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第3章 隣の幼馴染
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お父様が、子供だけのキャンプを許可してくれた!
別邸の庭先だから、危険も無い。
精鋭の護衛騎士ばかりだし、遠巻きに見守ってくれるみたい。
学園でも、キャンプのイベントがあったから、その前に経験するのも良いよね。
ほら、経験者って響きかっこいいよね。
テントって、どんなのかな?
なんて思ってたら……めちゃくちゃ大きいよ。子供5人だよ?
三角の小さいのじゃなくて、テレビで見た事がある海外の遊牧民のお家みたい。リビングとベッドルームがあってどちらも床にフカフカのジュータンが敷かれている。
このテントが特別かと思ったんだけど……どうやら学園でもこんな感じらしい。
空間魔術が施されたリュックを班に1つ配られるみたい。
テントとか食器に食材、寝具を詰め込んで運ぶんだって。重さは、リュック自体の重さだけって、びっくりだよ。
さすがにベッド本体は持って行かないらしいから、このテントの中と同じでふかふかジュータンに柔らかいマットレスみたいな物を敷いて寝るんだって。
うわー。これに5人で、並んで寝ちゃうんだね。確か、スピカと王子様のイベントがキャンプであったよね?
意外に寝相の悪い王子様が、スピカにチュウしちゃうやつ。
寝相悪い王子様なんて、嘘っぽいからワザとじゃないかって思うんだけど……
今はまだ子供だから、寝相は本当に悪いかも。ふふ。
思わず、そんな想像したら、恥ずかしくなって、照れ隠しに飛び込んでみたらお兄様に笑われた。
「はしゃぎ過ぎ。怪我するなよ?」
優しいダレン兄様の声。
「はーい」
おまけにフェルも飛び込んで来たから、一緒にゴロゴロしてみる。
もこもこのフェルが気持ちいい。
シス兄様が、近づいて来て僕を抱きかかえた。
「ご飯作りしてみる?」
そう聞かれた。
「やりたい!」
そう言ったら、頭を撫でられる。
「シリウスって、本当にルナに甘々だな」
レグルス殿下の声が聞こえた。
そうかな?
優しいだけだよー。と心の中で呟く。
「俺達だって、ルナを可愛がりたい。シリウス!ルナを返せ」
ロイド兄様が、僕をヒョイっと抱きかえた。
「ロイド兄もダレンも、ずっと一緒にいれるじゃないか。昨日来たばっかりの俺にルナの面倒見させてくれてもいいだろう?」
えー。抱っこは、もういいのに。
せっかくのキャンプだし、それっぽい事したい!
「料理を教えてシス兄様。せっかくなら、キャンプっぽい事したいよ」
氷の華の息子なんて嘘みたい…柔らかい笑顔を返されて照れてしまう。これも、幼馴染ポジなのかな?
シス兄様、優しすぎる。
「ルナ。お前、シリウスに甘え過ぎたら何にも出来なくなるぞ?」殿下が呆れてる。くっつき過ぎたかな?
余計な事を──
「えっ?シス兄様、何か言った?」
「なんでもないよ?外でバーベキューだよ。野菜とかお肉を串に刺そうか?」
「はい。楽しみです」
それからは、準備に食事に楽しくて、仕方無くて。
いつもより夜更かしして、夜空の星を眺める。
星が、綺麗。
流星群──
ここが、今の僕の現実世界。
スピカが攻略対象の誰かと両思いになると、誰かが失恋するんだよね。ハッピーエンドって、みんな平等には起きない。当たり前だけど。
小説の中は、IFがあったけど。
現実にIFを試すって事は、思わせぶりに振り回したりするのかも知れないよね。
うーん。
なんとなく、嫌だなって思うのは、レグルス殿下とシス兄様が、傷ついて欲しくないから。
でも、僕が口を挟む事じゃない──
「ルナ?眠くなった?」
シス兄様が優しく笑う。
シス兄様が選ばれたら、納得だなぁ。殿下も友達になったから、応援したいし。
学園が始まるのは、まだ先だから
ちょっとだけ甘えてもいいかな?
横に来た、シス兄様に抱きつく。
トントンと背中を優しく優しく触れられる。
フェルまでくっついて来たから、気持ち良くなってまぶたがくっつく。このまま寝たら、怖い夢みないかな?
