【本編完結】イケメンの皆様、主人公はあちらですよ。

第8章 スピカの恋愛事情

1お似合いの2人

あの日、魔女は封印された。

俺達は、レグルス殿下を助ける事に魔力を最大限使っていて閉ざされた結界の中で何が起こったのか見る事は無かった。

王国の魔術師団長が封印したと言うのなら、この先きっと大丈夫なんだって思いたい。呪いに振り回されて、苦しい思いをしてきたレグルス殿下にルナ様、それにリゲルも幸せになって欲しい。他にも知らない所で傷ついた人が居るはずだから、その傷が癒える日が来ると良いな。

俺も力をつけなければと気合をいれる。

それにしても魔術師団長は、俺とルナ様を守る為にシルフィ様とノーム様を身代わりに仕立て上げ、ブルックス王国は聖属性の聖女と光属性の勇者に守られていると大々的に国内にも隣国にもアピールした。

「秘匿すれば、暴きたくなるだろう？こう言う事は、オープンにしたら良いんだよ」

魔道具も魔術も大好きな魔術師団長は、他にも色々……手を回していた。

聖女と勇者の姿絵は、飛ぶように売れてその収入は、王国とちゃっかりフォーマルハウト侯爵家に入っている。

さらに、髪色を真似たいだろうとヘアカラーチェンジオイルを魔術で作り小瓶に詰めて販売した。
どんな髪色の人も綺麗にピンク色に染まるのだ。

ルナ様のミルクティー色の髪（シルフィ様もこの色にしていた）のオイルも作って聖女カラーも作っていた。
手軽に綺麗にイメージを変えられるので人気がある。

1か月で元に戻る仕様にワザとしていて地毛として悪用されないようにしているそうだ。親子かどうかと揉めない為にも。

他にも色々な色を売り出しその売上も、フォーマルハウト家へ入っていく。

魔道具とかの売り上げは、開発費に使うから儲からないよって言っていたけど……家は貧乏子爵家なんだよなぁ。魔術師団長なのに魔道具開発の為に商魂逞しくて尊敬する。

それのおかげで、今ではピンクの子も増えたし、俺も目立たなくて嬉しい。憧れの金髪を試したら、カストル様に似合わないって笑われてとりあえず今は、茶髪にしてみた。
ちょっと楽しい。


学園生活も、2年目に入り後輩も出来た。初々しいその姿に入学式のピチピチの制服姿を思い出す。

「あれは、なかったな～」
なんて思いながら、教室の窓から学園の庭を見ていたら……ピンク色の花びらが舞う中で、荷物を抱えたルナ様とアルファルド殿下が並んで立ち止まってライラの木を見上げる。

ルナ様はメガネをかけているけど、辺境伯に似せるメガネでは無い。
綺麗なエメラルドの大きな瞳。華奢な体躯にしっくりくる容姿だ。
ルナ様のトラウマ克服仕様のメガネだ。すぐに克服は無理だろうけど、雷はだいぶ怖く無くなったって言ってたから、いつかメガネ無しになれるかも知れない。

それはそれで、綺麗なルナ様が狙われる可能性があるから……アルファルド殿下は、気が気じゃないだろうなぁ。もちろん、俺もフェルも見張っているけどね。
新入生に2人ともモテモテだけど、鈍感なルナ様は自分がモテている事に気がつかない。
アルファルド殿下がモテると嫉妬と言うより、少し寂しそうにするのが可愛い。あれは、不味い可愛すぎる。
殿下は、よく我慢していると感心してしまう。忍耐の日々だろうな、辺境伯との約束にちょっと同情する。

まぁベタベタする訳でも無いんだけど……なんか良い雰囲気なんだよね。見ていてこの2人ならこの先も大丈夫なんだろうなって思う。

──お似合いなんだよね。


シリウス様は3歳上だし、レグルス殿下の護衛として凛とした表情を変える事はない。
あれから半年以上経ったけど、そう簡単に想いが消える事は無いはず。
レグルス殿下も、その事に触れずに学業に専念している様に見える。今はクラスの皆とも会話をしたりして積極的に他の子息達とも交流を深めている。
たぶん、2人ともルナ様が心配しないように振る舞っているんだと思う。


仕方ないんだ。だってルナ様は1人しかいないんだから。IFなんて現実じゃあり得ないから。シリウス様もレグルス殿下も、その想い事受け止めてくれそうな人に出逢って幸せになって欲しい。
憧れてた世界の人達だから尚更だ。

ルナ様は、俺の恩人でもあり、今は大切な友人。
俺自身も元々が華奢な方の体躯だから、筋肉をつけるのも難しい。それでも少し伸びた身長が嬉しい。俺もルナ様を守れるくらい強くなりたいな。
そう思ってふと考える。

俺って、どっちなんだろう？
小説ならば、受けだ。
だけど今は、魔術騎士に憧れて鍛えてもらっているから……攻めに変わったりするのかな？
綺麗で可愛いルナ様は別格の存在だから、手を出そうなんて思わないけど。
ルナ様みたいな子なら抱けるかもと思うのは、お年頃だからね。これも仕方がない。

うーん。子爵家の為にも俺も出会いが欲しいかも。
まじで、俺どっちなんだろう。