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その後のetc…
If クロスと猫とくじ引きと④
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精霊が存在し、ほとんどの者が魔力を持ち魔術が使える世界。
金髪に、茶髪に赤毛や、銀糸の外見が、あの子いた世界とは違いすぎるな。真っ黒のサラサラの髪の毛。大きな黒い瞳。
────本当に綺麗な子だった。
「この世界の主人公……ピンク頭って、あれか」
孤児なんだな。主人公の生い立ちは、あまり良いものではない。
「物語だからだろうか?不幸な生い立ちから幸せになって、めでたしめでたし……ってことだろう。これは仕方がないのだろうな」
最後が幸せになれるのなら、途中が不幸で構わない世界か……
あの子は、母親に虐げられていたようだった。主人公になったとして親がいないのは、平気だっただろうか?
親の愛情をもらって育って欲しいのに。何処まで、過酷な運命を背負わされるのだろう?
もしかしたらモブなら、家族に恵まれているのだろうか?その方が良かったのかもしれない。
「スピカ……お前は見つけたが、モブになったあの子が見つからない」設定からして、目立たないからどこかでひっそりと生きているのかも知れない。メインじゃないから、見つけられないとか…とりあえずスピカを見張っておくしかないのか?王子達の傍には、魔力の強い者が多過ぎてこちらの素性がバレかねないし。
「あ──本当に厄介な世界だな」
見守りたいのは、お前じゃないのにな。
きっと、その姿の中身があの子なら惹かれるかも知れないが……違うな。
しかし、精霊の力を強く感じる。
方向的に、隣国よりだな。ザワついているようだ。何かあったのだろうか?怒りのような、嘆き哀しみ、悲鳴のような唄が聞こえてくる。
誰か?亡くなったみたいだ。
鎮魂歌を精霊が唄っている。よほど精霊に愛されていたのだろう。まるで世界の終わりのようだな。
行ってみるべきか?だが別世界から来た俺が行けば、精霊の怒りを買うかも知れないな。万が一、その近くにあの子がいたらまた、巻き添えにしてしまうかもしれない。それだけは避けたい。
彼らが出会う学園までは、スピカの様子を伺うしかない。
「猫来い」
空間が揺れて、現れた。
「なんですか?見つかりましたか?って、なんです……この唄」
「精霊にとって大切な誰かが亡くなったんだろう」
「そうみたいですね。胸が苦しくなるくらいの悲痛な叫びですね。──僕を呼んだのなら一旦戻るのですか?」
「ああ。まだあの子の居場所が分からない。1度戻る。少し調べたい。彼らが学園に入学する前にまた来るしかない」
「クロス様でも、探せないなら。もうこちらの身体に上手く融合したのではありませんか?」
「あの子の幸せが主人公に戻す事なのか、それとも別に転生してやり直しをさせるべきかまだ分からないんだ。主人公もあまり、良い人生には思えないからな」
「本当に物語の転生とか、やめて欲しいですねぇ。石油王とか、大富豪とかの御曹司に産まれたら良かったですよねぇ」
「────金があっても、大切にされてなければ同じだ。あの子は、大切にされなければいけないんだ」
「────なら、クロス様が大切にしたらいいんですよ!」
その言葉が胸にささる。許されないことだろう。世界が立場が違うのだから。
「チャラそうなのに~、ルールには真面目ですよねぇ」
俺が?あの子を幸せに?
あの子が笑ってくれたら、どんなに良いだろうと思っている時点で、冷静さに欠けている。ナビゲーターのクジがこの世界を選んだんだ。きっと、この世界に意味があるのだろう。
早く、君をみつけたい。どうか、幸せな家族の元にいて笑っていて欲しい。
金髪に、茶髪に赤毛や、銀糸の外見が、あの子いた世界とは違いすぎるな。真っ黒のサラサラの髪の毛。大きな黒い瞳。
────本当に綺麗な子だった。
「この世界の主人公……ピンク頭って、あれか」
孤児なんだな。主人公の生い立ちは、あまり良いものではない。
「物語だからだろうか?不幸な生い立ちから幸せになって、めでたしめでたし……ってことだろう。これは仕方がないのだろうな」
最後が幸せになれるのなら、途中が不幸で構わない世界か……
あの子は、母親に虐げられていたようだった。主人公になったとして親がいないのは、平気だっただろうか?
親の愛情をもらって育って欲しいのに。何処まで、過酷な運命を背負わされるのだろう?
もしかしたらモブなら、家族に恵まれているのだろうか?その方が良かったのかもしれない。
「スピカ……お前は見つけたが、モブになったあの子が見つからない」設定からして、目立たないからどこかでひっそりと生きているのかも知れない。メインじゃないから、見つけられないとか…とりあえずスピカを見張っておくしかないのか?王子達の傍には、魔力の強い者が多過ぎてこちらの素性がバレかねないし。
「あ──本当に厄介な世界だな」
見守りたいのは、お前じゃないのにな。
きっと、その姿の中身があの子なら惹かれるかも知れないが……違うな。
しかし、精霊の力を強く感じる。
方向的に、隣国よりだな。ザワついているようだ。何かあったのだろうか?怒りのような、嘆き哀しみ、悲鳴のような唄が聞こえてくる。
誰か?亡くなったみたいだ。
鎮魂歌を精霊が唄っている。よほど精霊に愛されていたのだろう。まるで世界の終わりのようだな。
行ってみるべきか?だが別世界から来た俺が行けば、精霊の怒りを買うかも知れないな。万が一、その近くにあの子がいたらまた、巻き添えにしてしまうかもしれない。それだけは避けたい。
彼らが出会う学園までは、スピカの様子を伺うしかない。
「猫来い」
空間が揺れて、現れた。
「なんですか?見つかりましたか?って、なんです……この唄」
「精霊にとって大切な誰かが亡くなったんだろう」
「そうみたいですね。胸が苦しくなるくらいの悲痛な叫びですね。──僕を呼んだのなら一旦戻るのですか?」
「ああ。まだあの子の居場所が分からない。1度戻る。少し調べたい。彼らが学園に入学する前にまた来るしかない」
「クロス様でも、探せないなら。もうこちらの身体に上手く融合したのではありませんか?」
「あの子の幸せが主人公に戻す事なのか、それとも別に転生してやり直しをさせるべきかまだ分からないんだ。主人公もあまり、良い人生には思えないからな」
「本当に物語の転生とか、やめて欲しいですねぇ。石油王とか、大富豪とかの御曹司に産まれたら良かったですよねぇ」
「────金があっても、大切にされてなければ同じだ。あの子は、大切にされなければいけないんだ」
「────なら、クロス様が大切にしたらいいんですよ!」
その言葉が胸にささる。許されないことだろう。世界が立場が違うのだから。
「チャラそうなのに~、ルールには真面目ですよねぇ」
俺が?あの子を幸せに?
あの子が笑ってくれたら、どんなに良いだろうと思っている時点で、冷静さに欠けている。ナビゲーターのクジがこの世界を選んだんだ。きっと、この世界に意味があるのだろう。
早く、君をみつけたい。どうか、幸せな家族の元にいて笑っていて欲しい。
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