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第1章 思い出した!
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エントランスホールで殿下一行をお迎えした後、応接間に移動しました。
邸の説明を執事長がしています。
護衛騎士は、精鋭30人程が殿下と一緒に滞在するとか。
他の同行して来た護衛騎士達は、数日後フォーマルハウト領を経由して王都に戻る等の話が進んでいます。
辺境を護っているのだから当たり前なのですが、辺境伯の魔術騎士は精鋭揃いです。王都の近衛にも負けないのでないかと思うのです。お父様には羨望の眼差しが注がれいて、ここに残る護衛は訓練に参加する事を楽しみにしている様です。
なんか……お父様を見る目がギラギラしているのは気のせいでしょうか?
それにしても殿下は、僕と同い年なのに……頭一つ大きい。本当に療養が必要なのかな?ってくらい僕より体格良いし。顔色も悪くないようだけど……?
あ、お腹の中とか見えない所が悪いのかな?
なんて、頭の中でごちゃごちゃと考えていたら話しかけられている事に気が付かなかった。
「────だ。お、──?
ル───きこ、」
「ルナ!」
肩に触れられて、ガバッと顔を上げるとダレンお兄様の顔が近くにあって驚きのあまり「ひぇっ」と変な声が出てしまった。
みんなの視線が僕に集まって、真っ青になってしまった。
昔から自分の世界に入り込むくせがあるんだよね。そうなると何も聞こえないって言うか……
「あ、ごめんなさい」
頭を下げる。
「具合でも悪いなら、別の部屋に行ったらどうだ?」
レグルス殿下に言われてショックを受ける。ええ?ここは僕の家なのに?何で殿下に追い出されるの??
具合の悪いのは、殿下でしょう?それが結構重要なキーワードになるんだから……重要?
あれ?なんで昔から──
なんだっけ……?
ブンブンと首を振った。
「平気です。あ、でも大切なお話の邪魔になりそうなので庭に出ています。外の空気を吸って来ますね」
なんか、ザワザワする。
頭をクリアにするべきかな?
それにお父様と殿下と一緒に来た偉い人達の邪魔な気がしてきたし。
「そうか、ならレグルス様を庭のパルムの樹の所へ案内しなさい。きっと良い息抜きになる」
パルムの樹。精霊の力が溢れてる癒しの樹だ。
「はいっ!」思わず立ち上がる。
一瞬、面倒そうな嫌そうな顔をレグルス様はした。
だけど何か考え込んでるみたいだ。
「案内を頼む」
そう言って僕の側にやってきた。
「ゆっくり、な?」
お父様が、この後大切なお話をするのだろうと察知して、このお役目果たします!と心の中で親指を立てた。
部屋を出て僕のゆっくりスピードに、少し距離を空けてついて来る。
庭の奥へ進むが、護衛は見える所にはいない。すごいな~気配を隠して見守ってくれているんだな……と感心しつつ目的の場所へ。
無言で、てくてくと進む。
パルムの樹はとても大きいので、すぐ見えるけど、見えているだけで結構な距離がある。
「レグルス様。体調はどうですか?疲れていませんか?」
「小さなお前に心配される必要はない」憮然として応える。
あ、ムカムカする。
「お前じゃありません。僕の名前は、ルナ・フォレスト。フォレスト辺境伯の3番目の息子です。しかも同い年です!」
レグルス殿下に睨まれる。
「そうか。ルナ。だったら、さっさと精霊の森へ連れて行け。散歩なんてしている暇なんてない!
時間がないんだ!さっさとしろ!!」
後ろを嫌々ついて来てたのに、今は目の前に移動して来た。殿下が右手で僕の腕を掴んでいる。強く握られて痛い。
「──今行っても、拒絶されます」
精霊は、人の感情の憎悪を嫌うから。
「な、生意気な事を言うな!」
その時、レグルス殿下の空いていた方の左手に光が溜まりドンと突き飛ばされた。
近くの木の幹の所に飛ばされて背中を強打する。
「ぐっ、は」
強く打ち過ぎて、息が出来ない。
なんとかレグルス殿下の顔を見上げると、すごく驚いた顔をしている。
「あ、」
光がさらに強くなって暴走していく。
護衛の人達が、寄って来るのが分かったけど、その前に光の刃の様な物が放たれた。
僕はそれを上方向へ逸らす事しか出来なかった。
消せなかった為、木の枝がバサバサと切り落とされ僕に目がけて落ちてくる。
背中を強く打ち過ぎて、動けない。
だめだと、思った時──殿下が僕に覆い被さった。
「ぐっ」
重いだけで痛くは無い。
痛くは無いけど──殿下の額から血が流れた。
ヒュッと喉がなった。
血──。
目の前が、鮮血に染まる。
「いやあああああああああ」
闇の中へ───堕ちていく。
邸の説明を執事長がしています。
護衛騎士は、精鋭30人程が殿下と一緒に滞在するとか。
他の同行して来た護衛騎士達は、数日後フォーマルハウト領を経由して王都に戻る等の話が進んでいます。
辺境を護っているのだから当たり前なのですが、辺境伯の魔術騎士は精鋭揃いです。王都の近衛にも負けないのでないかと思うのです。お父様には羨望の眼差しが注がれいて、ここに残る護衛は訓練に参加する事を楽しみにしている様です。
なんか……お父様を見る目がギラギラしているのは気のせいでしょうか?
