【完結】 時戻りをしたΩ王子は、時間がないのでαの愛はいらない。

Shizukuru

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時戻り後の世界

52.どうせ消えるなら①※

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 全身が溶けてしまいそうだった。
 エリオスが噛んだ後は、耳や背中にキスをされ続けた。
    左胸近くの小さな星の印に唇が触れると、命の期限にまた泣きそうになる。

    でも、今だけは素直に全部差しだすことにした。サフィラより大きな手は胸の尖りを執拗にせめてくるので、その小さな痛みを、今は忘れさせてくれそうだ。

 背中から抱き込まれている為、エリオスの硬くなったオスが、サフィラの太腿の間ありユルユルと当たってくる。

 双丘に隠れている蕾からは、蜜が溢れ続けるので、エリオスが擦ってくると水音が嫌でも聞こえてきた。

 もどかしくで、たまらないのに。蕾には触れてきてくれない。

「ど、して……? さいごまでは、したくな、いの?」
 ここに来て不安が過ぎってしまう。噛むだけではなく、最後まで求めて欲しいのに。やっぱり、男のΩでは駄目なのだろうか?

 ぐるんと、また向きが変わって向かい合わせになるとエリオスが、困ったような顔をしていた。

 ズキリと、胸が傷んだ。

「大切で、優しくしたいのに。欲望のままにサフィを酷く抱きそうなんだ。顔を見れば、もう抑えが効かない。苦しい止めてと言われても。それでも、俺を受け入れてくれるか?」

 サフィラは嬉しくて、涙が溢れていく。

「──愛してください」

 サフィラの唇を奪い。口内を厚い舌が深く求めてきた。触れてもらえなかった蕾は、散々焦らされたせいで簡単にエリオスの指を飲み込んでしまう。何度も中を擦られてイかされる。
 指が抜けてしまい「あっ」と思った時には、熱く硬いものが蕾にあてがわれた。

 何かに耐えるような顔で、ゆっくりとサフィラの中へと入ってきた。指で解かされても、サフィラとの体格差もあり、さらにαである彼の杭は太い。
 ギチギチと広げられる圧迫感がすごい。耐えるように、ゆっくり進み二人の隙間が無くなった。
 フーっと、息を吐いたのはどちらなのか?エリオスは、額に汗を滲ませている。優しくこちらを見る目は、愛しいと言われているようで、胸が苦しくなる。

「痛いか?」

 首を振る。

「大丈夫……うれしい」
 ただ本当に嬉しかったのだ。
 何かにスイッチをいれてしまったようで、突然エリオスが腰を引いた。

「ひっ」
 次の瞬間にグンッと突き刺さる。
「あっ……んん」
 腰が逃げそうになり、がっちりと押さえ付けられた。片方の太ももを肩に掛けられるとさらに奥まで、突かれていく。
 早さが増して、足先まで痺れ足の指先が丸まり、背中がしなるようにその快感を逃す。

「やぁ、ああっ……いやぁ」

 優しくはなかったかもしれない。本能のままに求められたのだ。何度も突き上げられて、揺さぶられる。それが、嬉しいと思う自分がいる。

「ん、ん……もっと、ああっんーーー」

 繋がり続ける激しい行為の中で、愛しそうに「サフィ」と呼ばれて身体中にキスが降ってくる。意識を飛ばしては、時々水分をもらい体をケアしてくれた記憶がある。

 正しく、甲斐甲斐しく世話をしてもらった感覚があった。

 強制発情薬をきっかけに、サフィラ自身も抑えていた発情期に入ったらしい。番になり、苦しい発情期をαが一緒に乗り越えてくれた。


 その終わりが見えてきた頃、冷静さを取り戻してきた。


 後悔したか?と問われれば「いいえ」と答える。
 後悔させると思うか?と問われれば、間違いなく「はい」と答える。

 後ろから抱きしめられたまま、朝をを迎えた。

 まだ、おしりの違和感が残っている。あれだけシたのだから、この違和感も仕方がない。何度も抱かれ、愛していると何度も言われたのだ。サフィラも、愛していると言った。今だけだとしても、幸せを十分に感じている。太い腕、厚い胸にすっぽりと収まっているサフィラは、ゆっくりと体を動かした。


 裸のままなので、床に落ちていたシャツを拾うためにベッドから降りようとした所で、後ろに引っ張られた。

「おはよう」
 綺麗な笑顔に、サフィラは固まる。サフィラの様子に、エリオスの眉が寄ったのが分かった。

「──エリオス様。おはようございます。は、発情が収まったみたいで、あの、湯浴みをしても……」

「なら、一緒に行こう」
「あ、まだ、お疲れでしょうから、あの」

 ふっと笑った顔までが、格好よすぎて心臓に悪い。だから、一緒になんて無理だと思い抵抗した。

「ずっと、一緒にいてくれたのですから、あの。エリオス様もお一人でゆっくり湯を浴びた方が……」

 本心からの言葉だった。自室の浴室は一人用で、体格の良いエリオスと二人だと重なって入らないと湯には浸かれない。

「サフィは、まともに歩けないと思う」
「えっ?」

 まさかと思う。先にエリオスがベッドから降りて両手を出してきた。恐る恐る両手を差し出し、両足を床に付け立とうとした瞬間にカクンッと力が抜けてしまう。

 ほらね、という顔をしたエリオスに引き上げられて横抱きにされてしまえば、そのまま浴室に連れて行かれた。

 あまりにも甘く優しく洗われて、もう抵抗する気力はなくなってしまう。

 本当に番になったのだ。なら、もう思い残すことはない。
 婚姻を早められないようにしなければ。きっとエリオスは春になれば一度、アベリアに戻るはずだ。


 それから、消えたらいいのだから。








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