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その後のetc…
lf 氷の瞳④
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ルナが学園を卒業し、婚姻式を迎えることとなった。
色々なことがあった。
覚えている限りで、同じような事が起きた。
レグルス様の療養に始まり、ルナが呪いを受け取る。
入学式後の突然の雷雨。これだけは、駆けつけたかったんだ。
1人で泣き震えていただろう?
後で知ったんだ。治療に来ていたウンディーネ様が、席を外したこと。
そして、レグルス殿下が駆けつけたこと。
間に合って、抱きしめた。
どうか、俺を信じて。
泣きじゃくり抱きついてきた。怖かっただろう?熱が高い。
「シスにい、一緒にいて」
震えが止まらないみたいだ。もう少し落ち着くまではこのままがいいのだろうか?
「朝まで……いや、熱が下がるまでは必ず傍に居る。ルナが眠っても手を握ってるから、安心して」
「やだ。抱っこしてて」
2人きりで共に夜を過ごすことは、避けて来た。想いが溢れてしまうから。
熱があって良かったのかも知れない。
こんなに可愛い我儘を普通の時にされたら、我慢できそうにないからな。
「ウンディーネ様が、戻ってくるだろう?」
ギュッと抱き付いてきた。だいぶ素直に甘えてくるようになったな。
頭を撫でて落ち着かせる。
「────断るから。薬だけ届けてもらうから。お願いシス兄様が一緒にいて」
届いた薬は、震えて上手く飲めないみたいだ。
口移しで分けて薬を飲ませる。しばらくしてベッドに2人横になる。腕の中にいる、ルナの熱が少しづつだが下がってきている。
薬が効いてきた。良かった。
腕の中で、呼吸も落ち着いてきている。
もう一度だけ、触れるだけのキスを交し俺も目を閉じた。
学園では、お馴染みの仲間が騒動を起こす。魔力暴走行為も全て、分からないように威力を抑えて怪我をさせないように見守る。
過去を壊すことなく、ルナがなるべく傷つくことがないように立ち回る。
もう、辛い思いなんてさせたくないんだ。
避けられない流れだとしても、傍にいるのは自分でありたい。
君との婚姻をどれだけ待ちわびたか。
誰にも遠慮することなく、抱ける日が来るのだ。
明日。
トントンとノック音が聞こえる。
「シス兄様」
「どうぞ」
ドアの方に移動すると、ルナが1人立っている。
「どうした?」
「明日……なんですが、緊張して眠れなくて眠くなるまで一緒にいてもいいですか?」
「不安?とりあえずベッドの所で話そうか?その方が眠くなるかもしれないから」
「はい」
少しでもリラックス出来るようにハーブティーを用意してもらった。
「ルナ……俺と婚姻するのは嫌か?」
「ちがっ、違います。違うんです」
「どう違う?顔色があまり良くないのは、俺と一緒になるのが不安なのかと思ったけど」
「本当に、違うんです。僕が甘えすぎて……兄様の負担が大きすぎると思うのです。全然役に立たないのに。一緒に居てくれるだけでいいってそんなの、駄目だと思うから」
「ルナ。それは、俺の事が好きだから、迷惑をかけたくないのかな?俺にとって最大の愛の言葉だな」
「本当に迷惑になりたくないんです」
「それを決めるのは俺だよ?俺がお前の為なら何でもしたいだけだ。笑って欲しいし、泣く時は俺の胸の中で泣いて欲しいよ」
「ま、まだ。雷も怖いし。血もまだ苦手で。それに、優しいシス兄様に相応しいか分からなくなって。子、子供……本当にいらないの?」
「後継の問題は無い。それに、子供がいたらルナを取られてしまう。お前の愛は、俺だけにくれないか?ずっと夢だったんだ。ルナが俺だけを想ってくれることが嬉しい。俺の想いを信じてくれないのか?」
泣きそうな、顔をする。
「ルナが、俺以外に好きなやつがいるのなら教えて」
「違う!本当に違うの!大好き。ずっとずっと支えてくれたのは、シス兄様だ」
抱きついて、泣いてる。
やっと、俺を選んでくれたんだ。
「ルナ、今日は添い寝だけだよ。明日、俺の物にするから、お前を抱くのをどれだけ待っていたか……覚悟してくれ」
「─────はい」
やっと、手に入れた。
色々なことがあった。
覚えている限りで、同じような事が起きた。
レグルス様の療養に始まり、ルナが呪いを受け取る。
入学式後の突然の雷雨。これだけは、駆けつけたかったんだ。
1人で泣き震えていただろう?
