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第9章☆アルとルナ
8幸せになる為に
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☆アルファルド殿下
ダンスの後に、ディオールとルナが消えた。
なんと言うか、残った皆と微妙な雰囲気になってしまった。
「2人で行かせて大丈夫なのか?」
レグルスが、この微妙な雰囲気の中声をかけてきた。
「抱くほうがいいって、言ってたな」
カストルが呟いた。
「意外だったなぁ」
のんびりとソレイユも続ける。
「人それぞれですよね!」
スピカ、楽しそうだな。
1番心配して動きそうなシリウスは黙ったままだ。
まあ、ディオールは、悪い奴じゃない。人と連む事もほとんどなく淡々と役割を果たして行く。
伯爵家から与えられた、私の役割をこなすだけだと言って行動する。
『いつか、自由になりたい』
昔は、そんな事を俺の前で言っていたのに、それも言わなくなったな。
『明日からアルファルド殿下を監視して、報告するのが、私の役目です。私の前では報告されても困らない事だけをして下さい。これは、独り言なので気にしないで下さい』
そう言って、部屋から出て行った。
シリウス達には反感を買っていたが……アイツは、ルナを気に入っているはずだ。
出会った頃は何かに怯えている事も知っていたが、だんだんと気にならなくなっていて、それは克服していたのだろうか……
今思えば隠すのが上手くなっただけなのかも知れないな。
それを、多分ルナは気づいたのだろう。
ルナに任せるのが1番だな。ルナは、頑な相手の心を癒していく。自分の事は後回しのくせに。
だから、精霊を惹きつけ愛されていくのだろう。
「心配しなくても精霊の加護がある。ルナを悪用するなんて出来ない。ディオールもそんな奴じゃない。信じて欲しい」
「アルファルド殿下」
レグルスに声をかけられた。
「俺は、直接ルナを護る事は出来ない。だが何よりも大切な存在なんだ。最も信頼する者を護衛として、ブルックス王国から選出する事にしたんだ。グランデとの友好の為、ルナを支え護る為。学園卒業時には正式に決定するから。現時点でそう言う話が進んでいる事を理解しておいて欲しい。
ルナは、フォレストの精霊の加護付きだからね。ブルックスの宝なんだ。シルフィ様に目隠しになっていただいているが、王家として護る対象だ」
そう言って、シリウスとソレイユと3人で退出した。
「アルファルド殿下、一緒に食事でもどうですか?」
カストルとスピカに誘われたが、
断りを入れて、寮へ戻る事にした。
寮に着いて、1人考える。
俺の微妙な立場が、ルナを追い詰めるだろうか?
兄上とセス様と話した結果、俺とルナはフォレストに邸を構え、ここを拠点して動く。
ルナは表向きは光属性の持ち主として扱う事で決まっている。もちろん光属性も稀だから、フォレストの森にいるシルフィ様(聖女役)を支える者として、神官と言う立ち位置だ。
その役割の為フォレストを拠点とする事を納得させるのだ。もちろん、外交の役割は担うが。
俺の闇属性を抑える事が出来る光属性の神官として紹介される予定だ。
グランデでは、闇属性は未だに恐怖の対象だ。微々たる素質なら、魔導具で抑えるのが一般的だ。
魔力量の多い俺の扱いに王国が困り果てた結果……ブルックス王国からの仲介で隣国同士の平和と友好を兼ねての婚姻。
俺は、魔物かって、感じだな。
昔、闇属性の持ち主が暴徒化した歴史がある所為だ。まあ、それも差別され抑圧された結果に起きた事だ。逆に光属性への憧れはグランデでは神聖化するくらい強いから、まして聖属性とは言えないな。
ブルックスからの護衛でもなんでも受け入れる。それでルナが護れるなら構わない。
ルナの事を大切に想っているレグルスが選んだ者なら、協力者を拒む理由はないが、誰を寄越す気だ?
