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第3章 隣の幼馴染
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シリウスが、フォレスト辺境伯領にやって来た。
療養もあと少しだけ滞在して、帰りにフォーマルハウト領に寄ってから王都に戻ろうと思っていた。
その時に、聞きたい事があった。
ダレンとシリウスは、同い歳だから昔から仲が良いそうだ。
交流も頻繁で4兄弟のようだと聞いている。
ダレンと仲が良いのは分かる。分かるが……ルナにべったりなのはどういう事だ?
談話室は広くて、ゆったりとしたソファが配置されている。
テーブルには、果物やデザートが並んでいて、侍女がお茶を用意し始めた。
そう、広いのだ。
ロイドとダレンが大人が3人座れそうなソファに2人で座った。
俺も3人がけに1人で座る。
だけど──シリウスが1人がけのソファ(大人用だけど)にルナと座る。
フェルがルナの膝に乗ろうとしたら、食事をするからとドアの所にステイさせている。
ルナが精霊なんですよって言っても、他家での食事の時に精霊って紹介出来ないでしょう?だったら、慣れさせないとね。我慢してもらいましょう等とルナを説得した。
もしかして、精霊がルナの膝に乗るのも嫌なのか?
ロイドとダレンは、何も言わない。慣れているのか?シリウスってこんなんだったか?
ジッと様子を見ていたら声をかけられた。
「レグルス様。元気になって何よりです。陛下達も喜ばれるでしょうから、先に帰っても良いですよ?私は、こちらで鍛錬しますし、ルナに魔術を教える約束もしてたので、しばらく滞在しようかと思っています」
なんなんだ?
「あ、鍛錬をしに来たのか。明日は、フォレスト領の湖に釣りに行こうと誘われていたのだが、シリウスは行かないのか?」
シリウスがルナを膝に乗せた。
何故だ?
「ルナ、釣りはあのポイントで一緒にしよう。案内してくれるか?」
ルナが照れている。
でも、何て言うか……凛々しいから微妙だ。
「レグルス殿下にも、教えて3人で釣りませんか?」
そう、ルナが答えていた。
おい、俺を見るシリウスの目が笑ってないぞ。
「ダレン、レグルス様にもう一つのポイントを教えてやってくれ。そうだな、どちらが良く釣れるか競いましょう。なのでルナ、殿下とは別々にしよう。ロイド兄は、護衛の1人と組めば良いよね?」
ダレンとロイドが首を縦に振り
2人で呆れた顔をする。もしや、これがシリウスの通常なのか?
王宮で会う時と全然違うじゃないか!クールで、さすが氷の華のご子息ですねって、あれは仮の姿なのか?
確かに、ルナは可愛いから手を出すなって言われたけど。
三兄弟、同じ顔だぞ?
華奢で小さいのは、可愛いだろうけど……
あの小さな身体で、俺の呪いを受けてくれたんだよな。
激痛はないって、あの人が言ったみたいだから。それは安心した。
その代わり、発熱は防御反応的に出るみたいだ。呪いが入り込まないように身体が守りに入るから、熱が出る。
それは、あの人でも解呪出来ない物で。ルナに移った呪いの解呪の条件は極秘だからと教えてもらえなかった。ルナが呪いを受けた事と解呪については、ロイドとダレンに教えてないと言っていた。
家族に溺愛されているからかな?と思ったんだが……
辺境伯が、俺の身の安全の為だと言ってきた。
ゾクリと寒気がしたのは、気のせいじゃないと思う。
とりあえず、ルナの命には別状がないようだ。ただ精霊との秘密で約束を破れません。そう辺境伯は言った。
だから、俺も口を噤むのだ。
精霊を怒らせるわけにはいかないから。
ルナを護らないと、ルナの為に解呪の事も調べたい。辺境伯が教えられないと言うのは、それだけ危険なのかも知れない。
他に方法がないか調べよう。
それは、誰にも知られてはいけない。1人でやるしかない。
シリウスは、魔術師団長の息子だから、魔術の本等も詳しいはずだが……知られずに調べる理由を考えないとダメだな。
シリウスは、本当にルナが好きなんだな。なぜか、胸が痛む。
「どれだけ、釣れるかの競争か。面白いな。じゃあ、ダレンよろしくな?」
ダレンとロイドに目を向けると、
「任せてください。レグルス殿下」
ダレンがニッと笑う。
「俺、ルナは負かしたくないけど…シリウスには、負けたくないから。ごめんね、ルナ」
ダレンは、勝ち負けにこだわるタイプなのか。
「ああ、俺も。殿下とシリウスに負けるなんて、兄として恥をかくわけにはいかないな」
これって、俺とシリウスを敵とみなして言ってる?
「嫌だな。俺がルナと組んで負けるわけないよ?」
だから。シリウス、目が笑ってないぞ。
「シリウス兄様」ルナがシリウスのシャツを軽く引っ張った。
「──シス」
にっこりとルナの顔を見る。
「シス兄様、みんなで仲良く頑張ろうね」
ルナの一言で──
ダレンとロイドは、抱き合って
『もちろん!!』と笑顔を見せ、シリウスは、顔を手で隠した。
「ルナの為に頑張るよ」
そうして、いつもより甘く優しく答えた。
どんだけ、ブラコンなんだ!
