【本編完結】イケメンの皆様、主人公はあちらですよ。

Shizukuru

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第4章 学園入学準備

7閑話☆スピカの入寮

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いよいよ、学園がスタートする。
ピンク色の髪をサイドに一つにまとめて、鞄に2つ程の荷物の中身を確認する。

もう、入学許可はもらっているし、制服も届いた。小説の挿絵通りで、気持ちが上がる。
なんか、サイズが気になるけど。
体操服と教科書は学校受け取りだけど、制服は出来上がりのサイズ確認があるから領地に届いた。

同級生に殿下がいる事で、今回の入学生に問題のある者がいないかは、かなり厳しく確認されたみたい。

入学出来て良かった。

グレンジャー子爵領は、王都から外れた小さな領地だ。特出した特産品も無くて、貧しい土地。
領地の事や勉強も頑張ってきたから、子爵様の期待もひしひしと伝わる。

良縁を掴んで来いって、期待が大きい。主人公だけあって、見た目は良いと思う。

ただ、中身が俺なんだよ。

前世ほど運が悪いとは思わないんだけど、妙にタイミングが悪いんだよ。

お茶会の誘いは、終わった後に届くとかさ。
服装の指定があったのに連絡がなかったり。集合場所が違うとか、何で?

主人公チートはあるっぽくて、問題が起きても何とかなったりするから、前よりマシかな。
勉強も、日本時代より簡単で、暗記とかもチートなのか覚えがいい。
でも、これに浮かれてはいけない。怠慢になったら、きっとバチが当たる気がする。
前世よりは、良い人生になったらいいな。

てか、制服さ……サイズおかしいよね?デカい。誰かと間違っているのかな?制服と体操服と教科書は、支給品だからお金はかからない。もちろん、上位のお貴族様は、布地にこだわって特注する場合もあるみたいだけど。
そんな無駄は、出来ない。

「お父様、制服のサイズが合わないのですが……間違いでしょうか?」
ぶかぶかの制服を見せた。

「あー。スピカがね、3年間で大きくなるかなって、思ってだな。採寸後に足したんだよ。ちょっと大きかったかな?はははっ」

ええっ。

「いや、ちょっとじゃないでしょう?」
だって、少し足してたんだよ。それをさらに足すなんて……

「まあ、折り曲げてなんとかなるだろう?」

長さはどうにかなるけど、横幅は無理だ。

「は、早めに王都に行って補正をお願いしてみます」
うちの領内で補正してたら、入学式に間に合わないパターンだ。

「あ、ああ。うん。そうだね。気をつけて行くんだよ。君には期待しているからね!男の子でも女の子でも構わないから、経済力のある家の方と仲良くなって来ておくれ」

だったら、余計な事やめてー。



なんて、事があって早めに王都に来た。オンボロの馬車だから、お尻から腰が痛い。
補正のお店に懇願して、前日には出来上がる事も分かってホッとした。
2日前位に入寮するつもりが、思ったより早く入寮する事になった。

まぁ、いっか。
俺は、一般寮の1階の角の部屋だ。殿下達は、2階の貴賓エリアで同じフロアには、一般でも高位の貴族子息が入寮する。
さすがに、殿下達が早く入寮するとは思えない。



入学式のイベント──レグルス殿下と桜に似た花、ライラのピンク色の花びらの散る中で出会う。
殿下は、受けた呪いのせいで苦しそうにライラの木にもたれてて。側近の皆さんが慌ててたっけ。

そこに、俺が声をかける。
その時不思議な力が溢れて、殿下を癒すんだよね。
うん、定番だな。

とりあえず、出会いはこなした方がいいよね?

小説では、そこから殿下がグイグイ来たけど、現実的に子爵家だよ?パートナーになれるとは思えないから。
お近づきになって、社交を頑張ってお知り合いを紹介してもらえたらオッケーかな。

なんとか、子爵家を立て直して行けたら良いな。伯爵家だったら合格。同じ子爵家でも良いんだけどな。


制服、間に合うかな……
それにしても、2階にも誰か荷物運んでるのかな?
ちょっと騒がしいなぁ。
こう言うのは、巻き込まれたら大変だ。身分が低いから手伝わされるかも知れない。

うん。ちょっと、外に出てみよう。


知らなかったんだ。
2階に居たのは、攻略対象の4人だった事を。
しかもその後、1階の談話室で超美形の先生とシリウス様が事を。

外から戻って来た時、隣の部屋に入寮する男爵子息が挨拶をしにやって来た。
興奮して鼻息荒く、目の保養だったと聞かされた。

嘘──
そのまま寮にいたら、会えたの?



 
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