本来ならレグルスが護りたかっただろうしな。
それにディオールの事は、兄上も不思議と認めている。あの人は見る目はあるから大丈夫だ。
ルナを護れるなら、精霊でも神でも利用する。
ルナを幸せにする為ならなんでもするし、受け入れる覚悟はあるのだ。
空間が揺れて、ディオールと…シルフィ様に横抱きされたルナが現れた。
「ルナ!」
「問題ない。泣き疲れて寝ただけだ。お前の所に帰りたいと言ったから、連れてきた」
シルフィ様からルナを受け取る。
少し目を開けて、『アルただいま』と小さな声がして触れるだけのキスをしてまた目を閉じた。
シルフィ様はいつの間にか帰ってしまい、ディオールが立ってこちらを見ていた。
「全く、可愛らしい人だね。アルファルドも良く我慢できるね」
「ルナに手を出すなよ」
「出来ないよ」
いつもより肩の力が抜けたようでスッキリとした顔をしている。
そう言って、膝をつき胸に手をあてる。
「アルファルド殿下、私はルナ様に忠誠を誓い、この身に変えてもお護りし生涯この誓いを違える事はありません」
懐から護り刀を取り出し、人差し指に当てた。指先から血が流れて刀の護り石の部分に血をポタリと落とす。
刀身が光を帯びる。
契約の証。
「オーウェン兄上に誓わなくて良かったのか?」
「こちら側に送り込んだのは、オーウェン殿下です。全て、貴方を護る為ですよ」
「自由は、良かったのか?」
「ええ、ルナ様の側にいたら多分、解放されそうな気がするので。癒しの効果かも知れません」
少し笑って、手を出しすぎないようにって余計な一言をつけた。
頭を下げて、ディオールが退出する。
昼間の、言葉がよぎる。
ベッドに寝かせて、クリーンをかける。服を着替えさせはじめたら、時々目が開いては、腕や足を着替えさせやすいように動かす。
少し、覆い被さるようにして唇を重ねたらルナが薄く唇を開いた。
舌を差し入れて上顎や歯列をなぞり、小さいな舌を捕まえる。
細い腕が俺の背中に回ってシャツを握り締めた。
「ふ、んん」
エメラルドの瞳が潤んでいく。
いつもより、長めのキスから口を解放してやると、離した時に銀色の糸が引いた。
より赤くなった唇を今度は舐めたり吸い付くと、ルナの頬も赤く染まっていく。
可愛い。
「ア、ル……大好き」
キスまでだとは言われている。
「──ディオールが昼間、変な事言うから」
「ディオ?ああ、僕が、アルを抱くって話?それは、ちょっと……無理そう……です」
「──違う。溜まってたら、出してやれって。確かに、身体に悪いよな?自分で出してた?」
ルナは、背中に回してた手をはずして、両手で顔を隠した。
「たくさんした方が良いの?よく分かんない」
「じゃ、やり方教えてやるよ溜めてたら良くないから」
何を言われたか、察したルナがさらに赤く染まっていった。
ダンスの後に、ディオールとルナが消えた。
なんと言うか、残った皆と微妙な雰囲気になってしまった。
「2人で行かせて大丈夫なのか?」
レグルスが、この微妙な雰囲気の中声をかけてきた。
「抱くほうがいいって、言ってたな」
カストルが呟いた。
「意外だったなぁ」
のんびりとソレイユも続ける。
「人それぞれですよね!」
スピカ、楽しそうだな。
1番心配して動きそうなシリウスは黙ったままだ。
まあ、ディオールは、悪い奴じゃない。人と連む事もほとんどなく淡々と役割を果たして行く。
伯爵家から与えられた、私の役割をこなすだけだと言って行動する。
『いつか、自由になりたい』
昔は、そんな事を俺の前で言っていたのに、それも言わなくなったな。
『明日からアルファルド殿下を監視して、報告するのが、私の役目です。私の前では報告されても困らない事だけをして下さい。これは、独り言なので気にしないで下さい』
そう言って、部屋から出て行った。
シリウス達には反感を買っていたが……アイツは、ルナを気に入っているはずだ。
出会った頃は何かに怯えている事も知っていたが、だんだんと気にならなくなっていて、それは克服していたのだろうか……
今思えば隠すのが上手くなっただけなのかも知れないな。
それを、多分ルナは気づいたのだろう。
ルナに任せるのが1番だな。ルナは、頑な相手の心を癒していく。自分の事は後回しのくせに。
だから、精霊を惹きつけ愛されていくのだろう。
「心配しなくても精霊の加護がある。ルナを悪用するなんて出来ない。ディオールもそんな奴じゃない。信じて欲しい」
「アルファルド殿下」
レグルスに声をかけられた。
「俺は、直接ルナを護る事は出来ない。だが何よりも大切な存在なんだ。最も信頼する者を護衛として、ブルックス王国から選出する事にしたんだ。グランデとの友好の為、ルナを支え護る為。学園卒業時には正式に決定するから。現時点でそう言う話が進んでいる事を理解しておいて欲しい。
ルナは、フォレストの精霊の加護付きだからね。ブルックスの宝なんだ。シルフィ様に目隠しになっていただいているが、王家として護る対象だ」
そう言って、シリウスとソレイユと3人で退出した。
「アルファルド殿下、一緒に食事でもどうですか?」
カストルとスピカに誘われたが、
断りを入れて、寮へ戻る事にした。
寮に着いて、1人考える。
俺の微妙な立場が、ルナを追い詰めるだろうか?
