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第6章 学園編☆1年生
9図書室
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放課後、レグルス殿下は僕以外の皆と寮へと戻った。
殿下を寮室まで送った後、ソレイユ様もスピカと打ち合わせを寮内の談話室を使ってするみたいだ。
アルは、明日の午後に入寮してくるけど、きっと片付けとかで忙しいはず。それに少し2人だけで直接話したかった。
本来は、寮まで殿下達と一緒に戻るべきなんだけど、アルが一時的に滞在している宿泊施設みたいな所の戻る時間も考えたら、放課後すぐが良い事になった。レグルス殿下に早く行って早く戻れって言われて、今2人で図書室に向かっている。
フェルを殿下にと思ったんだけど、絶対に連れて行けと言われ2人っきりになるなと念押しされる。
何でだろう?ペアだもの。2人になるのは仕方ないと思うんだけど。
それでも、早く打ち合わせして、戻るようにしないとね。アルの入寮が済んで、落ち着いたら談話室とかでもう少し時間がかけられる。どうするか候補を挙げて、テストまでに実技練習をしないといけない。練習場所も確保する必要がある。
する事が山積みだ。図書室に入室しそのまま奥の個室に入った。
僕の立場としてレグルス殿下の護衛もちゃんと付きたいから、効率良く課題をこなそう。
「──ナ。ル、ナ?」
また、1人の世界に入ってしまう。
「ごめん、なさい。あの。護衛も僕の役割だからちゃんとしたいんだ。練習の時間短くなるかも知れないから。短い時間でも集中して頑張るから、お願いします」
頭を下げたら、頭をポンポンと優しく触れられる。
「でも、留学して来て問題なかったの?あまり、お兄さん達と上手くいってないんだよね?大丈夫?」
少し目を見開いたアルが、次の瞬間笑った。
「2人になるとストレートに聞いてくるな」
「だって!王子様なんでしよう?命とか狙われたりしない?」
「お前なぁ。自国の王子の護衛についてるんだろ?て、事は国内にいても国外でも狙われるのは何処の国の王子も同じなんだよ。その為に身を守る方法をちゃんと身に付けるんだ。生き残る為にさ。それは、あいつも同じ。そして、信頼出来る奴に側にいて欲しいって思うのもな」
そっか。
そうだよね。誰もがその身分を羨むけど、本人にとってそれが決して良いとは限らない。でも、逃げるわけには行かないから。
小説の中だと1人で、誰も信じず寄せ付けないそんな人だった。
強い。
強くなったんだね──アル。
「ア、ル」
思わず涙ぐむ。
滲んだ視界のせいで、アルが今どんな顔をしているのか分からない。
腕を引っ張られてムギュって抱きしめられた。
あの時もそうだったっけ?あの時泣きそうだったのは、アルだけど。
僕は相変わらず、成長が遅いから支えてあげる感じにならなくて。チビのまんまでスッポリと腕の中におさまってしまう。
本当に子供扱いのまんまだ。
恥ずかしい。
「ごめん。なんか、アル頑張って来たんだって思って。こんな事している場合じゃないよね。テストに向けて何にしようか話合うんだった。あーもう。親友の成長がこんなに嬉しいなんて。この先もずっと、親友でいてよ、アル」
にへらって、変な笑顔になっちゃったけど。ダレン兄様とシリウス兄様みたいにいつまでも、何でも言い合えたらいいなぁ。王子様と僕じゃ身分が違いすぎるかな?距離置かれたら、ちょっと切ないかも。
また、ギュって抱きしめられる。
どうかした?
「アル?ちょっと苦しいよ?」
そう言ったら、抱きしめられてた腕が緩んだ。
まだ、ちょっと視界が滲んでて、涙を拭こうかなって考えてたら、僕のメガネをアルが取った。
メガネを持っていない方の手で涙を拭き取られる。
「相変わらず、無防備だな」
は?
「それは、アルとは子供の頃からずっと一緒だから」
鏡越しにだけど、他の人より頻繁に顔を合わせてた。
「ずっと一緒なのは、あいつらだろ?レグルスとシリウス」
メガネを持ったまま返してくれない。
「幼馴染だし。領地に時々来て遊んでたような感じだよ?」
「あー、どいつも本当に報われないな」
何の事?何かしたっけ?
「どう言う事?」
「お前──自己評価、低すぎだからなぁ。恐ろしく鈍いし……はぁ」
ため息を、態とらしくつくアルをジッと見る。
「あの?何の?」
そう言いかけた時、メガネをかけなおされて、おでこに温かいものが触れた。
え?
「ルナ、すげぇ皆に大切にされている事、自覚しろよ?自分は必要とされて無いとか、1人で生きてくとかボケた事いつまでも言ってたら、マジで許さない」
皆に?ボケた事…?
「──たく。どーやったら、お前に自信を付けさせてやれんだろうな?」
なにやら、だんだんアルの声が小さくなって呟く感じになってきて聞き取りにくい。てか、おでこ。あれ、でこチュウだよね?なんで?
──まぁ、鈍いおかげで離れてた俺は、助かってんだけどなぁ。
また、ぶつぶつ言ってる。ハッキリ教えてよ!
「何?鈍いの僕?何か、気が付いてない事ある??殿下達に失礼な事している?お、教えてアル!」
なんか悔しくて睨んで見てみたけど、逆にアルはニヤリと笑った。
意地悪な時のアルの顔だ。
「課題が先。テストで結果が出せたら……教えてやらなくもない。悩め」
これ、結局教えてくれない奴なんじゃないの?
