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第4章 学園入学準備
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「荷物は、これ?」
家具は、備え付けがあるらしいし、着替えとか、本が多いかな?
紅茶とかハーブティーとかも好きだから、お茶の葉と茶器は多いかも。
「うん。多いかな?」
「いや、少ないくらいじゃないか?空間バッグに入れていこう。足りない物とか、持っていた方が良い物を教えるから、揃えに城下に行こうか?」
「本当に?いいの?」
「この邸には、転移ポイントがあるんだ。ダレンと学生時代にセットしたから」
へ?
「転移?」
「王城、寮、城下のアパート」
「なんで、城?」
「殿下の護衛もするからね。非常用だよ。それにお忍びで城下も行きたいだろうし」
「そっか、殿下のため?」
「それだけじゃないんだけどね」
クツクツと、笑う。ちょっと悪戯を考えてる時の顔だ。
「とりあえず、鍵も預かっているし、寮に行くか?ダレンの許可もあるし。殿下も連れて来いって言ってたぞ。その時は、メガネな?」
──会わせたくないけどね。
「何か言った?」
「いや。メガネは俺とルナの家族の前だけは、外して大丈夫だけど…他は駄目だぞ?」
「はい」
結局、小さくて華奢な僕は、女の子っぽい顔だから、他の学生に舐められないように認識阻害のメガネを付けたままだ。
ソックリ3兄弟で通っている。
もちろん、モブ役だし全然問題ない。
今日は荷物を詰め込んで、一旦寮に行く。片付け等は出来る範囲でして、その後は殿下に挨拶する。
明るいうちに城下の街へ行く。
最新の魔道具とか見たい。文房具も気になる。
夕食は、邸に戻ってダレン兄様と一緒に食事をする。
シス兄様は、ラフな白シャツに黒いベスト、黒のズボンに皮のブーツ。ローブを羽織ると──鼻血出そう。
銀髪に付けてくれている飾り紐は緑色だ。小さなエメラルドの石が紐の先端に1個づつ付いてるだけのシンプルな物だ。
僕からの卒業のお祝いだった。
以前から、緑色が好きだって言ってたから領地の邸に来た商人の方に僕でも買える金額で探したんだ。エメラルドのグレードが低くて、安物だから恥ずかしかった。それでもシス兄様は、とても喜んでくれた。
我が家の空き部屋に転移ポイントを作ったらしくて、寮の書籍整理室(名ばかりの立ち入り禁止の個室らしい)に移動出来るみたい。
寮に小さめの図書室がある。それは、小説の知識として残っていた。
その隣りに勉強用の個室も数部屋あって、その横に書籍整理室があるんだって。
今からそこへ、シス兄様と移動をする。
向かい合わせになって、スッポリと腕におさまる。
だから、近くない?
自分の手をどこに置いていいのか分からず、モジモジしていると……
「ルナ。俺の背に手を回して。その方が、ぐらつかないから」
躊躇ってた手をローブの隙間から背中へと回す。
着痩せするんだなって、シス兄様の鍛えている筋肉を感じて、赤面してしまう。ピッタリくっついているから、赤い顔は見えてなくて良かった。
グラつかないためって言うけど。
──恥ずかしいよ。
眠たい時ならまだしも、目がバッチリ覚めているから、やばい。
心臓のドキドキが伝わっているかも。落ち着け、僕。
フェルも足元にくっついて来た。
「初めてだと、気持ち悪るくなるかも。しっかり抱きついてろよ?」
背に回された手にドキドキしてたけど……今は少し、気持ち悪い。
思わず、シス兄様の胸の辺りに顔を埋めてしまう。
トントンって優しく背をノックされる。
キャンプでの定番でトントンとあやされて寝かしつけられるんだよね。キャンプで騒いで興奮して寝付けないから、ごろ寝の時いつも、シス兄様が横に居るんだよね。
いまだに、子供扱いなんだなぁ。
「寝てないよね?」
「お、起きてるよ!ちょっと、思い出しただけ」
思わず、シス兄様を見上げたら、それはもう、優しい顔している。
こんな顔されたら、普通惚れちゃうんじゃないの?
もう、色気やら、色々ダダ漏れだよ!
