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第1章 思い出した!
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今日は、朝から騒がしい。
みんな落ち着かない感じだし。
侍女長はピリピリ、執事長も部屋のチェックに余念が無い。
「ロイド兄様、ダレン兄様。今日は何かあるのですか?」
ロイド兄様の両手が伸びてきて、僕の脇の下に手が入り込んだ。
ひょいって抱えられる。
「ルナ。前に父上が話していたろ?レグルス殿下がこちらにしばらく滞在するんだ。予定が早まったらしい」
縦抱きにされて、正門が見えるバルコニーに連れて行かれる。
「来週でしたよね?何かあったのでしょうか?」
首を傾げて、兄上の方を見ると途端にギュッと抱きしめられた。
「?」
「ヤバい。可愛い過ぎる」
「ロイド兄上、やっぱりルナは別邸に隠すべきでは!」
「ダレン。同い年の子がいればレグルス様が安心するだろうと、指名があったのだ。
会わさず隠した事がバレるのも不味い。
それに父上は認識阻害メガネを用意したと言っていたぞ」
「なるほど、ルナを知っていて指名ですか……認識阻害メガネでルナの顔の判別を誤魔化すのが1番ですね」
何やら、ごにょごにょと2人で早口で話すし、きつく抱きしめられて聞き取るどころじゃない。
「ロ、ロイド兄様~苦、苦しいです」兄様の背中をドンドンと叩いて訴える。抱きしめられる力がようやく緩んできた。
苦しくて兄様達の話がハッキリ聞こえなかった。イタタタ……
何となく聞こえたのは、隠しておきたい的な言葉。
弱々しい僕は、みっともないのかな?
「隠れてた方いいの?僕がいると迷惑をかけてしまいますか?」
僕は、今7歳だ。
5歳年上のロイド兄様はフォレスト辺境伯家の嫡男で12歳。ダレン兄様は3歳年上で10歳。
お父様は辺境を守護する要の魔術騎士だ。ロイド兄様は、そのお父様や騎士団に1年位前から訓練に参加するようになった。筋肉がつき始めたロイド兄様は他の12歳の子より体格が良いと思う。
最近は、ダレン兄様も訓練に参加するようになり背がグングンと伸び始めた。
2人ともお父様に似てるもんね。
髪色はダークブロンドで緑色の瞳。ワイルド系でかっこいい自慢の父と兄なのだ。
僕は、お母様に似て骨格から細いみたいだ。ミルクティー色のブロンドで瞳は緑色なんだけど、キラキラした透明で宝石眼みたいなんだって。これまた、お母様譲り。
すご~い美人だったらしい。
2年前にお母様が馬車の事故で亡くなった。その時に僕も一緒に怪我をした。結構ひどい怪我だったみたいだけどあまり覚えて無いんだ。
その時のショックみたいで血を見ると怖くなってパニックを起こしてしまう。他にも苦手なものがあるから、騎士は無理だろうって事になったんだ。
もしかしたら、克服出来るかもだけど……
兄様達が辺境領で体を張るのは俺達がいる。お前は、知識で支えてくれって言ってくれたんだ。
それでも魔術は自衛になるから、ちゃんと教えるよってお父様が言ってくれてる。だから魔術を使うのも勉強するのも大好きなんだ。
辺境伯領は、ブルックス王国の王都から離れてて隣国のグランデ王国と境界線の要だ。
グランデ王国とは友好国だけど悪い奴もいるから念には念を入れて守護している。
それでもグランデ王国には、僕の親友も居るから大好きな国。たまにお忍びで遊びに来てくれる。お兄様達にも内緒だ。
辺境とはいえ、フォレスト領の隣接するフォーマルハウト領とは港も共有していたりで結構栄えている。
本邸もグランデ寄りではなく、フォーマルハウトの方に近い。
大切なお客様が国境ギリギリに来たら危ないもの。砦には、お父様みたいな屈強な魔術騎士がたくさんいる。領地内も治安部隊がきちんと配置されていて治安が良い。みな領主様のおかげって言われているのも納得。
安心して療養にきて欲しいなぁ。
多分、本邸側の精霊の森の治療院に通うんだよね。癒しの力がとても強くて神聖な場所だから元気になるといいなぁ。
殿下ってどんな子かな?仲良くなれたら良いけど、フォレスト家で軟弱な僕だと嫌がられるかな?
