【本編完結】イケメンの皆様、主人公はあちらですよ。

第6章 学園編☆1年生

23リセット

夏季休暇に入ってフォレスト領に戻ってきた。
パルムの樹の側で少し大きめのサイズになってくれたフェルにもたれながら課題の魔術書を読む。

フェルが涼しい風を優しく起こしてくれるから気持ちが良くて眠くなってきた。


こっちに戻ってきてから、調子も良くてあまり熱も出ない。やっぱり空気が違うのかな～って、ここは癒される。

でも、学園で色々あったなぁ。


キャンプも結局──僕は体調を崩した事もあって、残りの行事は参加せずに終わってしまったし夜に騒ぐ事も無くて、その後は、なんか皆ぎこちなかったんだよね。楽しみだったのになぁ。　

ただ、キャンプの後に大きな変化があった。

大人しくて可愛いイメージのスピカが、髪の毛を短く切ったんだ。瞳の色は変えれないけど、髪の色は染めて変えようかなって笑った。

「本当は、ピンク色の髪が嫌いなんだ」

2人して笑う。
そうだよね。僕もピンク色はちょっと気になるかも。

魔術の為には、髪は長い方が良いって言われてるけど、一度リセットしてやり直したいし短い方が好きなんだから、これで良いんだって。もうなんか全部ふっきった感じで別人みたい。

今は筋トレやランニングを始めていて体力をつけようと頑張っている。色白だったのに今は少し日に焼けて健康的に見える。
スピカは、王国の保護下から外れたいから、自由を奪われ無いように今から準備すると決めた。その為の第一歩が魔術騎士を目指す事。
だから──お父様達に会わせて欲しいと頼まれた。

スピカは、ずっとクジの事を後悔していてザマァがあるのでは？と怖がって良い子になろうとして来たから、疲れたんだって。
小説と違うんだから、好きなように進む決心もついたらしい。その上で何故か……僕の役に立ちたいとも言ってくれている。



「2度目の人生をもらったんだから、やって来なかった努力をしてみるよ。俺も存在する意味があったって事を年取った時に思いたいし……迷惑かけたルナ様を守りたいしね」
めちゃ笑顔で言う。

小説の中のスピカと雰囲気まで変わってしまった。今のスピカは、元気いっぱいの少年になっている。短い髪も似合うし背も伸びて来たみたい。

でも元が主人公だから、美少女風から美青年になりそう。これはこれで、モテる気がするけどね。


それにしても……
「好みじゃ無くなったから攻略する気も無いし安心していいよ」
とか言うし。何でそんな事になったんだろう？

「辺境伯の魔術騎士の方が格好良い気がする。ルナ様の護衛のユーリさん？も無口で格好良かったし。ルナ様のお兄様のダレン様って、背は高いし、ワイルドな感じで格好良いね。ルナ様がお母様似ならお兄様達は辺境伯に似ているの？」

なんて、大好きなお父様達を褒めてくれるから、嬉しい。

「強くて、格好良いんだよ。顔とか雰囲気とかも素敵だけど……お父様の剣技の型を見たらドキドキするよ？」
そんな風に言ったら、本当に会わせてねって念押しされた。強い人が好みだったとか、こんな風にスピカと前より気楽に話せるようになって楽しい。

「ルナ様は、悩み過ぎ。幼馴染に言えなかった辛い事とか聞くから、溜め込まないで。
もしも誰かに告白されたら、その人とデートしてみようよ。
自分なんてって思わないで、デートとか試して見てから判断しよう？
振ったら悪いとか考えちゃダメだからね。
恋愛に申し訳ないとかは禁物だよ？同情は最悪だからね。それは後でお互いに傷付くからね！
それからルナ様は、自己否定の前に、まずその人に触れられて嫌じゃないか……例えばキスしたいかどうかを考えてみて。それか、その人が他の人とキスした所を見るのが嫌かを考えたら、自分の気持ちが分かるかも知れない。とにかくキスしても良いかどうかが第一関門だなぁ」

そうなの？
前世でもキスした事ないよ、僕。




スピカは本当にキャンプの後に変わったんだよね。不思議。
悪い方じゃなくて、良い方に。
見るからに楽しそうなんだもの。



魔術書を読むつもりだったんだけど……な。
全然読めなくて、また考える。

僕も変われるかな？


みんな、一度自分達の領地に戻ってからフォレストにやって来る。

多分明日にはスピカがここにやって来る。また色が黒くなっているかも知れない。


スピカより1～2日遅れてアルやレグルス様も避暑目的でここに滞在する。シリウス兄様も休暇を取って来る事になっている。

避暑地でもあるから、夏季休暇で来るのは良いと思う。課題も進むだろうし。居心地はきっと良いと思う。

スピカがもしもの話ばかりするから、意識してしまう。

シリウス兄様がフォレスト領に顔を出すから、2人だけで話をしたいって言われてた事。