【本編完結】イケメンの皆様、主人公はあちらですよ。

Shizukuru

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第6章 学園編☆1年生

7リゲルの望み

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「くそっ!なんで僕がこんな目に遭うんだ。3組なんて、おかしいだろう!全部、メガネの奴のせいだ」

謹慎として男爵家に戻されている。そして、来週からの登校になった。
許せない。
机の上の物を床に落とし、足で蹴り飛ばす。

あんな、不細工がレグルス様の側にいるなんて許せない。見目の良いスピカが、レグルス様の側近と上手くやった。2人で近寄ればチャンスがあると思ったのに。なんであんなに大切にされてるんだ?

怯えた顔をして、僕を見るな。
メイドの髪の毛を引っ張り、引き倒す。

その時、背中側に視線を感じた。

「荒れてるのねぇ。王子様を手に入れるんじゃなかったの?学園クビになっちゃったのかしら?」

「魔女様!」
慌てて、メイドを部屋から追い出し、魔女様の足元へ膝をつく。

「嵌められたのです。謹慎させられて、レグルス様から引き剥がされたのです」

「ふ~ん?お邪魔虫がいるみたいねぇ。王子様に付けてたのにぃ、私が休んでる間に誰かが解呪しちゃったみたいねぇ。でもぉ。身代わりにしてた子の呪返しも大した事無かったから……向こうも誰かに王子の呪いをあげちゃったのかしら?精霊達が森からあんなに離れても人型を完璧に維持して王子を護っているなら……やっぱりが手を貸しているのかしら?」
目深に被ったフードを上げると艶やかな緩いウェーブの黒髪が見えた。顔の右半分をその黒髪で隠している。深緑の瞳に真っ赤な唇がいかにも魔女らしい姿だ。封印されていた事を踏まえると、何十年、もしかしたら何百年も生きているかも知れない。見た目は20歳位にしか見えないけれど。

「その解呪を僕がしたら、僕のものにレグルス様は、なるはずだったんですよね?力を貸して下さい。僕は、彼が欲しい。王子妃になりたい。邪魔をした黒髪の男も赤髪の精霊も僕の下僕にしてやりたい。なんでも、魔女様の言う通りにしますから」

頭を下げる。こんな事くらい、なんて事は無い。頭を下げて、望むままに動くだけで願いを叶えてくれるなら、なんでもする。僕は、男爵位で終わる男じゃない。この美貌で全てを手に入れるのだ。それが寿との交換で済むなら平気だ。美貌を損なってまで長生きしたくもない。
王国の王子妃になれば、レグルス殿下の取り巻きも全て僕の物になる。

「そうねぇ。精霊達は悪意に敏感だから、そこは上手くかわしなさい。人間の方が簡単よねぇ。まずは、生徒を味方にして、駒にしましょう。魅了のアイテムをあげるわ。それから、コレ。男の子でも妊娠出来るお薬よ。大して苦しくも無いはずだからね。いつでも使えるように持ってなさい。これで側妃じゃなくて、王子妃になれるわよ」

「魔女様。ありがとうございます!この間いただいた媚薬は効果が高いようですね!それに、今回は妊娠薬をいただけるなんて、これで女が王子妃として存在する必要が無い。嬉しい。まずは、新しいクラスメートを僕の味方に変えていきます!」
レグルス殿下は第1王子だ。必ず後継ぎを望まれる立場だ。そうなると子供の産める女に負けてしまう。だが、男の僕が子供を産めるのならば何の問題もないのだ。地位を脅かされる心配がなくなる。

だから、魔女様は素晴らしい。あの時、封印を解いて正解だった。

「妊娠薬を他の子との練習に使っちゃダメよ~。王子に似てない子が出来たら困るわ。それから、寮もダメ。護りが固いわねぇ。学園の外とかかしら?貴方みたいな可愛い子に迫られたら嬉しいはずよ?貴方が協力してくれたらきっと、イアソ様が出てくるわ。私の顔に傷を付けて、封印した責任をとってもらわなきゃね。人間なんて飽きたの。真実の愛なんて、ぜ~んぶ嘘だもの。簡単に騙されて覆すの。それをなのに。
私の邪魔をしたイアソ様や、あの精霊達を私のものにしたいわぁ。美形が私の下僕になるのよぉ。最高。ああ、赤の精霊は、私の物にするから下僕も人間だけにしてよ?」

「分かりました。僕は、レグルス殿下達を手に入れたい」

「ふふ。欲望に忠実な子って、最高ね。あの時、私の封印を解いてくれてありがとう。本当なら、無償でお願い叶えてあげたかったんだけどね~。完全に力を取り戻すのはもう少し先みたいだから、協力してね!」

そう言って、手を出すように促される。

手を合わせると、魔力を吸われる感覚にゾワリと背筋が震える。

たかが数年寿命が縮む位平気だ。
僕は魔力をかなり持っているし。足りない分は領民から奪っていいと伝えてある。ああ、さっきのメイドも魔女様にあげよう。

魔女様の力が完全復活すれば……全て僕の物になるのだから。今は、駒を作るのが先だな。

覚えていろよ。
俺を馬鹿にした奴ら──

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