スピカとか好きな子にだけしなよ!
立ち入り禁止の場所から、こっそり2人で出ると本当に寮の中で、なんか2人で秘密を共有しているみたいで、ドキドキする。
一つ上のフロアへと階段を登ると、一般学生用と貴賓関係者と分けられていた。護衛が立っている。
一般学生部屋の基本は、個室でトイレ付き。
少し多めの寮費を払って個室にシャワー付きで広めの部屋に出来るみたい。
僕は、何故か貴賓側になっているから2部屋、シャワー、トイレ付きみたい。広い。
隣りにシス兄様の部屋があって同じ作りみたい。
お父様達に頼まれて部屋が内側で扉続きになっているんだって。
よく熱を出すのを心配されているみたい。
でも、護衛なんだから殿下の部屋と繋がるべきって思ってたら。
繋がっているらしい。どこで繋がっているかは流石に秘密なんだって。
レグルス殿下は反対側の部屋でこちらは、僕の部屋の倍はあるみたい。
その殿下の隣りにカストル・ローランド様。その隣りがソレイユ・クラーク様だ。
いわゆる、コの字になった感じの寮部屋の作りだ。
第5の攻略対象のアルファルド・グランデ王子は、流石にこちら側には居ない。
きっと反対側の特別室になるんじゃないかな?
6の月辺りで編入して来た気がするしね。
何故か手を繋いだまま、廊下を歩きもう少しで、僕の部屋っていう所で呼び止められた。
見た事もない、背の高い男の人。
20代後半かな?
ダークブロンドを少し撫で付けたような前髪、琥珀の瞳──
この人、どこかで会ったかな?
「シリウス君。新入生のルナ・フォレスト君だよね?少し、彼と話したいのだが──良いかい?」
「クロス・アルデバラン先生、どうしてここに?いくら先生でも、貴賓エリアは許可されないのでは?」
シス兄様の雰囲気が変わった。
「貴賓エリアだからこそですよ。レグルス殿下に言い寄る者が居ては、困るでしょう?」
クロス・アルデバラン先生?
こんな、イケメンの先生っていた?
その時の僕は、そんな事しか考えていなかったんだ。
家具は、備え付けがあるらしいし、着替えとか、本が多いかな?
紅茶とかハーブティーとかも好きだから、お茶の葉と茶器は多いかも。
「うん。多いかな?」
「いや、少ないくらいじゃないか?空間バッグに入れていこう。足りない物とか、持っていた方が良い物を教えるから、揃えに城下に行こうか?」
「本当に?いいの?」
「この邸には、転移ポイントがあるんだ。ダレンと学生時代にセットしたから」
へ?
「転移?」
「王城、寮、城下のアパート」
「なんで、城?」
「殿下の護衛もするからね。非常用だよ。それにお忍びで城下も行きたいだろうし」
「そっか、殿下のため?」
「それだけじゃないんだけどね」
クツクツと、笑う。ちょっと悪戯を考えてる時の顔だ。
「とりあえず、鍵も預かっているし、寮に行くか?ダレンの許可もあるし。殿下も連れて来いって言ってたぞ。その時は、メガネな?」
──会わせたくないけどね。
「何か言った?」
「いや。メガネは俺とルナの家族の前だけは、外して大丈夫だけど…他は駄目だぞ?」
「はい」
結局、小さくて華奢な僕は、女の子っぽい顔だから、他の学生に舐められないように認識阻害のメガネを付けたままだ。
ソックリ3兄弟で通っている。
もちろん、モブ役だし全然問題ない。
今日は荷物を詰め込んで、一旦寮に行く。片付け等は出来る範囲でして、その後は殿下に挨拶する。
明るいうちに城下の街へ行く。
最新の魔道具とか見たい。文房具も気になる。
夕食は、邸に戻ってダレン兄様と一緒に食事をする。
シス兄様は、ラフな白シャツに黒いベスト、黒のズボンに皮のブーツ。ローブを羽織ると──鼻血出そう。
銀髪に付けてくれている飾り紐は緑色だ。小さなエメラルドの石が紐の先端に1個づつ付いてるだけのシンプルな物だ。
僕からの卒業のお祝いだった。
以前から、緑色が好きだって言ってたから領地の邸に来た商人の方に僕でも買える金額で探したんだ。エメラルドのグレードが低くて、安物だから恥ずかしかった。それでもシス兄様は、とても喜んでくれた。
我が家の空き部屋に転移ポイントを作ったらしくて、寮の書籍整理室(名ばかりの立ち入り禁止の個室らしい)に移動出来るみたい。
寮に小さめの図書室がある。それは、小説の知識として残っていた。
その隣りに勉強用の個室も数部屋あって、その横に書籍整理室があるんだって。
今からそこへ、シス兄様と移動をする。
向かい合わせになって、スッポリと腕におさまる。
だから、近くない?
