【本編完結】イケメンの皆様、主人公はあちらですよ。

Shizukuru

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第6章 学園編☆1年生

10男達の密談

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あーあ。
荒れてる。
レグルスだけじゃなくて、護衛のシリウスも荒れてたな。
「レグルス様は、そんなにルナが心配?」
今は、レグルス殿下の寮の部屋にいるのは俺だけだ。結界も防音も張っている。
シリウスは、自室に……いないか。
探りに行ってそうだ。まぁ、レグルスが呼べばすぐ戻ってくるだろう。

ソレイユは、スピカに会っている。

「様は、いらない……」
仏頂面のレグルスがソファにもたれかかっている。

「俺に言ってる?それとも、さっきのアルファルド・グランデ殿下がルナに呼びしろ的な事を言われてた話の事?」

また黙り込む、面倒だな。


「──単なる幼馴染って思っているのはルナだけだな。2人、いや3人は、それ以上っぽいけど……なぁ同性婚も出来るけどさ。レグルスは第1王子だし、シリウスだって嫡男で跡継ぎだろう?側妃的な立場にしたいわけ?それこそ、可哀想だろ?男で側妃とかさ。
アルファルド殿下は第2王子で子供を求められないなら、ルナにとって1番良い相手な気がするけど?
それにしても何がそんなに良いんだ?精霊を惹きつける血筋のせいか?」

ジッとレグルスを見ると、顔を歪める。


「俺にも言えないのか?立場は護衛兼側近だけど、お前は大切な従兄弟だよ?」

「自覚したんだ」

「自覚?」

「ずっと、気持ちに蓋をして来た。ルナは、シリウスのものだと。俺は、子供の頃に呪いを受けただろう?あの頃は、魔力の暴走やその反動の激痛に苦しめられていたよ」

「まぁ、秘匿されていたけど。それが関係してくるわけだ」
フォレスト辺境伯家で後に回復して帰ってきた。

「フォレストの精霊達に助けを求めに行った結果、俺は解呪されたけれど」

「けど?」

「全てを俺から解呪したのは、精霊達だけじゃないんだ。苦しがっていた俺から、ルナ自身が身体に呪いを取り込んだんだ。呪いの力は半分以上は削ったようだが、ルナの中に呪いが残ったらしい。そのせいで発熱し易い。その解呪の方法はルナだけしか分からないそうだ。今は本人も気づいて無いらしいが」



「それは、どう言う意味ですか?」

シリウスが、隠し通路から結界内に入って来た。

声のする方へ、レグルスが顔を向け、気まずそうな顔を見せた。

「ルナが呪いを受けているとは、どう言う意味ですか?その、呪いの解呪の方法は?命には問題ないのですか?」

寒々しい空気と殺気を纏い、殿下あるじを睨んでいる。
おいおい、それはダメだろう?一応、殿下だぞ。ルナが絡むと本当にシリウスは、残念な奴になるな。

「シリウス、真実を知りたいなら殺気を消してくれないか?」

手招きをして、ソファを勧める。

「お茶でも、淹れようか。とりあえず、シリウスも座れよ」

ルナとレグルスとシリウスが幼馴染と言っているが、俺とシリウスと今はここに居ないがソレイユは側近候補として、交流してきたんだ。
殿下の幼馴染だろ?




手早く俺は、3人分の紅茶を準備をして腰掛けた。

「3人しかいない。皆、呼び捨てで構わないだろ?レグルス。観念して知っている事話せよ」

若干睨み気味なのは仕方がないが、シリウスはレグルスを見つめ視線を逸らさない。

「分かった。でも、解呪の方法は本当に知らないんだ」

それから、知っている事を吐かせた。

シリウスの顔色は悪くなっていく。ルナが発熱しやすい原因が呪いのせいだった事。タイムリミットが卒業までで解呪出来なければ、精霊に保護される形で連れて行かれる事。

メガネが魔道具で、素顔を知っている事(ルナの顔の違和感はこれか)。

そして、1番肝心な事をレグルスが言った。

「ルナが好きなんだ。何もせずに諦めたくない」

シリウスがギュッと拳を握り締めたのが、分かった。

「レグルス。俺にとってルナは弟じゃない。何よりも大切な人だ。殿下としての立場を利用すれば、簡単に手に入れられるのに。ルナの気持ちを優先してくれるのは感謝しかないよ」

なるほど、お互いにルナを無理矢理とは思ってないんだな。

「アイツはどうするんだ?隣国の親友様は、ほっとくのか?それに跡継ぎ問題はどう考えてるんだ?」

レグルスが苦笑いをシリウスも似たような顔を見せる。

「多分、アイツも。ルナの気持ちを優先するタイプだろ」
シリウスも頷く。

「シリウス、言っておくが俺はルナを側妃には考えていない。その時は、王子妃として迎える。跡継ぎなら弟の子供でも、従兄弟のお前カストルの子供でも構わないんだ」

まじか、公爵家の俺の子ねぇ。

「レグルス、俺にも姉がいる。ルナを愛人等にする気はない。その時は、ちゃんと迎え入れる」




「ふ~ん。ベタ惚れなんだな。後はルナ次第か。お前らが、口説き落とせるかは分からないが…
で解呪の方法がルナしか分からないなら、それはルナに任せよう」

「な、カストル!ルナを見捨てるのか!」
シリウスからの冷気が増えて来る。凍えるから止めてくれ。

「落ち着けよ。ルナしか分からない事が俺達に分かる分けないだろう?だいたい、その呪いが残っているって事は、呪いをかけた奴は生きている可能性があるよな?
レグルス、子供の頃とは言え思い出せ、どんな些細な事でも。タイムリミットが卒業までなら、それこそお前に接触してくるんじゃないか?そもそもの目的はお前だろう?」

「カストル、それが本当なら、術者を捕まえられるのか?」

「可能性は、あると思っているけど?王家に恨みがある者か、単にお前を手に入れて王家を乗っ取りたい者かも知れない」

2人の口角が上がる。
やられたら、やり返そう。そうだろ?

「だとしてもカストル、術者が生き残っているのなら、何故精霊達はそいつを倒さないんだ?」
確かに、そうなんだが──

「そうだな。倒さないんじゃなくて、倒せない気がするんだ。違う世界の理を曲げられないようなルールが存在するんじゃないか?
どう考えたって俺達なんて一捻りで消せる力があるんだから。それをしない。推測だけど生死に関係する事とかは、禁忌なんだと思う。そうじゃないと、人間全部滅ぶだろう?
ルナを手に入れたい部分もあるかも知れないが……あれ程の加護を与え大切にしている。術者を許せるはずがないのにしないのは、人をれないんだと思う。それに術者も上手く身を潜めているんじゃないかな」

「そうか。俺達の世界の事は俺達でやり返すのが正解のようだな」

元気が出てきたか?

「レグルス、俺も術者探しを協力する。呪いを解呪してルナを護る」
シリウスがソファから立ち上がり、レグルスにそう言った。

「分かった。術者探しはもちろん、2人の協力を得たい。俺も、もう誤魔化さないよ」

「なら、それはそれで2人とも頑張れよ。その部分は手伝えないからな。俺が手伝うのは、受けた呪いを返してやるって部分だな」

接触される前に準備が必要だな──







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