だんだんと、意識が沈んでいった。
◇◇◇◇
「ルナ、疲れたんだな」
シリウスの腕の中で、眠ってしまったルナを見て、ダレンが小声で話す。
「まあね。ただでさえ、華奢で体力がないからね」
ロイドが、優しくルナを見て言う。
本当に2人の兄に愛されてるんだな。幼馴染のシリウスの隠さない気持ちが伝わる。
多分、ルナだけが気が付いていない。
「シリウスは、なんでルナが良いんだ?ダレンだって仲が良いだろ?」
三兄弟そっくりなのだ。
だったら、気心の知れた幼馴染が良い気がした。素朴な疑問だ。
嫌なそうな顔をお互いにダレンとシリウスがする。
「ダレンは、大切な友人です。ルナは、俺の特別なんです。殿下は好きな子はいないのですか?」
「──この、領地で精霊を見た。初めて、可愛いと思った。でも、人外なんてダメだろう?
それに見目がいい奴に引っかかるなって、ずっと言われてたのに顔を気にいるなんて。
ルナがその、可愛くないとかじゃなくて。見た目そっくりの兄弟だけど、ルナを選んだんだと思って……」
俺は何を言ってるんだろう?皆も黙ってしまった。少し苦笑いの兄弟に、何やら考えているシリウス。
ルナは、俺のせいで呪いを受けたんだ。中身が良い子に間違いない。
この先、俺の立場だけに擦り寄る奴は更に増えるはずだ。
見た目に惑わされないようにしないと。騙されて、呪いを受けるようなヘマは、2度としない。俺は、ルナの呪いを解決しないと駄目だ。
その後、明日どうする?なんて会話を少しだけした。
夜も更けて、みな言葉数が減って来た。
「もう、灯りを落としましょう。ルナが真っ暗は駄目なので、少し明るいですが。我慢してください」
ロイドがそう言うと、少しだけ、テント内が暗くなった。
みな、マットの上に横たわる。
ルナは、シリウスとダレンの間に寝かされている。フェルがシリウスとルナの間に割って入った。
邪魔してるようにしか見えない。
フェルなりに、ルナを守ってるみたいだ。こんなに大切にされている子を巻き込んでしまった。
俺、勉強も魔術も、甘えずにちゃんとやる。必ず解呪の方法を調べるから。
今は、力が無くてごめんな、ルナ。
別邸の庭先だから、危険も無い。
精鋭の護衛騎士ばかりだし、遠巻きに見守ってくれるみたい。
学園でも、キャンプのイベントがあったから、その前に経験するのも良いよね。
ほら、経験者って響きかっこいいよね。
テントって、どんなのかな?
なんて思ってたら……めちゃくちゃ大きいよ。子供5人だよ?
三角の小さいのじゃなくて、テレビで見た事がある海外の遊牧民のお家みたい。リビングとベッドルームがあってどちらも床にフカフカのジュータンが敷かれている。
このテントが特別かと思ったんだけど……どうやら学園でもこんな感じらしい。
空間魔術が施されたリュックを班に1つ配られるみたい。
テントとか食器に食材、寝具を詰め込んで運ぶんだって。重さは、リュック自体の重さだけって、びっくりだよ。
さすがにベッド本体は持って行かないらしいから、このテントの中と同じでふかふかジュータンに柔らかいマットレスみたいな物を敷いて寝るんだって。
うわー。これに5人で、並んで寝ちゃうんだね。確か、スピカと王子様のイベントがキャンプであったよね?
意外に寝相の悪い王子様が、スピカにチュウしちゃうやつ。
寝相悪い王子様なんて、嘘っぽいからワザとじゃないかって思うんだけど……
今はまだ子供だから、寝相は本当に悪いかも。ふふ。
思わず、そんな想像したら、恥ずかしくなって、照れ隠しに飛び込んでみたらお兄様に笑われた。
「はしゃぎ過ぎ。怪我するなよ?」
優しいダレン兄様の声。
「はーい」
おまけにフェルも飛び込んで来たから、一緒にゴロゴロしてみる。
もこもこのフェルが気持ちいい。
シス兄様が、近づいて来て僕を抱きかかえた。
「ご飯作りしてみる?」
そう聞かれた。
「やりたい!」
そう言ったら、頭を撫でられる。
「シリウスって、本当にルナに甘々だな」
レグルス殿下の声が聞こえた。
そうかな?
