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46.静養中

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 エドワード殿下が、陛下や神官長そして魔法師長に今回の浄化の報告をしている。終わったら結果を知らせる、そう言っていた。

 浄化から帰ってからは、静養をきちんと取るようにと半ば軟禁状態だ。

「もう、元気なのに……暇」

 ソファでダラダラの生活を送っている。

「琥珀。ゆっくりしてていいんだよ。魔法を使うのは、気持ちの余裕も大切だから。この先浄化を沢山しないといけないかも知れない。休めるうちに、休むのも大切」
 一人がけソファで優雅に本を読んでいたジェイドが、本を閉じて反応した。

「んー、怪我をしたのは自業自得だったから。あのでっかい熊みたいなのに怪我させられた訳じゃないのにね。それなのになんか、体の事めちゃ心配されて参った」

 本をテーブルに置いて、立ち上がり俺のソファの方へやって来る。三人は軽く座れるソファに横になっていた俺は、体を起こした。

 空いたスペースに座ったジェイドが、俺を引っ張り膝の上に抱きかかえた。

「ええっと……また?」
 寂しいからとか、体温を感じていたいとか……でこの体勢のスキンシップが多くなっている。駄目?って聞かれるとめちゃくちゃ弱い。

「忘れてたのが、悔しいから。俺の存在を実感して欲しいからね」

 美形の弟に甘えられのは、悪くないんだけど。何となく照れてしまうから、抱きついて肩に顎を乗せて顔を見せないようにしてしまう。

 思い出してくれた事は、やっぱり嬉しい。

「ジェイド、俺も忘れてる事あるみたいだから、思い出せるように頑張るね」

 魔力譲渡みたいな事でキスをするのも、だんだん嫌じゃなくなってる。前の世界で実の弟だったけど、ここでは血の繋がりはない。その分罪悪感みたいなのが、少ないのかも知れない。

     日本にいたら兄弟だから、こう言うの許されないって悩みそうだけど……。
    今は異世界にいて、結は日本人じゃない様な髪色になってしまった。だから異国の人って感じるのも大きい。
    
   男の人とのキス、他の誰かだったら受け入れられるかな? なんとなく考えられない。じゃあジェイドが、誰かにキスするのは? しばらく考えても想像出来なかった。
    ただ、母さんなら、もしも兄弟で付き合う事になったとしても……笑って受け入れてくれそうな気がしてしまう。

「愛情を沢山もらってたんだな」

 ジェイドが、びくりと体を強ばらせる。
「えっと、どうしたの?」
「誰に、愛情をもらったって?」

 しがみついていたのに、引き剥がされて押し倒される。

「えっ? 誰って……」
「前の世界で誰か思う人がいたとか?」

「違う。母さん! 母さんなら俺達が兄弟でキスしてても、許してくれるかなって。思っただけ」

  その言葉を聞いて、にっこり笑ったジェイドの顔が近づいて来た。唇を塞がれると魔力の循環が始まる。

 これ、いつも思うけど……お腹にキュンキュンって来るんだよ。

 胸を押し返そうとしても、気持ちよくなってきて力が抜けてしまう。

 長く続いて、溶けてしまいそうになっているとノック音が聞こえた。

 ようやくジェイドの魔力循環から解放された。 本当に溶けてしまいそう。魔力循環って皆こうなの?って聞いたら、相性悪いと吐きそうになるらしいよって言われた。 なら、他の人で試そうなんて思えなかった。

 ジェイドの魔力は、気持ちがいい。安心して受け入れられる。その余韻に包まれてぼんやりしてしまう。

「話は俺が聞いてくるから、休んでる事にしとくね。絶対にその顔で出てきたら駄目だよ」

 念を押され、コクコクと頷いた。もう一度キスを受け取ると睡魔に襲われた。

 魔力は多いって言われたから。足りないのは体力だと思う。やっぱり騎士団に行って体力つけなきゃだな……そう思いながら眠気に負けてしまった。

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