療養もあと少しだけ滞在して、帰りにフォーマルハウト領に寄ってから王都に戻ろうと思っていた。
その時に、聞きたい事があった。
ダレンとシリウスは、同い歳だから昔から仲が良いそうだ。
交流も頻繁で4兄弟のようだと聞いている。
ダレンと仲が良いのは分かる。分かるが……ルナにべったりなのはどういう事だ?
談話室は広くて、ゆったりとしたソファが配置されている。
テーブルには、果物やデザートが並んでいて、侍女がお茶を用意し始めた。
そう、広いのだ。
ロイドとダレンが大人が3人座れそうなソファに2人で座った。
俺も3人がけに1人で座る。
だけど──シリウスが1人がけのソファ(大人用だけど)にルナと座る。
フェルがルナの膝に乗ろうとしたら、食事をするからとドアの所にステイさせている。
ルナが精霊なんですよって言っても、他家での食事の時に精霊って紹介出来ないでしょう?だったら、慣れさせないとね。我慢してもらいましょう等とルナを説得した。
もしかして、精霊がルナの膝に乗るのも嫌なのか?
ロイドとダレンは、何も言わない。慣れているのか?シリウスってこんなんだったか?
ジッと様子を見ていたら声をかけられた。
「レグルス様。元気になって何よりです。陛下達も喜ばれるでしょうから、先に帰っても良いですよ?私は、こちらで鍛錬しますし、ルナに魔術を教える約束もしてたので、しばらく滞在しようかと思っています」
なんなんだ?
「あ、鍛錬をしに来たのか。明日は、フォレスト領の湖に釣りに行こうと誘われていたのだが、シリウスは行かないのか?」
シリウスがルナを膝に乗せた。
何故だ?
「ルナ、釣りはあのポイントで一緒にしよう。案内してくれるか?」
ルナが照れている。
でも、何て言うか……凛々しいから微妙だ。
「レグルス殿下にも、教えて3人で釣りませんか?」
そう、ルナが答えていた。
おい、俺を見るシリウスの目が笑ってないぞ。
「ダレン、レグルス様にもう一つのポイントを教えてやってくれ。そうだな、どちらが良く釣れるか競いましょう。なのでルナ、殿下とは別々にしよう。ロイド兄は、護衛の1人と組めば良いよね?」
ダレンとロイドが首を縦に振り
2人で呆れた顔をする。もしや、これがシリウスの通常なのか?
王宮で会う時と全然違うじゃないか!クールで、さすが氷の華のご子息ですねって、あれは仮の姿なのか?
確かに、ルナは可愛いから手を出すなって言われたけど。
三兄弟、同じ顔だぞ?
華奢で小さいのは、可愛いだろうけど……
あの小さな身体で、俺の呪いを受けてくれたんだよな。
激痛はないって、あの人が言ったみたいだから。それは安心した。
その代わり、発熱は防御反応的に出るみたいだ。呪いが入り込まないように身体が守りに入るから、熱が出る。
それは、あの人でも解呪出来ない物で。ルナに移った呪いの解呪の条件は極秘だからと教えてもらえなかった。ルナが呪いを受けた事と解呪については、ロイドとダレンに教えてないと言っていた。
家族に溺愛されているからかな?と思ったんだが……
辺境伯が、俺の身の安全の為だと言ってきた。
ゾクリと寒気がしたのは、気のせいじゃないと思う。
とりあえず、ルナの命には別状がないようだ。ただ精霊との秘密で約束を破れません。そう辺境伯は言った。
だから、俺も口を噤むのだ。
精霊を怒らせるわけにはいかないから。
ルナを護らないと、ルナの為に解呪の事も調べたい。辺境伯が教えられないと言うのは、それだけ危険なのかも知れない。
他に方法がないか調べよう。
それは、誰にも知られてはいけない。1人でやるしかない。
シリウスは、魔術師団長の息子だから、魔術の本等も詳しいはずだが……知られずに調べる理由を考えないとダメだな。
シリウスは、本当にルナが好きなんだな。なぜか、胸が痛む。
「どれだけ、釣れるかの競争か。面白いな。じゃあ、ダレンよろしくな?」
ダレンとロイドに目を向けると、
「任せてください。レグルス殿下」
ダレンがニッと笑う。
「俺、ルナは負かしたくないけど…シリウスには、負けたくないから。ごめんね、ルナ」
ダレンは、勝ち負けにこだわるタイプなのか。
「ああ、俺も。殿下とシリウスに負けるなんて、兄として恥をかくわけにはいかないな」
これって、俺とシリウスを敵とみなして言ってる?
「嫌だな。俺がルナと組んで負けるわけないよ?」
だから。シリウス、目が笑ってないぞ。
「シリウス兄様」ルナがシリウスのシャツを軽く引っ張った。
「──シス」
にっこりとルナの顔を見る。
「シス兄様、みんなで仲良く頑張ろうね」
ルナの一言で──
ダレンとロイドは、抱き合って
『もちろん!!』と笑顔を見せ、シリウスは、顔を手で隠した。
「ルナの為に頑張るよ」
そうして、いつもより甘く優しく答えた。
どんだけ、ブラコンなんだ!
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