【本編完結】イケメンの皆様、主人公はあちらですよ。

Shizukuru

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第6章 学園編☆1年生

2クラスメート

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じっと、スピカを見てしまったせいで、カストル様に声をかけられた。
「気になる奴でもいるの?」

ちょっと意地悪そうに笑うカストル様に、なんて答えるか考える。

「あ、珍しいピンク色の髪の毛が気になってしまって…名前をご存じですか?」
平静を装う。

「ん?あの子?スピカ・グレンジャーだよ。グレンジャー子爵子息。なんか、殿下や俺達を気にしているっぽいね」
カストル様がそう言うので、スピカの方を見ると、隣りの人が立ち上がった。首を横に振るスピカの手を握って、階段上になっているこちらへと近づいて来た。

けれど……スッとソレイユ様が席を立ち一段低い所で2人を止めた。

「何かようか?」
低い声でゆっくりと話す。一瞬優しそうに聞こえるけど目が笑ってない。

スピカが少しビクッとしたのが分かった。
すると、もう1人が話し始めた。

「僕、リゲル・スペンサー、スペンサー男爵家の長子になります」
そう言ったリゲルは、にっこりと微笑む。スピカより少し背の高いふわふわ茶髪で緑色の目をした可愛らしい系の男の子だ。もちろん、殿下達よりは背が低い。

「スピカが……カストル様に入学式の時のお礼をしたいそうなので、お話する機会をいただけないかと思って。それと……」

リゲルが僕に視線を送って来た。

「その人は誰ですか?入学式にも昨日も居ませんでしたよね?レグルス様の横に座るなんて……ちょっと、どうかしている思って。いくら学園内はでも駄目ですよね?きっと、レグルス様が優しいから、甘え過ぎじゃないかなって」

あ。

一気に温度が下がる。

ソレイユ様もカストル様もシス兄様に視線を送る。
籠に入っていた、フェルが長机の上に登って来た。

「彼は、ルナ・フォレストだ。入学式の日に熱を出したから、今日から出席するだけだ。このクラスの生徒で何の問題もない。それに殿下の側近候補だ」
ソレイユ様が、僕の事を紹介してくれた。

納得がいかないのか、スピカに何か囁いてまた僕を一瞬睨み付けてきた。多分、僕にしか見えないように睨まれた気がする。

「休んでいたから、甘えても良いとか勘違いじゃないのかな?レグルス様に媚びを売って側近候補とか、僕だったら恥ずかしいけどな」

「俺の話聞いてるのか?フォレスト辺境伯のご子息だぞ。レグルス様の側にいてなんの問題もない」
ソレイユ様が、庇ってくれているけど、なんて説明したら納得してくれるのか分からなくて黙っていた。

苦情を言うリゲルの雰囲気に悪意を感じたみたいで、フェルが反応し始めた。

「駄目、駄目だよ!フェル!」
思わずフェルを抱きしめた。

スピカと目が合う。

「学園内は平等なのに。身分で、その席を手に入れるなんてズルいと思う。それに、何で獣を教室に入れてるの?本当に図々しくない?スピカみたいに可愛いくて良い子なら分かるよ?それにスピカは、カストル様となんだから、優先されるべきだと思うんです。カストル様は公爵家なんだから。辺境伯なんて、気にしなくていいよスピカ!
だから、スピカとがこっちの席で交流を深めると良いと思いませんか?ソレイユ様もこの子を前の席にするべきです。ほら小さいし目悪いんだから前の席と変わってあげるよ」

会話が成り立たないリゲルに、皆呆れているし、シス兄様はイライラしているのが分かる。突然、僕はリゲルに腕を引っ張られそうになった。

パシンと何かが反応して、その手を弾いた。
「いっ、た」

リゲルが一瞬驚いた顔をしてさらに睨みつけられる。

「痛~ぃ。ひどぃ、ねぇスピカこの子魔術で、嫌がらせするよ。性格悪くない?カストル様、レグルス様見たでしょ?ソレイユ様、カストル様~治療室案内していただけませんか?怪我しちゃった」

一気に剣呑な空気に包まれていく。このままだと、まずい気がする。

「あの、僕は殿下の──」
それと重なるように、呆れ顔のカストル様が話しかける。
「ルナは、殿下の──」
と説明しようとした時、リゲルがまた、手を伸ばしてきた。

それに、フェルが反応して、爪を立てて今にも飛びかかろうとした。
やばい。こんな事で、フェルが悪者になったら嫌だよ。
ギュッと抱きしめて、飛び出さないでとフェルを止めた為、爪が僕の腕に食い込んだ。
袖が破れ血が流れ落ちる。制服が赤く染まり始めた。


「何?本当に躾がなって無い獣を教室に連れて来ないでよ!僕が怪我したら責任取れんの?大した怪我してないのに大袈裟にしないでよ。飼い犬にやられるって自業自得。君さ、本当は、2組とか3組でしょ?さっさと、出ていきなよ」


血───だ。
うぁ……や、だ。しっかりしなきゃ。だ、大丈夫。しん、こきゅうしたら、へいき……
貧血みたいになって、足に力が入らない。

誰かが側に来た。抱きしめられて支えられる。
雷の日に抱きしめられた時、微かに良い匂いがした。あの時と同じ匂いだから、レグルス様だと分かってホッとする。

空間が歪んで、炎の色が見えた。イフリート様?

さらに黒い霧が見えた。これ、この気配ってもしかして──?

誰かが僕の頭を一瞬だけ触れた。

「待ってろ、ルナ」

どうして?
隣国の大切な親友──ここにいるはずのない、アルの声がした。


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