして、困るのは君だよ。平等と言っても相手は、この国の王子だ。ルナは、彼の大切な友人なんだよ。この学園を出れば、君には会話をする権利もないんだ。学園で知り合いを作り、確かに友人になる者がいるが……簡単じゃない。君の様に心が歪んでいたら、決して友人にはなれない。もう、引きなさい」
その言葉に、彼の顔が歪む。ドス黒い……霧が見え隠れしている。
この感じは、まさか。
「──すみませんでした。でも、怪我とかするなんて思ってません」
もう、後は外にいる奴にまかせよう。
「リゲル君、君は殿下と同じクラスは相応しくないようだね?廊下にいる護衛騎士の方、リゲル君を理事長室に連れて行ってくれないか?私が彼のクラス替えを要請していると伝えてくれ」
リゲルは荷物のように抱えて連れて行かれた。
後は、ルナだ。
レグルス殿下とルナの方へ向かった。
「殿下、ルナを連れて行きます。シリウス殿。至急殿下の着替えをお願いします。このままでは、殿下が怪我をしたと思われてしまいますので」
「──だが」
殿下心配なのは、分かるよ。でも、構い過ぎたら貴方の立場の問題が出ますよね?それに……
「殿下──隣国からの留学生が来ています。対応をお願いしたい」
外交は、貴方が相応しいのです。
「それでは、別の黒猫が対応しますので、怪我の治療に行ってきますね」
そう言ってルナを抱えて、教室を後にした。
入学式早々に熱を出し、最初の授業も欠席をすることとなった。
色々調べてみれば、幼い頃に母親を事故で亡くしたようだ。どうしてこんなにも母親との縁がないのだろうか?
幸いなのは、今世の母親には溺愛をされていたことだ。家族仲も良く大切に育てられている。だが、根深く残った、愛される訳がないと言う心の傷の深さだ。
自分の存在を否定し続けた前世の母。
最愛の今世の母が、自分を庇って命を落とした事実。自分さえいなければ、生きていたかも知れないと思える現実。
やり直しだろう?ルナが幸せになるための世界じゃないのか? くじを奪われた弊害で、イレギュラーが起きすぎている。
単なるイレギュラーとは思えない。何か意図されているように思える。
もう、物語の世界は別な世界に変化し始めた。ならば、俺が手を差し伸べてもいいのかも知れない。
そんな時に事件が起きた。
リゲルという生徒が、スピカを伴いレグルス達に接触をしたのだ。
入学式に出席出来なかったルナが、殿下達の側にいることが不満だった様だ。
言いがかりも甚だしく、ふさわしくないと否定し続けカストルと知り合ったスピカこそ、その席だとまくしたてた。
結果、精霊の怒りを買うのは、仕方がない事だった。
でも、仕方がないでは済まない事態が起きたのだ。
ルナがリゲルを庇った為に、フェルの爪が食い込んでしまったのだ。
袖が破れ血が流れ落ち制服が赤く染まった。
ルナのトラウマに雷と出血がある。そのエピソードを知った時に思ったことは、その時に助けてあげたかったと言うことだ。過去なのだ。何も出来ない。物語の中で幼い頃に母親を亡くしているのだ。それを変えるわけにもいかないだろう。
だいたい、あの時の鎮魂歌は──ルナの母親が死んだのを精霊が嘆き悲しんだ日だ。
すべて、俺は遅い。
もう、遅いのは嫌だ。
留学生として、隣国の王子が来た。多分攻略対象者だ。こんな時期では無かったはずだ。嫌な予感がする。学園の説明をしなければならない。
だが、胸騒ぎがしてならない。
「猫」
空間が揺れて、黒猫姿のメルが現れた。魔力を与えて、この世界にいてもおかしくない姿にする。
「どうしたんですか?呼び出すなんて」
「頼む。隣の部屋に王子がいる学園を案内してくれ、手遅れになりたくないんだ」
「へ?ちょっと、クロス様」
「情報は、ほら」
そう言って共有させた。
──間に合いたい。血の匂いがする。急げ。空間に溶け込んで怪しまれないように移動した。
目の前に、血に染まったルナがいる。入学式の雷の時もレグルスが対応していた。やはり主役なのだな。ルナを支えている。
今は、それに反応してる場合じゃない。
別の空間が歪んで、炎の色が見えた。イフリートか?精霊が続々と登場して来る。
ルナの為にも大事にはしない。
リゲルの腕を掴む。
「な、先生?どうして僕がこんな目に合うんですか?全部悪いのは、後から来たアイツだ!」
「騒ぎを起こして、困るのは君だよ。平等と言っても相手は、この国の王子だ。ルナは、彼の大切な友人なんだよ。この学園を出れば、君には会話をする権利もないんだ。学園で知り合いを作り、確かに友人になる者がいるが……簡単じゃない。君の様に心が歪んでいたら、決して友人にはなれない。もう、引きなさい」
その言葉に、彼の顔が歪む。ドス黒い……霧が見え隠れしている。
この感じは、まさか。
「──すみませんでした。でも、怪我とかするなんて思ってません」
もう、後は外にいる奴にまかせよう。
「リゲル君、君は殿下と同じクラスは相応しくないようだね?廊下にいる護衛騎士の方、リゲル君を理事長室に連れて行ってくれないか?私が彼のクラス替えを要請していると伝えてくれ」
リゲルは荷物のように抱えて連れて行かれた。
後は、ルナだ。
レグルス殿下とルナの方へ向かった。
「殿下、ルナを連れて行きます。シリウス殿。至急殿下の着替えをお願いします。このままでは、殿下が怪我をしたと思われてしまいますので」
「──だが」
殿下心配なのは、分かるよ。でも、構い過ぎたら貴方の立場の問題が出ますよね?それに……
「殿下──隣国からの留学生が来ています。対応をお願いしたい」
外交は、貴方が相応しいのです。
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そう言ってルナを抱えて、教室を後にした。
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