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70.療養 ※

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 侯爵家の別邸への移動の許可が出た。少し痩せてしまったせいか、ジェイドに縦抱きにされて馬車へと向かう。

 あまり目立たぬようにと、王族専用の通路の一つを使って王宮を出る。
 暫くは、王宮の一室で病に伏せっている事にされるそうだ。
 聖女様も、魔力枯渇に近い状態で神殿で療養されると聞いた。

「あの時、力を使い過ぎたんだね」
 いつもなら、恥ずかしくて縦抱きになんて甘えたりしない。
 情けないのは、分かっている。ただ救いは、本当に他の誰にも会わない事だった。

「琥珀」
 ジェイドが優しく名前を呼んでくれる。
「何?」
 立ち止まり、キスをされる。

「え、あ……ちょっ……待って」
「休暇と思えば良い。人も少ない。邸に着いたら抱かせて」

 こんなとこで、何を言ってるんだろう……
「温泉の湯を運ばせてる。俺も服を脱いで入るよ」
「──温泉?」

「あの時は、記憶が戻ってなかったから。俺も温泉入りたいと思って」

「こんな時に?」
「こんな時だからだよ。俺がそばに居るってこと、体に覚えさせようと思ってる」

 顔から火が出そうだった。
「そんな……こと」
「やってみたい……体位もあるし」
「ジェイド!」
 悪戯そうに笑う。元気づけようと冗談を言ってると思ったのに……


 ***


「ああ、ッ……ンン」
 浴室は、広くてヒノキの様な香りに包まれている。
 身体を洗うと言われて、髪の毛から順に洗われて行った。
 全部流されて湯船にと思ったのに、鏡の前ちょっとしたスペースに手を付き膝立ちの様な格好だ。曇る事の無い 不自然な鏡には、ジェイドと二人綺麗に映り込んでいる。綺麗な色のボトルからトロリとした液体が腰から双丘へと流れていく。

「ひっ」
 一瞬、冷たさのせいで変な声を出してしまう。
 それをなぞりながら指がクッと一本後孔に入り込んで来た。

「待って、なんで」
「湯船の中で溶かしたら、嫌がると思って」
 確かにお湯を汚しそうで、それは嫌かもしれない。
 でも、お風呂の後に抱かれると思ってたから。

 いずれにしても、不意打ちだった。これはローションのようなものだ。ジェイドの長い綺麗な指にも液体を搦めている。その指が入り込んで来て何度もしつこく中を掻き回される。
 ジェイドの様子ばかり気にしていたが、自分の裸体を見るのは恥ずかし過ぎた。鏡を曇らせたいと手を伸ばそうしたら、それに気がついたジェイドと思わず視線が交わった。その視線を逸らさないまま、背中に舌を這わせて来た。

「ひゃ」
 指が抜かれて椅子に座ったジェイドの膝の上、足を開かられて片手で陰茎を握られた。反対の手は胸を粒を摘んだ。首筋を甘噛みされながら、先端を捏ねられる。乳首は摘んだり、クリクリと潰される。鏡に映し出される姿を舐めるように見られてしまう。

「兄さんは、エロいよね」
 ジェイドのより慎ましいソレをゆるゆると擦られる。薄い体毛も、筋肉のつかない体も淡い色の乳首もコンプレックスに近い。

「エロいとかそんなんじゃ、ただ貧弱なだけで」

「俺のを受け入れられるんだから、そうは思わないけど」
 カッと熱を持つ頬。羞恥で染る肌。

「今は、難しい事を考えなくていい。俺がそばにいるって分かってくれたらいい」
 後ろにある熱い硬さに、触れるだけのもどかしさ。
「どう?」
「ジェイド……あ、ッ、ああ」
「はっきり言って。俺にどうされたい?」
 ジェイドの手は止まらない。

「一緒にい、きた……い。いれて」
ジェイドが体勢を変えて覆い被さって来た。ぬるりとした感触がゆっくりと押し入ってくる。

「うッ、ああ……ッ」
限界まで拡げられ、その圧迫感に息が止まりそうになる。
「息をして」
背中に口付けなのか、強く吸われては時々チリチリと痛みが走った。

「──う、ごいて……もっと俺を、必要として」
激しく腰を打ち付けられて、自分の声とは思えてない声を上げる。

「んぁ……あぁ、んッ」

    揺さぶられて、グッ……と深く深く突き刺さる。何度となくイかされて、あふれ出た愛液が太ももを流れ落ちていく。
もう、何も要らない。このまま二人だけで生きて行けたらいいのに。
ずるりと抜かれてしまうと……寂しくなってしまうくらい。

一つでいられる事は幸せで、嬉しくて。

「琥珀。愛してる」
    でも、きっと……を倒さないと、ジェイドを失ってしまう。

     優しく抱き締められて、また身体を洗われてる。ゆっくりとヒノキの香りの湯船に抱きかかえらて浸かり、幸せを噛み締めた。

──もう少しだけ、このままで。











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