兄上とセス様と話した結果、俺とルナはフォレストに邸を構え、ここを拠点して動く。
ルナは表向きは光属性の持ち主として扱う事で決まっている。もちろん光属性も稀だから、フォレストの森にいるシルフィ様(聖女役)を支える者として、神官と言う立ち位置だ。
その役割の為フォレストを拠点とする事を納得させるのだ。もちろん、外交の役割は担うが。
俺の闇属性を抑える事が出来る光属性の神官として紹介される予定だ。
グランデでは、闇属性は未だに恐怖の対象だ。微々たる素質なら、魔導具で抑えるのが一般的だ。
魔力量の多い俺の扱いに王国が困り果てた結果……ブルックス王国からの仲介で隣国同士の平和と友好を兼ねての婚姻。
俺は、魔物かって、感じだな。
昔、闇属性の持ち主が暴徒化した歴史がある所為だ。まあ、それも差別され抑圧された結果に起きた事だ。逆に光属性への憧れはグランデでは神聖化するくらい強いから、まして聖属性とは言えないな。
ブルックスからの護衛でもなんでも受け入れる。それでルナが護れるなら構わない。
ルナの事を大切に想っているレグルスが選んだ者なら、協力者を拒む理由はないが、誰を寄越す気だ?
本来ならレグルスが護りたかっただろうしな。
それにディオールの事は、兄上も不思議と認めている。あの人は見る目はあるから大丈夫だ。
ルナを護れるなら、精霊でも神でも利用する。
ルナを幸せにする為ならなんでもするし、受け入れる覚悟はあるのだ。
空間が揺れて、ディオールと…シルフィ様に横抱きされたルナが現れた。
「ルナ!」
「問題ない。泣き疲れて寝ただけだ。お前の所に帰りたいと言ったから、連れてきた」
シルフィ様からルナを受け取る。
少し目を開けて、『アルただいま』と小さな声がして触れるだけのキスをしてまた目を閉じた。
シルフィ様はいつの間にか帰ってしまい、ディオールが立ってこちらを見ていた。
「全く、可愛らしい人だね。アルファルドも良く我慢できるね」
「ルナに手を出すなよ」
「出来ないよ」
いつもより肩の力が抜けたようでスッキリとした顔をしている。
そう言って、膝をつき胸に手をあてる。
「アルファルド殿下、私はルナ様に忠誠を誓い、この身に変えてもお護りし生涯この誓いを違える事はありません」
懐から護り刀を取り出し、人差し指に当てた。指先から血が流れて刀の護り石の部分に血をポタリと落とす。
刀身が光を帯びる。
契約の証。
「オーウェン兄上に誓わなくて良かったのか?」
「こちら側に送り込んだのは、オーウェン殿下です。全て、貴方を護る為ですよ」
「自由は、良かったのか?」
「ええ、ルナ様の側にいたら多分、解放されそうな気がするので。癒しの効果かも知れません」
少し笑って、手を出しすぎないようにって余計な一言をつけた。
頭を下げて、ディオールが退出する。
昼間の、言葉がよぎる。
ベッドに寝かせて、クリーンをかける。服を着替えさせはじめたら、時々目が開いては、腕や足を着替えさせやすいように動かす。
少し、覆い被さるようにして唇を重ねたらルナが薄く唇を開いた。
舌を差し入れて上顎や歯列をなぞり、小さいな舌を捕まえる。
細い腕が俺の背中に回ってシャツを握り締めた。
「ふ、んん」
エメラルドの瞳が潤んでいく。
いつもより、長めのキスから口を解放してやると、離した時に銀色の糸が引いた。
より赤くなった唇を今度は舐めたり吸い付くと、ルナの頬も赤く染まっていく。
可愛い。
「ア、ル……大好き」
キスまでだとは言われている。
「──ディオールが昼間、変な事言うから」
「ディオ?ああ、僕が、アルを抱くって話?それは、ちょっと……無理そう……です」
「──違う。溜まってたら、出してやれって。確かに、身体に悪いよな?自分で出してた?」
ルナは、背中に回してた手をはずして、両手で顔を隠した。
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