後で知ったんだ。治療に来ていたウンディーネ様が、席を外したこと。
そして、レグルス殿下が駆けつけたこと。
間に合って、抱きしめた。
どうか、俺を信じて。
泣きじゃくり抱きついてきた。怖かっただろう?熱が高い。
「シスにい、一緒にいて」
震えが止まらないみたいだ。もう少し落ち着くまではこのままがいいのだろうか?
「朝まで……いや、熱が下がるまでは必ず傍に居る。ルナが眠っても手を握ってるから、安心して」
「やだ。抱っこしてて」
2人きりで共に夜を過ごすことは、避けて来た。想いが溢れてしまうから。
熱があって良かったのかも知れない。
こんなに可愛い我儘を普通の時にされたら、我慢できそうにないからな。
「ウンディーネ様が、戻ってくるだろう?」
ギュッと抱き付いてきた。だいぶ素直に甘えてくるようになったな。
頭を撫でて落ち着かせる。
「────断るから。薬だけ届けてもらうから。お願いシス兄様が一緒にいて」
届いた薬は、震えて上手く飲めないみたいだ。
口移しで分けて薬を飲ませる。しばらくしてベッドに2人横になる。腕の中にいる、ルナの熱が少しづつだが下がってきている。
薬が効いてきた。良かった。
腕の中で、呼吸も落ち着いてきている。
もう一度だけ、触れるだけのキスを交し俺も目を閉じた。
学園では、お馴染みの仲間が騒動を起こす。魔力暴走行為も全て、分からないように威力を抑えて怪我をさせないように見守る。
過去を壊すことなく、ルナがなるべく傷つくことがないように立ち回る。
もう、辛い思いなんてさせたくないんだ。
避けられない流れだとしても、傍にいるのは自分でありたい。
君との婚姻をどれだけ待ちわびたか。
誰にも遠慮することなく、抱ける日が来るのだ。
明日。
トントンとノック音が聞こえる。
「シス兄様」
「どうぞ」
ドアの方に移動すると、ルナが1人立っている。
「どうした?」
「明日……なんですが、緊張して眠れなくて眠くなるまで一緒にいてもいいですか?」
「不安?とりあえずベッドの所で話そうか?その方が眠くなるかもしれないから」
「はい」
少しでもリラックス出来るようにハーブティーを用意してもらった。
「ルナ……俺と婚姻するのは嫌か?」
「ちがっ、違います。違うんです」
「どう違う?顔色があまり良くないのは、俺と一緒になるのが不安なのかと思ったけど」
「本当に、違うんです。僕が甘えすぎて……兄様の負担が大きすぎると思うのです。全然役に立たないのに。一緒に居てくれるだけでいいってそんなの、駄目だと思うから」
「ルナ。それは、俺の事が好きだから、迷惑をかけたくないのかな?俺にとって最大の愛の言葉だな」
「本当に迷惑になりたくないんです」
「それを決めるのは俺だよ?俺がお前の為なら何でもしたいだけだ。笑って欲しいし、泣く時は俺の胸の中で泣いて欲しいよ」
「ま、まだ。雷も怖いし。血もまだ苦手で。それに、優しいシス兄様に相応しいか分からなくなって。子、子供……本当にいらないの?」
「後継の問題は無い。それに、子供がいたらルナを取られてしまう。お前の愛は、俺だけにくれないか?ずっと夢だったんだ。ルナが俺だけを想ってくれることが嬉しい。俺の想いを信じてくれないのか?」
泣きそうな、顔をする。
「ルナが、俺以外に好きなやつがいるのなら教えて」
「違う!本当に違うの!大好き。ずっとずっと支えてくれたのは、シス兄様だ」
抱きついて、泣いてる。
やっと、俺を選んでくれたんだ。
「ルナ、今日は添い寝だけだよ。明日、俺の物にするから、お前を抱くのをどれだけ待っていたか……覚悟してくれ」
「─────はい」
やっと、手に入れた。
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