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51.浄化同行④※
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聖女様は豪華な馬車の中で寝泊まりをするみたいだ。確かに土の中から魔物が出て来たのを見たのだから、気持ちは分かる。馬車の周りは、護衛騎士達で固められている。
そのそばに、殿下や魔術師長などの天幕があった。俺たちも近くにと思っていたのに……少し離れた所にジェイドの指示で二人用の天幕が用意されている。
「──怒ってる?」
結は、女性が苦手だった。ジェイドもあまり近寄りたくないみたいなのは、分かっている。
でも、浄化をするなら……守られる安心感は必要な気がするのだ。
「俺は、琥珀と一時でも離れたくないんだ。あの聖女を守るとか……」
「そうだよね……ごめん」
腕を取られ、簡易ベッドに押し倒される。
異世界から召喚された聖女の、攻略対象者の一人がジェイドなのだ。
ジェイドの記憶があやふやな状態の時に、聖女様はずっと追いかけていたらしいから執着されているのは間違いない。
でもそれは、俺がそばにいるから余計に意地になっている可能性がある。
人の物が欲しくなるみたいな。
この世界の人は美形が多い。エドワード殿下もミカエル様も、カークライト様だって……日本人の俺から見たらハリウッドスターみたいなものだ。
攻略対象の誰を選ぶのだろう?
「琥珀は、何考えてる?」
「聖女様は、誰を選ぶのかと思って……」
「琥珀は? 琥珀は誰を選ぶ?」
「俺? 護衛の事ならジェイドだよ」
「護衛……」
「魔力循環の相性もいいみたいだから、安心してる。他の人と試した事ないけど」
ジェイドの顔が近づいて来て、唇が重なる。
貪られるようにされる口付けは、魔物討伐の疲労回復とは思えない。いつもの優しい魔力循環じゃない。息が苦しくなって、逃げようとするとさらに拘束されて身動きが取れなくなる。
(ジェイド?)
いつの間にか、シャツの隙間から入り込んだ手が脇から胸の方へ動いて来る。
「ん、ん……ん。ま、て」
ジェイドの胸を叩くと、ジェイドが少し上体を離してくれた。でも次の瞬間に両手をまとめられて俺の頭上で押さえ付けられる。
「──ジェイド、やっぱり怒ってる?でも、聖女様が……チートで才能が開花しなかった時に、被害が想像つかないんだ。ジェイドは魔力が多いから……彼女を守れる」
「俺に、アレと口付けろって事?」
「そんな……つもりじゃない。単なる護衛だから 」
「単なる護衛? 俺もその枠なんだ」
「そう言うつもりじゃなくて」
「じゃあ、殿下やミカエルに口付けられて魔力を貰うのは平気?」
「ば、場合による……かも」
「へぇ……どんな場合?」
両手は押さえつけられたまま、体重はかけられていないが、逃げられ無いように覆いかぶさった状態だ。
「た、例えば、ジェイドがそばにいない時、俺の魔力が枯渇しそうな状況があったら……誰かが魔力を分けてくれそうだよね?」
自分の周りで誰か死にそうだったら、助けるよね。必死に訴える。
「そうならない為に、一緒にいるんだ」
シャツのボタンが器用に外されて、胸が見えている。その手は止まらずにズボンの中へと入ってきた。
「あ……ちょっと待って」
そんなに触られたら、反応し過ぎる。変な声だって漏れてまう。
「こんな事も、殿下にしてもらいたい?」
「そんな事思った事なんか……んん」
胸の先に吸いつかれてる。
「あ、明日……浄化を、早く寝ないと……ん、あ」
そんなところ触っても、魔力循環になるとは思えない。
「魔力循環の一番いいのは、キスよりもセックスすることなんだ」
セックス……?