それにしても殿下は、僕と同い年なのに……頭一つ大きい。本当に療養が必要なのかな?ってくらい僕より体格良いし。顔色も悪くないようだけど……?
あ、お腹の中とか見えない所が悪いのかな?
なんて、頭の中でごちゃごちゃと考えていたら話しかけられている事に気が付かなかった。
「────だ。お、──?
ル───きこ、」
「ルナ!」
肩に触れられて、ガバッと顔を上げるとダレンお兄様の顔が近くにあって驚きのあまり「ひぇっ」と変な声が出てしまった。
みんなの視線が僕に集まって、真っ青になってしまった。
昔から自分の世界に入り込むくせがあるんだよね。そうなると何も聞こえないって言うか……
「あ、ごめんなさい」
頭を下げる。
「具合でも悪いなら、別の部屋に行ったらどうだ?」
レグルス殿下に言われてショックを受ける。ええ?ここは僕の家なのに?何で殿下に追い出されるの??
具合の悪いのは、殿下でしょう?それが結構重要なキーワードになるんだから……重要?
あれ?なんで昔から──
なんだっけ……?
ブンブンと首を振った。
「平気です。あ、でも大切なお話の邪魔になりそうなので庭に出ています。外の空気を吸って来ますね」
なんか、ザワザワする。
頭をクリアにするべきかな?
それにお父様と殿下と一緒に来た偉い人達の邪魔な気がしてきたし。
「そうか、ならレグルス様を庭のパルムの樹の所へ案内しなさい。きっと良い息抜きになる」
パルムの樹。精霊の力が溢れてる癒しの樹だ。
「はいっ!」思わず立ち上がる。
一瞬、面倒そうな嫌そうな顔をレグルス様はした。
だけど何か考え込んでるみたいだ。
「案内を頼む」
そう言って僕の側にやってきた。
「ゆっくり、な?」
お父様が、この後大切なお話をするのだろうと察知して、このお役目果たします!と心の中で親指を立てた。
部屋を出て僕のゆっくりスピードに、少し距離を空けてついて来る。
庭の奥へ進むが、護衛は見える所にはいない。すごいな~気配を隠して見守ってくれているんだな……と感心しつつ目的の場所へ。
無言で、てくてくと進む。
パルムの樹はとても大きいので、すぐ見えるけど、見えているだけで結構な距離がある。
「レグルス様。体調はどうですか?疲れていませんか?」
「小さなお前に心配される必要はない」憮然として応える。
あ、ムカムカする。
「お前じゃありません。僕の名前は、ルナ・フォレスト。フォレスト辺境伯の3番目の息子です。しかも同い年です!」
レグルス殿下に睨まれる。
「そうか。ルナ。だったら、さっさと精霊の森へ連れて行け。散歩なんてしている暇なんてない!
時間がないんだ!さっさとしろ!!」
後ろを嫌々ついて来てたのに、今は目の前に移動して来た。殿下が右手で僕の腕を掴んでいる。強く握られて痛い。
「──今行っても、拒絶されます」
精霊は、人の感情の憎悪を嫌うから。
「な、生意気な事を言うな!」
その時、レグルス殿下の空いていた方の左手に光が溜まりドンと突き飛ばされた。
近くの木の幹の所に飛ばされて背中を強打する。
「ぐっ、は」
強く打ち過ぎて、息が出来ない。
なんとかレグルス殿下の顔を見上げると、すごく驚いた顔をしている。
「あ、」
光がさらに強くなって暴走していく。
護衛の人達が、寄って来るのが分かったけど、その前に光の刃の様な物が放たれた。
僕はそれを上方向へ逸らす事しか出来なかった。
消せなかった為、木の枝がバサバサと切り落とされ僕に目がけて落ちてくる。
背中を強く打ち過ぎて、動けない。
だめだと、思った時──殿下が僕に覆い被さった。
「ぐっ」
重いだけで痛くは無い。
痛くは無いけど──殿下の額から血が流れた。
ヒュッと喉がなった。
血──。
目の前が、鮮血に染まる。
「いやあああああああああ」
闇の中へ───堕ちていく。
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