もうすぐ着くのかと思ったら、屋敷の侍女さん達と同じで緊張してきた。
みんな落ち着かない感じだし。
侍女長はピリピリ、執事長も部屋のチェックに余念が無い。
「ロイド兄様、ダレン兄様。今日は何かあるのですか?」
ロイド兄様の両手が伸びてきて、僕の脇の下に手が入り込んだ。
ひょいって抱えられる。
「ルナ。前に父上が話していたろ?レグルス殿下がこちらにしばらく滞在するんだ。予定が早まったらしい」
縦抱きにされて、正門が見えるバルコニーに連れて行かれる。
「来週でしたよね?何かあったのでしょうか?」
首を傾げて、兄上の方を見ると途端にギュッと抱きしめられた。
「?」
「ヤバい。可愛い過ぎる」
「ロイド兄上、やっぱりルナは別邸に隠すべきでは!」
「ダレン。同い年の子がいればレグルス様が安心するだろうと、指名があったのだ。
会わさず隠した事がバレるのも不味い。
それに父上は認識阻害メガネを用意したと言っていたぞ」
「なるほど、ルナを知っていて指名ですか……認識阻害メガネでルナの顔の判別を誤魔化すのが1番ですね」
何やら、ごにょごにょと2人で早口で話すし、きつく抱きしめられて聞き取るどころじゃない。
「ロ、ロイド兄様~苦、苦しいです」兄様の背中をドンドンと叩いて訴える。抱きしめられる力がようやく緩んできた。
苦しくて兄様達の話がハッキリ聞こえなかった。イタタタ……
何となく聞こえたのは、隠しておきたい的な言葉。
弱々しい僕は、みっともないのかな?
「隠れてた方いいの?僕がいると迷惑をかけてしまいますか?」
僕は、今7歳だ。
5歳年上のロイド兄様はフォレスト辺境伯家の嫡男で12歳。ダレン兄様は3歳年上で10歳。
お父様は辺境を守護する要の魔術騎士だ。ロイド兄様は、そのお父様や騎士団に1年位前から訓練に参加するようになった。筋肉がつき始めたロイド兄様は他の12歳の子より体格が良いと思う。
最近は、ダレン兄様も訓練に参加するようになり背がグングンと伸び始めた。
2人ともお父様に似てるもんね。
髪色はダークブロンドで緑色の瞳。ワイルド系でかっこいい自慢の父と兄なのだ。
僕は、お母様に似て骨格から細いみたいだ。ミルクティー色のブロンドで瞳は緑色なんだけど、キラキラした透明で宝石眼みたいなんだって。これまた、お母様譲り。
すご~い美人だったらしい。
2年前にお母様が馬車の事故で亡くなった。その時に僕も一緒に怪我をした。結構ひどい怪我だったみたいだけどあまり覚えて無いんだ。
その時のショックみたいで血を見ると怖くなってパニックを起こしてしまう。他にも苦手なものがあるから、騎士は無理だろうって事になったんだ。
もしかしたら、克服出来るかもだけど……
兄様達が辺境領で体を張るのは俺達がいる。お前は、知識で支えてくれって言ってくれたんだ。
それでも魔術は自衛になるから、ちゃんと教えるよってお父様が言ってくれてる。だから魔術を使うのも勉強するのも大好きなんだ。
辺境伯領は、ブルックス王国の王都から離れてて隣国のグランデ王国と境界線の要だ。
グランデ王国とは友好国だけど悪い奴もいるから念には念を入れて守護している。
それでもグランデ王国には、僕の親友も居るから大好きな国。たまにお忍びで遊びに来てくれる。お兄様達にも内緒だ。
辺境とはいえ、フォレスト領の隣接するフォーマルハウト領とは港も共有していたりで結構栄えている。
本邸もグランデ寄りではなく、フォーマルハウトの方に近い。
大切なお客様が国境ギリギリに来たら危ないもの。砦には、お父様みたいな屈強な魔術騎士がたくさんいる。領地内も治安部隊がきちんと配置されていて治安が良い。みな領主様のおかげって言われているのも納得。
安心して療養にきて欲しいなぁ。
多分、本邸側の精霊の森の治療院に通うんだよね。癒しの力がとても強くて神聖な場所だから元気になるといいなぁ。
殿下ってどんな子かな?仲良くなれたら良いけど、フォレスト家で軟弱な僕だと嫌がられるかな?
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