自分の手をどこに置いていいのか分からず、モジモジしていると……
「ルナ。俺の背に手を回して。その方が、ぐらつかないから」
躊躇ってた手をローブの隙間から背中へと回す。
着痩せするんだなって、シス兄様の鍛えている筋肉を感じて、赤面してしまう。ピッタリくっついているから、赤い顔は見えてなくて良かった。
グラつかないためって言うけど。
──恥ずかしいよ。
眠たい時ならまだしも、目がバッチリ覚めているから、やばい。
心臓のドキドキが伝わっているかも。落ち着け、僕。
フェルも足元にくっついて来た。
「初めてだと、気持ち悪るくなるかも。しっかり抱きついてろよ?」
背に回された手にドキドキしてたけど……今は少し、気持ち悪い。
思わず、シス兄様の胸の辺りに顔を埋めてしまう。
トントンって優しく背をノックされる。
キャンプでの定番でトントンとあやされて寝かしつけられるんだよね。キャンプで騒いで興奮して寝付けないから、ごろ寝の時いつも、シス兄様が横に居るんだよね。
いまだに、子供扱いなんだなぁ。
「寝てないよね?」
「お、起きてるよ!ちょっと、思い出しただけ」
思わず、シス兄様を見上げたら、それはもう、優しい顔している。
こんな顔されたら、普通惚れちゃうんじゃないの?
もう、色気やら、色々ダダ漏れだよ!
スピカとか好きな子にだけしなよ!
立ち入り禁止の場所から、こっそり2人で出ると本当に寮の中で、なんか2人で秘密を共有しているみたいで、ドキドキする。
一つ上のフロアへと階段を登ると、一般学生用と貴賓関係者と分けられていた。護衛が立っている。
一般学生部屋の基本は、個室でトイレ付き。
少し多めの寮費を払って個室にシャワー付きで広めの部屋に出来るみたい。
僕は、何故か貴賓側になっているから2部屋、シャワー、トイレ付きみたい。広い。
隣りにシス兄様の部屋があって同じ作りみたい。
お父様達に頼まれて部屋が内側で扉続きになっているんだって。
よく熱を出すのを心配されているみたい。
でも、護衛なんだから殿下の部屋と繋がるべきって思ってたら。
繋がっているらしい。どこで繋がっているかは流石に秘密なんだって。
レグルス殿下は反対側の部屋でこちらは、僕の部屋の倍はあるみたい。
その殿下の隣りにカストル・ローランド様。その隣りがソレイユ・クラーク様だ。
いわゆる、コの字になった感じの寮部屋の作りだ。
第5の攻略対象のアルファルド・グランデ王子は、流石にこちら側には居ない。
きっと反対側の特別室になるんじゃないかな?
6の月辺りで編入して来た気がするしね。
何故か手を繋いだまま、廊下を歩きもう少しで、僕の部屋っていう所で呼び止められた。
見た事もない、背の高い男の人。
20代後半かな?
ダークブロンドを少し撫で付けたような前髪、琥珀の瞳──
この人、どこかで会ったかな?
「シリウス君。新入生のルナ・フォレスト君だよね?少し、彼と話したいのだが──良いかい?」
「クロス・アルデバラン先生、どうしてここに?いくら先生でも、貴賓エリアは許可されないのでは?」
シス兄様の雰囲気が変わった。
「貴賓エリアだからこそですよ。レグルス殿下に言い寄る者が居ては、困るでしょう?」
クロス・アルデバラン先生?
こんな、イケメンの先生っていた?
その時の僕は、そんな事しか考えていなかったんだ。
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