悔しい。
絶対に聞き出してやる!
殿下を寮室まで送った後、ソレイユ様もスピカと打ち合わせを寮内の談話室を使ってするみたいだ。
アルは、明日の午後に入寮してくるけど、きっと片付けとかで忙しいはず。それに少し2人だけで直接話したかった。
本来は、寮まで殿下達と一緒に戻るべきなんだけど、アルが一時的に滞在している宿泊施設みたいな所の戻る時間も考えたら、放課後すぐが良い事になった。レグルス殿下に早く行って早く戻れって言われて、今2人で図書室に向かっている。
フェルを殿下にと思ったんだけど、絶対に連れて行けと言われ2人っきりになるなと念押しされる。
何でだろう?ペアだもの。2人になるのは仕方ないと思うんだけど。
それでも、早く打ち合わせして、戻るようにしないとね。アルの入寮が済んで、落ち着いたら談話室とかでもう少し時間がかけられる。どうするか候補を挙げて、テストまでに実技練習をしないといけない。練習場所も確保する必要がある。
する事が山積みだ。図書室に入室しそのまま奥の個室に入った。
僕の立場としてレグルス殿下の護衛もちゃんと付きたいから、効率良く課題をこなそう。
「──ナ。ル、ナ?」
また、1人の世界に入ってしまう。
「ごめん、なさい。あの。護衛も僕の役割だからちゃんとしたいんだ。練習の時間短くなるかも知れないから。短い時間でも集中して頑張るから、お願いします」
頭を下げたら、頭をポンポンと優しく触れられる。
「でも、留学して来て問題なかったの?あまり、お兄さん達と上手くいってないんだよね?大丈夫?」
少し目を見開いたアルが、次の瞬間笑った。
「2人になるとストレートに聞いてくるな」
「だって!王子様なんでしよう?命とか狙われたりしない?」
「お前なぁ。自国の王子の護衛についてるんだろ?て、事は国内にいても国外でも狙われるのは何処の国の王子も同じなんだよ。その為に身を守る方法をちゃんと身に付けるんだ。生き残る為にさ。それは、あいつも同じ。そして、信頼出来る奴に側にいて欲しいって思うのもな」
そっか。
そうだよね。誰もがその身分を羨むけど、本人にとってそれが決して良いとは限らない。でも、逃げるわけには行かないから。
小説の中だと1人で、誰も信じず寄せ付けないそんな人だった。
強い。
強くなったんだね──アル。
「ア、ル」
思わず涙ぐむ。
滲んだ視界のせいで、アルが今どんな顔をしているのか分からない。
腕を引っ張られてムギュって抱きしめられた。
あの時もそうだったっけ?あの時泣きそうだったのは、アルだけど。
僕は相変わらず、成長が遅いから支えてあげる感じにならなくて。チビのまんまでスッポリと腕の中におさまってしまう。
本当に子供扱いのまんまだ。
恥ずかしい。
「ごめん。なんか、アル頑張って来たんだって思って。こんな事している場合じゃないよね。テストに向けて何にしようか話合うんだった。あーもう。親友の成長がこんなに嬉しいなんて。この先もずっと、親友でいてよ、アル」
にへらって、変な笑顔になっちゃったけど。ダレン兄様とシリウス兄様みたいにいつまでも、何でも言い合えたらいいなぁ。王子様と僕じゃ身分が違いすぎるかな?距離置かれたら、ちょっと切ないかも。
また、ギュって抱きしめられる。
どうかした?
「アル?ちょっと苦しいよ?」
そう言ったら、抱きしめられてた腕が緩んだ。
まだ、ちょっと視界が滲んでて、涙を拭こうかなって考えてたら、僕のメガネをアルが取った。
メガネを持っていない方の手で涙を拭き取られる。
「相変わらず、無防備だな」
は?
「それは、アルとは子供の頃からずっと一緒だから」
鏡越しにだけど、他の人より頻繁に顔を合わせてた。
「ずっと一緒なのは、あいつらだろ?レグルスとシリウス」
メガネを持ったまま返してくれない。
「幼馴染だし。領地に時々来て遊んでたような感じだよ?」
「あー、どいつも本当に報われないな」
何の事?何かしたっけ?
「どう言う事?」
「お前──自己評価、低すぎだからなぁ。恐ろしく鈍いし……はぁ」
ため息を、態とらしくつくアルをジッと見る。
「あの?何の?」
そう言いかけた時、メガネをかけなおされて、おでこに温かいものが触れた。
え?
「ルナ、すげぇ皆に大切にされている事、自覚しろよ?自分は必要とされて無いとか、1人で生きてくとかボケた事いつまでも言ってたら、マジで許さない」
皆に?ボケた事…?
「──たく。どーやったら、お前に自信を付けさせてやれんだろうな?」
なにやら、だんだんアルの声が小さくなって呟く感じになってきて聞き取りにくい。てか、おでこ。あれ、でこチュウだよね?なんで?
──まぁ、鈍いおかげで離れてた俺は、助かってんだけどなぁ。
また、ぶつぶつ言ってる。ハッキリ教えてよ!
「何?鈍いの僕?何か、気が付いてない事ある??殿下達に失礼な事している?お、教えてアル!」
なんか悔しくて睨んで見てみたけど、逆にアルはニヤリと笑った。
意地悪な時のアルの顔だ。
「課題が先。テストで結果が出せたら……教えてやらなくもない。悩め」
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絶対に聞き出してやる!
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