優しいだけだよー。と心の中で呟く。
「俺達だって、ルナを可愛がりたい。シリウス!ルナを返せ」
ロイド兄様が、僕をヒョイっと抱きかえた。
「ロイド兄もダレンも、ずっと一緒にいれるじゃないか。昨日来たばっかりの俺にルナの面倒見させてくれてもいいだろう?」
えー。抱っこは、もういいのに。
せっかくのキャンプだし、それっぽい事したい!
「料理を教えてシス兄様。せっかくなら、キャンプっぽい事したいよ」
氷の華の息子なんて嘘みたい…柔らかい笑顔を返されて照れてしまう。これも、幼馴染ポジなのかな?
シス兄様、優しすぎる。
「ルナ。お前、シリウスに甘え過ぎたら何にも出来なくなるぞ?」殿下が呆れてる。くっつき過ぎたかな?
余計な事を──
「えっ?シス兄様、何か言った?」
「なんでもないよ?外でバーベキューだよ。野菜とかお肉を串に刺そうか?」
「はい。楽しみです」
それからは、準備に食事に楽しくて、仕方無くて。
いつもより夜更かしして、夜空の星を眺める。
星が、綺麗。
流星群──
ここが、今の僕の現実世界。
スピカが攻略対象の誰かと両思いになると、誰かが失恋するんだよね。ハッピーエンドって、みんな平等には起きない。当たり前だけど。
小説の中は、IFがあったけど。
現実にIFを試すって事は、思わせぶりに振り回したりするのかも知れないよね。
うーん。
なんとなく、嫌だなって思うのは、レグルス殿下とシス兄様が、傷ついて欲しくないから。
でも、僕が口を挟む事じゃない──
「ルナ?眠くなった?」
シス兄様が優しく笑う。
シス兄様が選ばれたら、納得だなぁ。殿下も友達になったから、応援したいし。
学園が始まるのは、まだ先だから
ちょっとだけ甘えてもいいかな?
横に来た、シス兄様に抱きつく。
トントンと背中を優しく優しく触れられる。
フェルまでくっついて来たから、気持ち良くなってまぶたがくっつく。このまま寝たら、怖い夢みないかな?
だんだんと、意識が沈んでいった。
◇◇◇◇
「ルナ、疲れたんだな」
シリウスの腕の中で、眠ってしまったルナを見て、ダレンが小声で話す。
「まあね。ただでさえ、華奢で体力がないからね」
ロイドが、優しくルナを見て言う。
本当に2人の兄に愛されてるんだな。幼馴染のシリウスの隠さない気持ちが伝わる。
多分、ルナだけが気が付いていない。
「シリウスは、なんでルナが良いんだ?ダレンだって仲が良いだろ?」
三兄弟そっくりなのだ。
だったら、気心の知れた幼馴染が良い気がした。素朴な疑問だ。
嫌なそうな顔をお互いにダレンとシリウスがする。
「ダレンは、大切な友人です。ルナは、俺の特別なんです。殿下は好きな子はいないのですか?」
「──この、領地で精霊を見た。初めて、可愛いと思った。でも、人外なんてダメだろう?
それに見目がいい奴に引っかかるなって、ずっと言われてたのに顔を気にいるなんて。
ルナがその、可愛くないとかじゃなくて。見た目そっくりの兄弟だけど、ルナを選んだんだと思って……」
俺は何を言ってるんだろう?皆も黙ってしまった。少し苦笑いの兄弟に、何やら考えているシリウス。
ルナは、俺のせいで呪いを受けたんだ。中身が良い子に間違いない。
この先、俺の立場だけに擦り寄る奴は更に増えるはずだ。
見た目に惑わされないようにしないと。騙されて、呪いを受けるようなヘマは、2度としない。俺は、ルナの呪いを解決しないと駄目だ。
その後、明日どうする?なんて会話を少しだけした。
夜も更けて、みな言葉数が減って来た。
「もう、灯りを落としましょう。ルナが真っ暗は駄目なので、少し明るいですが。我慢してください」
ロイドがそう言うと、少しだけ、テント内が暗くなった。
みな、マットの上に横たわる。
ルナは、シリウスとダレンの間に寝かされている。フェルがシリウスとルナの間に割って入った。
邪魔してるようにしか見えない。
フェルなりに、ルナを守ってるみたいだ。こんなに大切にされている子を巻き込んでしまった。
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