「結……セックスは好きな人と、しなきゃ」
俺まだ、経験ないから……よく分からないけど。結も経験は無いのかな? ジェイドの時には経験してるかも知れない。
「好きな人なら、目の前にいる。ずっとずっと変わらずに……愛してる」
真剣な表情とその言葉に、胸が締め付けられていく。
そのそばに、殿下や魔術師長などの天幕があった。俺たちも近くにと思っていたのに……少し離れた所にジェイドの指示で二人用の天幕が用意されている。
「──怒ってる?」
結は、女性が苦手だった。ジェイドもあまり近寄りたくないみたいなのは、分かっている。
でも、浄化をするなら……守られる安心感は必要な気がするのだ。
「俺は、琥珀と一時でも離れたくないんだ。あの聖女を守るとか……」
「そうだよね……ごめん」
腕を取られ、簡易ベッドに押し倒される。
異世界から召喚された聖女の、攻略対象者の一人がジェイドなのだ。
ジェイドの記憶があやふやな状態の時に、聖女様はずっと追いかけていたらしいから執着されているのは間違いない。
でもそれは、俺がそばにいるから余計に意地になっている可能性がある。
人の物が欲しくなるみたいな。
この世界の人は美形が多い。エドワード殿下もミカエル様も、カークライト様だって……日本人の俺から見たらハリウッドスターみたいなものだ。
攻略対象の誰を選ぶのだろう?
「琥珀は、何考えてる?」
「聖女様は、誰を選ぶのかと思って……」
「琥珀は? 琥珀は誰を選ぶ?」
「俺? 護衛の事ならジェイドだよ」
「護衛……」
「魔力循環の相性もいいみたいだから、安心してる。他の人と試した事ないけど」
ジェイドの顔が近づいて来て、唇が重なる。
貪られるようにされる口付けは、魔物討伐の疲労回復とは思えない。いつもの優しい魔力循環じゃない。息が苦しくなって、逃げようとするとさらに拘束されて身動きが取れなくなる。
(ジェイド?)
いつの間にか、シャツの隙間から入り込んだ手が脇から胸の方へ動いて来る。
「ん、ん……ん。ま、て」
ジェイドの胸を叩くと、ジェイドが少し上体を離してくれた。でも次の瞬間に両手をまとめられて俺の頭上で押さえ付けられる。
「──ジェイド、やっぱり怒ってる?でも、聖女様が……チートで才能が開花しなかった時に、被害が想像つかないんだ。ジェイドは魔力が多いから……彼女を守れる」
「俺に、アレと口付けろって事?」
「そんな……つもりじゃない。単なる護衛だから 」
「単なる護衛? 俺もその枠なんだ」
「そう言うつもりじゃなくて」
「じゃあ、殿下やミカエルに口付けられて魔力を貰うのは平気?」
「ば、場合による……かも」
「へぇ……どんな場合?」
両手は押さえつけられたまま、体重はかけられていないが、逃げられ無いように覆いかぶさった状態だ。
「た、例えば、ジェイドがそばにいない時、俺の魔力が枯渇しそうな状況があったら……誰かが魔力を分けてくれそうだよね?」
自分の周りで誰か死にそうだったら、助けるよね。必死に訴える。
「そうならない為に、一緒にいるんだ」
シャツのボタンが器用に外されて、胸が見えている。その手は止まらずにズボンの中へと入ってきた。
「あ……ちょっと待って」
そんなに触られたら、反応し過ぎる。変な声だって漏れてまう。
「こんな事も、殿下にしてもらいたい?」
「そんな事思った事なんか……んん」
胸の先に吸いつかれてる。
「あ、明日……浄化を、早く寝ないと……ん、あ」
そんなところ触っても、魔力循環になるとは思えない。
「魔力循環の一番いいのは、キスよりもセックスすることなんだ」
セックス……?
「結……セックスは好きな人と、しなきゃ」
俺まだ、経験ないから……よく分からないけど。結も経験は無いのかな? ジェイドの時には経験してるかも知れない。
「好きな人なら、目の前にいる。ずっとずっと変わらずに……愛してる」
真剣な表情とその言葉に、胸が締め付けられていく。
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